60代までは食べ過ぎ注意、70代からはしっかり食べる
体も脳も若返る!「健康寿命」の延ばし方60代までは食べ過ぎ注意、70代からはしっかり食べるここまでわかった! 「長寿の科学」最前線(後編) 2017/1/20 北村昌陽=科学・医療ジャーナリスト 100歳以上生きる人は年々増加の一途をたどっているが、誰もが100歳まで生きられるわけではない。100歳まで生きられる人と、そうでない人はどこに違いがあるのだろうか。 前回は、長寿者の医学研究を行っている慶應義塾大学医学部 百寿総合研究センター講師の新井康通さんに、100歳まで生きられる人とそうでない人の体の中の違いを聞いた。今回は、長寿者の食生活のポイントや、寿命の上限などについて聞いていく。百寿者はテロメアが長く保たれている前回は、100歳以上生きるような長寿の方は、「慢性炎症」が少ないという話をお聞きしました。長寿の方には、他にどんな特徴がありますか?新井 康通さん。慶應義塾大学医学部 百寿総合研究センター 講師。20年以上前から百寿者研究を進めている[画像のクリックで拡大表示]新井さん 細胞の中の染色体の末端に、「テロメア」と呼ばれる特徴的な部位があります。この部分は、細胞が分裂するたびに短くなっていくため、テロメアの長さは細胞の老化の指標とされています。 百寿者の血液から白血球を採取してテロメアを調べたところ、比較的長く保たれていることがわかりました。テロメアは誰でも年とともに短くなっていくのですが、百寿者は、短くなるペースが遅くて、年齢の割に長く保たれていたのです。 興味深いことに、百寿者の直系の子孫で、長寿になる確率が高い人のテロメアを調べたところ、こちらも長く保たれていました。実年齢が80代でも、60代並みの長さでした。テロメアの長さを保つ何らかの遺伝的要因が、健康長寿に関係しているのかもしれません。テロメアは、染色体の末端に位置する部位。細胞分裂のたびに短くなっていく テロメアの長さは、さまざまな病気と関係があると言われています。例えば心疾患や糖尿病、リウマチなどの人は短くなっている。短い人ほど、心臓病や感染症の死亡率が高いという研究もあります(Cawthon Rmet al. Lancet 2003;361: 393-395.)。 さらに、精神的なストレスが多い人はテロメアが短くなりやすく(Epel ES, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2004;101(49):17312-5.)、運動や食事などのスタイルが健康的な人は短くなりにくい(Omish D, et al. Lancet Oncol. 2013;14(11):1112-20.)、という研究もあります。テロメアの長さが、健康で若々しい体の指標であることは、まず間違いないでしょう。 前回の慢性炎症の話で出てきた「魚の油」は、テロメアの長さを保つ方法としても有力視されています。オメガ3系脂肪酸の摂取量が多い人はテロメアが縮みにくいという研究があります(Farzaneh-Far R, et al. JAMA,2010;303:250-257)。