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2012.06.03 楽天プロフィール Add to Google XML

妹の引っ越し

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  抽┃斗┃図┃書┃館┃
  ━┛━┛━┛━┛━┛                                
                                                
 ひきだしとしょかん・325番目の抽斗
─────────────────────────
 
 
 
◇◇抽斗図書館のご案内◇◇
 
 
◆ 食卓の知 13 ◆ 
 
 当館の倉庫に<打ち寄せられた>寄木細工のテーブルについての
ご紹介の続きです。
 
 
 
ずっと説明を続けていた職人は、言葉を切って、
ふぅっと大きなため息をつきました。
 
 
 
「すごいお話ですね・・・どなたから伺ったんですか?」
職員は、一生懸命ノートを取っていましたが、
話が途切れたので、顔を上げました。
 
 
 
職人は、少しぼうっと しているようでした。
テーブルを凝視していた眼の力が抜けたのか、
表情が変化したように見えました。
 
 
 
「・・・あの・・・その・・・今の話、初耳なんです。
 自分で話していたんですけど・・・私は全然知らなかった・・・
 
 誰かが、私の口を借りて話していたとしか思えません。
 祖父からもこういう話は聞いたことがありませんでした」
 
 
 
「え? そうなんですか?
 うーん・・・なんだか信じられないです。
 でも、本当にあなたではない誰かが話していたかもしれません。
 口調というか、話している雰囲気が、
いつもとは、だいぶ違っていたように思います。
  
 もっとも、これまでにお話しする機会が
 そんなにあったわけじゃないですから、
 <だいぶ違う>という表現は正確じゃないですね」
 
 
 
「・・・普段の話し方がどんなふうなのか、自分ではよくわかって
 いないんですが。
 これもまた図書館の不思議なんでしょうね、きっと。
 ・・・それで・・えーと、その・・・一つお願いしてもいいですか?」
 
 
 
「何でしょう?」
 
 
 
「今、ノートを取っていらっしゃいましたよね?
 見せていただけないでしょうか?
 
 自分で話しながらも、聞いてはいたのですが、
 びっくりしてしまったので、記憶があやふやな部分があるのです 」
 
 
 
「いいですよ・・・あ、でも、走り書きなんで、読めないと思います。
 このお話、上司に報告してもいいですよね?」
 
 
 
「報告していただいて構いません。
 というより、これは私の情報ではありませんし、
 独り占めしたり、秘密にするようなものではありません」
 
 
 
「わかりました。
 では、タイプしたものをお渡しします。
 明後日くらいには、用意できると思います」
 
 
 
「どうもありがとうございます。
 楽しみにしています」
 
 
 
 
 
 
さて、今回の引き出しは「妹の引っ越し」
 
 
 
 結婚してから1年ほど住んだアパートから妹夫婦が引っ越すこと
になりました。転居先は、 そのアパートから徒歩10分弱の祖母の
家です。すでに干支が一回りしているくらい昔の話になるのですが、
鮮明に覚えているというのは、どうなんでしょう??? 年をとる
ほど、過去の記憶が鮮明になり、現在の記憶があいまいになるらし
いですが・・・
12年前を昔と捉えるか、最近と捉えるか?? これは、年齢によ
って違いますね。高校生にとっては「太古」かもしれません(笑)
 
 
 
 夫と一緒に引越しの手伝いに行きました。距離が近いし、大物は
クルマで運び、こまごましたものは手で運ぶことにしていたようで
す。最寄りの駅まで妹夫婦がクルマで迎えに来てくれました。当時
妹は妊婦でした。なので、重いものは絶対に持つなと釘を刺してお
いたので すが、持てると思ったら、持っちゃうんですよね。重そう
なものを持っている時には「あたしが運ぶから!」と言って取り上
げましたが・・・元気な妊婦さんというのは、自分ができることは
やっちゃうんですよね、普通に。自分が妊婦の時も、自分ができる
と思ったらやっちゃってました・・・食べたいと思ったものは、食
べていたし。悪いお母さんでした。
 
