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ももも。のおスイス暮らし

スコットランド

新しい風をくれたスコットランド



1999年6月、私は転職活動をしていた。

一番最初に受けた会社から内定を頂いたが、なんか前の会社と
変わらないレベルの仕事にあまり納得できずお断りした。
きっともっといい仕事のできる会社があるはず、と頑張ってはみたが、
なかなか思うようにはいかない。時間も経つと焦るばかり。
本当に自分がこの職種に向いているのか、わけがわからなくなっていた。


そんなとき1年の留学が終わろうとしているロンドンにいる親友ふっひーから、
「遊びにおいでよ」と手紙が届いた。


行っちゃおうかな、と思った。



速攻ふっひーに電話して、面接の結果待ちのところがあるから、
そこから返事がなかったら、ロンドンに行くと。

結局二次まで行ったそこも不採用だった。
落ち込むどころか、結構うれしくて、すぐチケットを手配した。
出発10日前だった。



6月下旬、10日弱イギリスに飛んだ。
帰ってきた7月から、また心機一転転職活動を頑張るつもりで。


ふっひーが留学してから、たくさん手紙をやりとりした。
(メールはまだふっひーができなかった。)
大学卒業してから日本でも離れて暮らしてたけど、そのとき以上にやりとりしていた。
遠い国で頑張っているふっひーを励ましたかったのももちろんだけど、
それ以上に頑張っているふっひーからパワーをもらっている気がした。


久しぶりに会うふっひーは、手紙で想像していた以上に成長してた。
私は正直、留学したら英語がしゃべれるようになるものなのか、疑問に思っていた。
留学前のふっひーは英語全くだったし。
そのふっひーが英語をしゃべっていた。
本人がとても努力したのだろうし、手紙にも書けない苦労もしたんだと思う。
ふっひーを見て、留学しても英語は?説は私の中で崩れた。


急に決まったロンドン行きで、何もあまり計画していなかった。
国際電話では長々話せないし、着いてから決めようと。
一応スコットランドかパリという案があったので、
私は興味のあるスコットランドの地球の歩き方を買っておいた。
どっちかというと私はスコットランド、ふっひーはパリに行きたかったようで、
でもせっかくガイドブックまで買ったし、はるばる来た私の希望を優先してくれて、
スコットランドに行くことに決まった。


スカイ島が人気らしい。でもガイドブックに載っている写真、
なんか二人を魅了させるものではなかった(実際行ったら違うんだろうけど)。
実は、ふっひーと私、○○の果てとか最○端とかに魅力を感じるのだ。

「大ブリテン島の最北端」

これだ、これしかない。
あっというまに北を目指すことに決まった。



ロンドンからエディンバラまで電車で一気に上がり、市内を歩き回った。
見るもの全てが新鮮だったなー。

翌朝、インヴァネスを目指す。
途中スコッチウィスキーで有名なキースという町に降り立つ。
ランチで入った地元の人ばっかりのレストランで、90代と80代のおばあちゃんと相席に。
90代のおばあちゃんが何言っているのかわからなくて、80代のおばあちゃんが訳してくれて、
それをふっひーが私に説明してくれるという、なんともややこしいやりとり。
でもなんかいっぱい笑った。

インヴァネスに着き、ピンクで超ラブリーなB&Bに泊まる。
スコットランド名物ハギスをテイクアウェイで。
油で揚げててオイリーで、半分も食べれなかった。
翌朝、ネス川にかかる橋の上で、ヨークシャーから来たおばあちゃん二人組みと知り合う。
写真を撮り合って、連絡先を教えてくれた。

あの後、ふっひーと一緒に写真を送ったら、しばらく文通が続いたけど、
さすがに途切れてしまった。
あのおばあちゃん達元気かな?
とふと思う。

その日は一気に北上し、最北端の町のひとつウィックへ。
インヴァネスから北は山が険しく、神秘な雰囲気が漂っていて、旅情を感じさす風景だった。
人懐っこい車掌さんに会う。
ウィックでの宿探しは難しかった。
本当は翌朝用事があるから、お客さんを取るのを控えていた奥さんが宿が
見つからなくて困っている私達のために、部屋を開けてくれた。

宿が見つかった後、さっそく北の果てに向かった。
私達が目指したのは、ジョン・オ・グローツという所。
勝手に崖っぷちを想像していたら、そうでもなくって、海に降りれてしまった。
先にはオークニー諸島が見えるし、あんまし「果て」という感じはしなかったな。
私達がイメージしていた絵葉書で見た崖はダンカンズビー岬と言って、別のとこにあった。
バスしか手段のない私達はあきらめた。

それでもここは一応北の果て、北緯59度というのが、なんか二人を興奮させた。
ふっひーが公衆電話から日本のお母さんに電話をした。

興奮して「今どこにいると思う?すごい北に来たんだよ。果てだよ。」

ふひママ「ほ、北極??」

お母さんのスケールの方がデカかったみたい。



ジョン・オ・グローツからウィックに戻るバスの中で、少しセンチになった。
北へ北へと来て、今折り返しているんだ、と思ったら。
バスから見える景色は、とても自然すぎる。
自分の中に何か新しいものが生まれている気がした。


ウィックに戻り、町を散策。途中で偶然バグパイプのマーチに会う。惚れ惚れ見ていた。
6月下旬とはいえ、風が強くとても寒かったし、夜も11時まで日が落ちなかった。

翌朝、一気にエディンバラまで戻った。
パブでちゃんとしたハギスを食べた。おいしかった。
スコットランドにすっかりはまってしまい、バグパイプのCDを購入。
帰ってから、ふっひーのフラットメイトに大笑いされた。




たったの5日間だった。今思えばなんと短い。
でもスコットランドの景色が私の心の中をなんとも言えない澄んだ気持ちにさせた。
心に余裕があって、見知らぬ人にも親切にできる人々、これがすごく印象に残った。




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