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2007年3月8日楽天プロフィール Add to Google XML

  続・残ってしまうもの
[ エッセイ ]  

前回、残そうと思ったものよりも
残ってしまったものの方に心を奪われると
いうような事を書きました。
今回は似たような内容を違った角度で。

僕は東京の下町で生まれて、その後横浜に越して来ました。
今となっては横浜で生きた時間が圧倒的に長いので
自らを横浜出身と言う事になんら違和感を感じません。
その横浜には名所・旧蹟と言われるものがほとんど無いんです。
歴史的なものを次々と壊して
その上に新しい街を造り上げてきたので
多くの名所・旧蹟はいまや説明板や石碑だけになっています。
いや、石碑すらない場所もたくさんあります。

昔はその事に問題意識や寂しさを感じていたんですけど
皮肉なことに東海道の旅を続けていくうちに
その気持ちが次第に薄れていきました。

歴史的な町並みに触れて感動する半面で
大都市の迫力を余計に感じるようになってしまったんです。
古い木造住宅が日本に昔からあったからと言って
それがすなわち日本にふさわしい姿なのかと思うようになったんです。

・・・変ですよね(笑)

日本の文化や日本らしさを語る時
浮世絵に高い評価をしたのは海外の人間で、
日本人はそれを聞いて評価を正したという逸話が使われる事があります。
この話は、日本人は海外の人の意見に左右されやすい事の例えとしても
使われますよね?
でも、本当にそうなのかな~と思ったりします。

僕らは意識しなくても日本人なんだから
わざわざ日本らしさについて
追求なんてしなくていいんじゃないのかなと思うんです。
僕らの大多数が良いと思うことがきっと日本らしいんだと思うんです。

相当いい加減な考え方ですけど(笑)

浮世絵を描いた人々だって特に日本らしさを強調したわけじゃないですよね?
作者はただ生活の為に仕事として製作してたのかも知れないんです。
少なくとも「芸術」なんて大義名分を掲げては居なかったと思うんです(笑)
たまたま、海外の人々が見た時に独特だったんです。
それ以上でもそれ以下でもなかったんだと僕は思っています。

話が大きくそれてしまいましたけど
結局、京都などの歴史ある町並みを歩いて
建築物ばかりに目を奪われるべきではないと思ったんです。
そこにある、現在の人々の生活を感じるべきではないかと。

歴史の主役は建物ではなく人だということに改めて気付いたんです。
寺が出来て仏教が生まれたんじゃなく、
人が必要としたから、仏教が生まれたんです。

当たり前ですけど(爆)

神社仏閣があるから京都がすばらしいんじゃないんですよね。
たとえ明日それらが急に消えうせても京都の人がそこにいる限り
京都は決して消えうせることは無いんです。
いずれ新しい形の京都が出来て相変わらず人が集まると思うんです。
それが本当の伝統だと思うし、文化なんだと思うんです。

・・・と、まだまだ書きたいことは山ほどあるんですけど・・・。

今回はここ数ヶ月思ってた事を一気に書き上げているので
複数の話が入り乱れてしまって本当に分かりにくくなってしまいました(爆)
でも、文化、伝統、自然、歴史を重んじるあまりに
「人」がぬけ落ちているここ最近の風潮や論争に
どうしても違和感を感じずにはいられない今日この頃なので・・・(笑)


最終更新日時 2007年3月8日 22時11分53秒


2006年12月2日

  残ってしまうもの
[ エッセイ ]  

ここのところご無沙汰しています。モルBです。
英語で言えばa long silence(長い沈黙)というところでしょうか。
私生活では毎日、喉が枯れるほど喋ってるのに
沈黙も何もあったものではありませんが・・・(笑)

さて、久しぶりに何か書きますね^^

えっと、先日(と、言ってもずいぶん前ですけど)
京都に行ってきました。
例の東海道企画でなんですけど。
だから、観光なんてほとんど出来ず、
ひたすら歩いてきました(笑)

で、思ったのが「残ってしまったもの」の凄さです。

これは何も京都に限ったことではなくて
道中にある、たまたま残った江戸時代の民家や道しるべの石柱って
わざわざ復元したお城よりも迫力があるんですよね。

そこの場所に昔からあり続けた力って
やっぱり凄いし、それこそ感動さえ覚えます。

そういう風に考えると例えば500年後、
交通事情が変わって自動車が無くなったとして
(・・・無くなることは無いでしょうけど・・・)
東名高速道路も当然、必要が無くなってしまって
どんどん取り壊されて行くわけです。