 
 
 私の場合、妊娠中に無性に食べたかった物は「キムチ」でした。
妹の場合は、「イチゴ」でした。しかも、彼女がイチゴを食べたが
った時期は、まだ出始めで、値段が高かったのです。「もうイチゴ
はたくさん!」というくらい食べさせれば、食べたがることもなく
なるだろうと考えた義弟は、大量のイチゴを 買ってきたそうです。
しかし、妹はペロリと平らげ、「もっと食べたい」と言い出す始末。
そういえば、姪っ子は、小さい頃、イチゴが大好きでした。自分の
お皿に載せられたイチゴを食べてしまうと「イチゴナイ」と言って、
大粒の涙をこぼしていました。息子は、辛い物が苦手なので、キム
チを食べたがるなんてことはありませんが、食べ物の好みは変わる
ので、もう少し大きくなったらキムチを食べたがるかもしれません。
 
 
 
 夫と義弟という男組はクルマで往復し、私と妹は、かさばるけど
比較的軽いものを運びました。お昼は、隠れ家レストランといった
雰囲気のお店で、パスタランチをおごってもらいました。おしゃれ
な街だったので、そういうお店には事欠か なかったのです。当時、
私たちは新築マンションに引っ越していましたが、その周囲はかつ
て「○○市のチベット」と呼ばれていた地域でした。十数年経って
も、その状況はほとんど変わっていませんでした。駅前までいかな
いと、本気で何もないのです。コンビニすらありませんでした。
 
 
 
 午後もせっせと荷物を運びました。妹に重いものは持たせないよ
うにしていましたが、その日はかなり暑く、荷物を持っていなくて
も、歩いていると、うっすら汗がにじんでくる感じでした。なので、
「休んでていいよ」と何度も言ったのですが、妹は「大丈夫だから」
と作業を続けていました、もっと短時間でささっと終わると思って
いたのかもしれません。頼んだ手前、自分が 休むわけにはいかない
と思ったのでしょう。
 
 
 
 夜は、どっしりとした木をふんだんに使った、おちついた雰囲気
の個人経営の居酒屋でおごってもらいました。とても感じのいいお
店でした。今でもあるのかな? 場所もお店の名前も何一つ覚えて
いないのですが。ここで妹夫婦のエピソードをいろいろ聞きました。
 
 
 
 義弟は兵庫県の出身です。昔、仕事上のかかわりがあった、京都
出身者は、話す相手が関東圏の人の場合は、京都弁を一切使いませ
んでした。イントネーションも完全に関東のものでした。彼が、京
都出身だと話すまでは、まったくわかりませんでした。義弟の場合
は、東京暮らしが長いはずなのですが、すぐに関西の人だとわかり
ます 。私にとっては、大阪・京都とその周辺はまとめて「関西」と
して捉えてしまっているのですが、東京・神奈川・千葉・茨城・栃
木・群馬・埼玉という「一都六県」がそれぞれぜんぜん違っている
ように、私が「関西」として把握している場所も、県や市町村単位
で、まったく違うと思います。
 
 
 
 妹が関西出身の人と結婚するとは思いませんでしたが、二人の会
話を聞いていると、本当に漫才のようです。考えてみると、妹は、
昔から言語表現が非常にユニークだったので、これが関西の笑いと
マッチしたのかもしれません。二人とも明るくて楽観主義で、おお
らかです。物事に対するこだわりが少ない点も似ているかもしれま
せん。(ごくごく限られた範囲では、こだわ ることもありますが)
 
 
 
