M氏:生きるということ
画材:墨、アクリル絵の具その他 サイズ:15.5×23.5『「もうだめか。助かりっこない」「俺のいのちも明日までか?」しかし、自決する勇気はなかった。臆病というよりも、おふくろに申しわけないという気持ちがどうしても抜けなかった。「俺は死ねない。いや、死なないぞ」という気持ちのほうが強かったのである。』(「野バラの実に」より)中国の当時ハルピンと呼ばれた地域で、M氏は幹部候補生として技術学校で学ぶはずだった。ところが、学校どころでなく、敵の襲撃にあう。ソ連軍、はたまた満軍(当時の中国軍)か、情報が錯綜するなかで、M氏は考える。生きることへの素直な態度を大事にすればいい。戦争当時でも、表立ってではないが、命を大切にするように語りかけたひとはいた。M氏も、大学のある先生の最後の授業で、「生きて帰ってくるように。」と言われて感動している。今がどうであれ、次の瞬間は、また生きている限り変わっていく。変えていくこともできる。