で、その区間の中にどういうわけか壊されるのを逃れた区間や
そのまま放置されたサービスエリアがあったりすると
それが史跡となって今度は保存されていくんですよね。

今の時点でワザワザ後世に残そうと思って作ったものよりも
たまたま長い時間、残ってしまったもののほうが
そういう意味で凄みがあると思っちゃうんですよね(笑)
きっと、昔の人はそこを後世の人に残すために作ったわけではなく
単純に必要にかられて作ったんです。
それが不必要なほど目立たなかったから残ってしまった(笑)

東海道の中にはそういう場所が何箇所かあって、
例えば江戸時代からおんなじ道幅だったり、
おんなじカーブだったり・・・。

そんな場所を古地図と比べて発見すると
なんだか幸せな気分になったりします♪

・・・ちょっと変ですよね(笑)


最終更新日時 2006年12月2日 17時29分42秒

2006年3月4日

  ラストシーン
[ 創作(詩・物語など) ]  

倒れこんだハルメッヒは僕の腕に抱きかかえられたまま
力を振り絞って話を始めた。
「お、お、おら、たくさんの人の笑い声を聞くのがす、す、好きだったから」
ハルメッヒは震えながら言った。
「あのお金さえあれば、みんなおらと楽しく笑ってくれた」
ハルメッヒはそう言うと僕の目をじっと見つめ、
決心したような口調でゆっくりと僕に言った。
「あんたは、おらの友達か?」
「うん」僕は言った。
「よかった。それこそおらが一番欲しかったものだ」

そう言うと彼は初めてニコリと笑い、「もう思い残す事はない」と言った。
そしてその瞬間、ハルメッヒの体は
砂の様に一気に崩れ去っていったのだ。
それは瞬きほどの速さで完了し、僕に理解の時間さえも
与えてはくれなかった。
こうして最後のスペレッツェもこの世から消えてしまった。

僕は何度も彼の名前を大声で呼び続けた。
でも、僕の枯れた声はもう2度と彼に届く事はない。
しばらくして低く立ち込めていた黒雲から
大粒の雨が一気に糸を引きながら落ちてきた。
激しい雨に頬を打たれながらも僕はその場を動けずにいた。


**********************
今回は本館の連載企画「モル辞苑」と同じ内容です。



最終更新日時 2006年3月4日 15時36分39秒

2006年2月16日

  よくある話
[ 創作(詩・物語など) ]  

彼女は待ち合わせの中華料理屋に30分ほど遅れて入ってきた。
そしてスーツ姿の僕の格好を見て驚いたように言った。
「ねぇ、どうしたのその格好?」
「色々あってね」僕は言う。
「あなたのスーツ姿って初めて見た気がするわ」
「そうだね。結婚式や葬式以外ではこんな窮屈な格好はしたくないしね」
僕は苦笑いをしながら言う。

「ところで何があったの?良かったら教えてくれない?」
「たいした話じゃないんだ」
「でも気になるわ」
そういうと彼女は店員を呼び手際よくオーダーを済ませ
話を聞く体勢に入った。

「多分よくある話だとおもうんだけど」
仕方なく僕はスーツの理由をかいつまんで話すことにした。

「君の来る1時間前――つまり約束の時間の30分前――
 僕はこの席でまずビールを飲んだ。
 いつもの様に文庫本を読みながらね。
 
 30分位してトイレに行きたくなって僕は席を立った。
 そして用を足して洗面所で手を洗っていたら
 スーツ姿の男が勢い良く駆け込んできたんだ。
 彼は息を切らしていてどこか追い詰められた感じがした。
 きっと、本当に追い詰められていたんだと思う。

 彼は僕に気付くとこう言ったんだ。

 『すまないけど君の着てる服と僕の服をそっくり交換してくれないか?
  詳しい理由を説明している時間は無いんだ。
  僕は今追われていて、変装してこの場を切り抜けたい。
  見たところ君と僕の背格好は丁度同じくらいだ。
  分かってくれ、やつらに捕まったらおしまいなんだ』

 僕はしばらく考えた。
 その間彼はソワソワしながらトイレの中を歩き回っていた。  

 僕の格好と言ったらいつものパーカーにジーンズ。
 どちらも1週間は洗ってない。
 それに対して彼の服はどう見てもブランド物だったから
 別にいいかなって思ったんだ。

 で、取引成立。

 彼は『ありがとう、恩に着るよ』と言って厨房を抜け
 裏口から急いで出て行った・・・というわけさ」

彼女は僕のスーツをあらためて眺めて
「それでこれがその時のスーツなのね」と言った。
「そう。不思議なくらい僕にフィットしてる」
そしてしばらく考え込んだ後僕に言った。

「そうね。確かによくある話ね」


**********************
今回は本館の連載企画「モル辞苑」と同じ内容です。




最終更新日時 2006年2月16日 23時2分59秒

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