 格安(笑)の手作り引っ越しで、第一回の作業を乗り切った妹夫婦。
しかし、それから一年経たないうちに、第二回の引っ越しとなりま
した。今度は実家の近くです。ここでも、値段の安さを重視した戦
略に出て、ちょっと顰蹙を買っていました。でも、「終わりよけれ
ばすべてよし」にしてしまえるのが、妹夫婦の強みです。話を聞い
ていると、ハプニング満載な日々なのですが、どれもこれも数か月
~数年後には「大笑いのネタ」になるものばかり。その瞬間には、
顔から炎が吹き出したり、穴を掘って埋まりたくなったとしても、
後々の笑いにつながるハプニングなら、人生の彩になるのではない
かと思います。もっとも、彩だらけですと、 何が何だかわからなく
なってしまうかもしれませんね(笑)。
 
 
 
 
 
■ あとがき ■
 日曜日の夕方、息子はおとーさんと一緒にお風呂を掃除しました。
おとーさんは一足先にお風呂場を出ましたので、湯船の中の泡をき
れいに流して、栓をして、ふたをしめて、「風呂自動」のスイッチ
を押すのが息子の役目でした。
 昨年から、ミネラルウォーターのペットボトルが空になると、水
道水を入れて保管しています。ある女流作家さんはペットボトルを
200本ほど保管していらっしゃるそうですが、そんな量はさすが
にムリ。大分少ないですが、16本を保管本数と決めて、お水のペ
ットボトルが空になると水道水を入れて追加し、古いものはお風呂
に入れています。(古いといっても、だいたい10日くらい前のも
のですが)
 ペットボトルを追加したので、古いペットボトルの中身をお風呂
に入れようと、湯船のふたをあけると・・・・

なんと・・・・!!!

 お風呂掃除用のブラシが浮いていました・・・!!!!

 おいおいおいおいおいおいおいぃぃぃ!!!

恐るべし小学生男子・・・!!
(一般化してはいけないのかもしれませんが)

 湯船のお湯の表面をうっすらと白い泡が覆っていたので、
すごくもったいないですが、お湯を入れ替えました。

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*ホームページ
Dream Writer:
 http://www.m2-dream.net/
抽斗図書館:
 http://plaza.rakuten.co.jp/mon060305/
*まぐまぐのページ
抽斗図書館
http://www.mag2.com/m/0000188150.html
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Last updated  2012.06.03 08:09:17
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2012.05.11

くーのこと
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  抽┃斗┃図┃書┃館┃
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 ひきだしとしょかん・324番目の抽斗
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◇◇抽斗図書館のご案内◇◇
 
 
 
◆ 食卓の知 12 ◆ 
 
 
 当館の倉庫に<打ち寄せられた>寄木細工のテーブルについての
ご紹介の続きです。 
 
 
 
「音が聞こえなかったのは・・・」
職員は言いかけて言葉を止めました。
<この図書館では、不思議なことが起こる>と
何度も話しているのにもかかわらず、自分が見たのは錯覚だったかも
しれないと感じました。
不確かなことを言うのは避けたいと思いました。
 
 
 
「?? 何か理由をご存じなんですか?」
職人は話の続きを聞きたがっているようでした。
 
 
 
「あの・・・もしかしたら、見間違いかもしれないんですが・・」
そう前置きすると、職員は、作業中の様子を見に行った時のことを
話しました。薄い靄のようなものがかかっていたこと、それは、
まるで天井から吊り下げられた天蓋のように見えたこと・・・
 
 
 
「レースみたいに見えました。とても綺麗でした」
 
 
 
「そんな風になっていたんですね。
 見てみたかったなぁ・・・
 私も不思議なものを見る経験がしたいです」
 
 
 
「不思議なものの中にいて、不思議な経験をしていたのに?」
 
 
 
「確かになんだか不 思議な感じはしていましたが・・・
 あまり実感がないんですよ。
 客観的に眺めてみたいのです」
 
 
 
「外から見ていると、中にいる人が羨ましいんですけどね。
 
 ・・・それにしても、このテーブル、模様も不思議ですね。
 どこから、こんなデザインのアイディアが出てきたのか、
 作った人に聞いてみたいです」
  
  
 
「そうですね。
 この模様は、複雑ではないけれど、意外な感じがしますね。
 意外性があるんだけど、これで落ち着く・・これでいいって感じ。
 
 ・・・これは、智慧を表しているんだと思います」
 
 
 
「智慧?」
 
 
 
「はい。智慧の智とは、<分けていくこと>なんです。
 ひとつのものを 、どんどんわけていくこと。
 私たちの身体は、身体という全体でとらえることもできますが、
 皮膚があって、筋肉があって、骨格があるという階層で捉える
 こともできるし、身体の中の、例えば心臓に注目して、心臓が
 何でできているのかを、細かくわけて見ていくこともできます。
 
 慧というのは、<統合すること><収束すること>です。
 智でどんどんわけていったものを、再び統合する。
 智と慧の組み合わせは、開く・閉じる、分解・組立、
 展開・収束・・・そういったことを意味します。
 
 寄木細工は、全体で一つの作品とみなすこともできますし、
 それを作っている一つ一つのパーツには、
 どんな木を使われているのか、というように 
  細かく見ていくことも可能です。
 
 この寄木細工が示しているのは、世界とか宇宙のようなもの・・
 <全体>というひとつのものであり、
 同時に無数に分割できる<個>です。
 
 食事もまた、一つの世界です。
 そこで供される料理は・・心を込めて丁寧に作られたものであれば、
 それは一つの宇宙です。お皿の上の宇宙です。
 
 様々な野菜や肉や調味料という個があり、それが統合されて、
 一皿の料理になるのです。
 
 個であるはずの野菜や肉や調味料もまた、別の面から見れば、
 統合されたものなのです。背後には、大勢の人やモノ、時間や
 エネルギー、そしてたくさんの命が潜んでいるのです。
 
 このテーブルの模様は、ここに置かれ る料理に、
 どんな意味があるのかを示しているのです。
 
 遠い昔、『智慧のテーブル』と呼ばれたこともありました」
 
 
 
 
 
 
さて、今回の引き出しは「くーのこと」
 
 
 
 引っ越してきて数日後。買い物から帰ると夫が
「ねこがきた」
と言いました。
・・・ネコ? 猫って??? 
彼がひげをそっていると、鏡ごしに廊下をさっと横切る白い物体が
見えたそうです。ぎょっとして見に行くと、毛足の長い優雅な猫が
玄関のドアの前に座っていたそうです。二つ離れた部屋の方が引き
取りに来て、この猫の名前は「くー」だと教えてくれたとのこと。
 
 
 
 その後、くーは何度も来ました。最初は飼い主の方が気にして、
すぐに引き取りにきましたが、老猫で、粗相をするわけでもなく、
数分~数十分の滞在で静かに帰っていくので、「ウチは別に構いま
せんよー」と話したところ、くーは、ふらりとやってきて、ふらり
と帰って行くようになりました。
 
 
 
 高貴な雰囲気の猫が時々遊びに来るというのは、なかなかいいも
のです。餌をあげたり世話したりすることなく、それぞれ好き勝手
なことをやって、時々並んで座ってぼーっとして・・・夏の夕方に
遊びに来るときは、のどが渇いていたのか、洗面台に飛び乗ること
がありました。「おじいさんだけど、まだまだ元気なのねぇ」と感
心しました。
 
 
 
 顔としっぽ以外の毛がばっさりと刈られている時期もありました。
ふわふわした毛がなくなると、くーはとても痩せて見えました。愛
嬌のある顔ではなく、哲学者風の容貌だったので「孤高の人(猫)」
という雰囲気になりました。修業中の僧侶という感じもしました。
 
 
 
 老猫でしたが、換毛期となるとやっぱりごそっと毛が抜けました。
(老猫だから余計に抜けたのかもしれませんが)真っ白くてふわふ
わでしたし、くーの毛だとわかっているので、嫌な感じはしません
でした。しかし、数十分の滞在でこれだけ抜けるのですから、くー
のおうちでは、いったいどんな状況になっていたのでしょうか?? 
動物を飼ったことがないので、換毛期の家の中がどうなるのか、想
像できません。
 
 
 
 昔の人は「猫は七代祟る」と表現したり、「化け猫」という非常
に恐ろしいキャラクター(?)を生み出しました。猫をよく観察し
ていたんでしょうね。子猫は、ほかの動物の赤ちゃんと同じく、と
ても可愛くて、純真無垢な感じがしますが、15年を超えて生きて
いる猫だと、何かしら魔法を使えそうな感じがします。身体の大き
さはまったく違っても、人間の子どもに対しては「お坊ちゃん・お
嬢ちゃん」的な見方、つまり自分が目上という視点で見ているよう
な気がします。オトナであっても、じっと見つめて「つまんない奴」
とか「ちょっと骨がありそうだ」などと値踏みしているような感じ
がします。
 
 
 
 自分が「おばあちゃん」になったら、猫を飼いたいのです。子猫
ではなく、老猫。ただ、世話ができなくなる可能性もあるので、な
かなか難しいですけど。くーみたいに、よそのうちの老猫が遊びに
きてくれれば、イチバンなんですけどね。
 
 
 
カメラで撮った写真をデジカメで撮影しているので、ちょっとボケ
ていますが、くーの写真とお別れの日のことを書いた日記です。
 
 URL:
  http://www.m2-dream.net/?p=1942
 
 
 
 
■ あとがき ■

 いろいろあってほぼ週末ごとに図書館へ行っております。夫が出
勤の場合は、息子もつれていきます。図書館の中は丁度いい温度だ
し、児童書のコーナーはトイレも冷水器も近いので、とても便利。

 先日、息子は、でんじろう先生の工作の本を借りてきました。
あの子が幼いと思うのは、2,3歳くらいの子が、自分の身長とか
体力を一切考慮せずに、お兄ちゃん・お姉ちゃんができることは、
自分にもできると本気で思っているのと同じで、オトナ(プロ)が
やっていることを自分も同じようにできると信じている点です。
もちろん、スポーツとかピアノに関しては、<現実>を知っている
ので、そういう信じ方はしないのですが、爆丸をペイントするとか、
木材を切ってコマを作るとか、そういうことはプロと同じレベルで
できると信じてしまうようです。色塗りとか木を切るとか、動作自
体はシンプルですが、塗った結果・切った結果は、プロと素人では、
天と地ほどの差がつくということがどうもわかっていないようです。

 工作の本に載っていたコマを作るんだ!!と固く固く決意した息
子は、おとうさんに小さな積み木くらいのサイズの木片を買っても
らい、それを持って父方のおばあちゃんちへ。こちらは電車で一駅
なので、意気揚々と出かけていきました。(一人で行くのは、初め
てだったので、おじいちゃん・おばあちゃんはドキドキしながら待
っていたかもしれません。息子は、駅までのお迎えも断ったので、
よけい心配させてしまったかも・・・)おばあちゃんの家についた
早々に、小さな木片を取り出して、1センチくらいの厚さに切って
ほしいと頼まれたおじいちゃんは、大迷惑だったかもしれません。
バリバリの他力本願で完成したコマ。色塗りは本人がやるつもりの
ようですが、まだ着手していない状態です。


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*ホームページ
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Last updated  2012.05.11 22:00:49
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2012.05.03

引っ越し


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  抽┃斗┃図┃書┃館┃
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 ひきだしとしょかん・323番目の抽斗
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◇◇抽斗図書館のご案内◇◇
 
 
◆ 食卓の知 11 ◆ 
 
 
 
 当館の倉庫に<打ち寄せられた>寄木細工のテーブルについての
ご紹介の続きです。 

 
 
「あの・・・修理していて、何かわかったことってありますか?」
 
 
 
「そうですねぇ。改めて不思議なテーブルだと思いました。
 自分のご先祖様が作ったと聞かされていたせいもあると思いますが、
 とても懐かしいような、近しい感じがしました。
 それ と・・・不思議な話には慣れていらっしゃると思うんですが、
 話しかけられているような気がしました。
 
 声が聞こえるわけではないんですけどね。
 
 たとえば、傷んでいる部分を直す時・・・傷みのひどい場所だけ
 直すのではなく、その周囲のかなり広い範囲も手を加えます。
 その時に、それでいいとか、それは違うとかっていうのを
 なんとなく感じました。
 違っている時、代わりのものとして選んだ木が違うとか、動かす
 方向が違うとかってことなんですけど、手が止まるんですよ。
 勝手にというか、自然にというか。
 頭では、こういうふうにやるって決めて、そのとおりに手を動か
 しているんですが、それがピタッと止まってしまうんです。
  最初はびっくりしました。手が止まると違和感があったので、
 何か違うんだなと思って、やり方を変えたら、その後は、普通に
 作業できました」
 
 
 
「それは面白い経験でしたね。
 テーブルがやり方を指示しているみたいな・・・」
 
 
 
「ええ。確かに、指示されているような感覚はありました。
 手が止まってしまったんですけどね、
 それでも、強制されているというよりは、
 導かれているという印象が強かったです。
 
 不思議だと感じたことの一つは、
 テーブル自身が意思みたいなものを
 持っているみたいだという点です。
 作業場の方から伺ったのですが、
 この図書館にも<意思>があると言われているそうですね」

 
 
「私も聞いたことがありますよ。
 ここにいろいろなものが打ち寄せられる背景には、
 図書館の意思が働いているそうです」
 
 
 
「テーブルの意思かもしれないし、
 図書館の意思がテーブルを通して表れたのかもしれませんね。
 いずれにしても、とても面白い体験でした。
 修復作業を担当できて嬉しかったです。
 ありがとうございます」
 
 
 
「どういたしまして・・・
 たぶん、あなたにやってもらうというのも、
 図書館か、テーブルの意思なんだと思いますよ。
  
 私はそれほど不思議な経験はしていませんが、ここで長く働いて
 いる人たちのお話では、<これは、図書館の意思だ>と確信した
 不思議な出来事が何度も起 こっているそうです。
 人によって経験したことは全然違うし、
 その頻度もまちまちですが。
 
 ・・・他に何か感じたことはありますか?」
 
 
 
「そうですね。時間が経つのがとても早かったです。
 確かに、ものすごく集中していたのですが、自分が感じていた
 経過時間と、実際の時間にはギャップがあったように思います。
 
 寄木細工は大好きなので、夢中になってしまうんですけど、
 他の音とか全然聞こえなかったし、作業と関係ないことが、
 心に浮かぶことも一切なかったです」
 
 
 
 
 
 
 
さて、今回の引き出しは「引っ越し」
 
 
 
 どうしてマンションを買おうという話になったのか、きっかけは
忘れま したが、買おう!と決めると、いろいろ探しまわりました。
最初にトライしたのは、亀戸駅前という新築マンション。何で亀戸
だったのか、今となってはわかりません・・・
 
 
 
 抽選会というのにも参加しました。見事ハズレ!! 後日、販売
会社から「キャンセルが出たので買いませんか?」というお知らせ
がありましたが、手も足も出ないような値段のお部屋でした。
 
 
 
 当時住んでいたアパートの周辺環境は、結構気に入っていたので、
この近辺で捜したこともありました。モデルルームを見て、営業の
方のお話を聞いて・・・あの頃の住宅ローンと今の住宅ローンでは、
別世界のようになっているんじゃないかなぁと思います。今じゃ、
考えられません が、まだ「ゆとり返済」みたいな仕組みがありまし
たから。日本経済の右肩上がりの成長を誰もが確信していたし、長
く勤めていれば、当然お給料はそれに応じて上昇するというのが、
大前提だったのでしょうね。
 
 
 
 営業の方の性格なのか、それとも会社方針なのか、「共働きなん
だから、このくらいはイケますよ」と、かなり高額な部屋を薦める
営業もいれば、「今後、何があるかわかりませんから、奥様の収入
は、ないものとして考えましょう」と提案する営業もいました。
 
 
 
 アパート暮らしは悪くなかったし、楽しかったので、かなり長期
戦で捜したような気がします。「これ!」というのが見つかり、購
入を決めました。住宅ローンというのをはじ めて組みました。紙送
りの穴があいた紙にみっしり・びっちりと印字された、膨大な返済
表が送られてきました。一番左に日付が並んでいるのですが、全く
現実感のない数字でした。
♪これからぁー 31年経ーてばー この世は二十一世紀ー
 このときふたりはどぉしているか やっぱり愛しているかしら♪
という二十一世紀音頭の歌詞を思い出してしまいました。
 
 
 
 引っ越しの日が決まり、鍵が渡されると、まず「植物さん」を運
びました。アパート時代、近所に「購買意欲をそそる植物屋さん」
があったので、かなりの鉢植えがあったのです。クルマに積んで、
マンションの部屋に運び込みました。
 
 
 
 部屋に入ったとたん、ツーンとするような刺 激臭を感じました。
有機溶剤の匂いです。図工で使ったニスの匂いで鼻血を出したこと
もある私には、かなり不快な匂いでした。窓を開けておきましたが、
そう簡単に消えそうにないなと感じました。
 
 
 
 案の定、エアプランツは全滅してしまいました・・・可哀そうな
ことをしてしまいました・・・知人から「部屋を閉め切って、ガン
ガン部屋を暖めて、その後、ガンガン換気を繰り返す」という話を
聞いたので、やってみました。何度かやって、匂いは和らぎました
が、鼻が感じる不快感というのは、相当なものなんだなぁと改めて
実感しました。
 
 
 
 ちょうど職場の夏休み期間中だったので、のんびり片付けようと
思っていたところ、夫が「おばちゃ んたちが見に来るから」の爆弾
発言。おばちゃんたちというのは、義母の二人の姉です。マドレー
ヌ事件に勝るとも劣らないくらいの大噴火を起こしてしまいました。
それからは「メシ・フロ・ネル」以外はひたすら片付け作業。お陰
であっという間に片付きましたが、「勝手に約束しおって」の怒り
はおさまらず、母に愚痴をこぼしたところ、
「<引っ越してきたばかりなので、まだ散らかってまして>って言
 えばいいのよ。遊びに来てくれる人達もわかってるんだし」
と言われてしまいました。ま、どんな内容であれ、私の両親は、夫
の味方です。頼れる婿殿なのです。基本的に私が悪者にされるので
大変面白くないのですが、こういうところで日頃の言動が問われる
のでしょ う。
 
 
 
 引っ越し直後の写真を見ると、ベンジャミンやパキラは、まだま
だ小さくて可愛い状態です。今は、天井に届く勢いで、気ままに葉
っぱを茂らせています。子どももこれと同じで、小さくて可愛い時
期を過ぎると、気ままに巨大化していくんですよね。特に男子は。
27センチくらいの靴が玄関にゴロゴロしているのは嫌です・・・
 
 
 
 
■ あとがき ■
 日曜日、息子は大きなリュックを背負って、ばばんち(私の実家)
に出かけていきました。もう二度目なので、余裕綽々・・・のはず
が、家を出て約30分後、電話をかけてきました。「あのね、どう
するの?」「はぁ????? い、今どこにいるのッ」「えきー」
駅って・・・それじゃ、わかるわけないでしょーーーーー!!!!
「どこの駅?」「○○」「電車の一番前に乗ったんでしょ???」
(かなり焦っているワタクシ)「うん」「階段あるでしょ??」
「うん」「それをのぼるの」「わかったー ブチッ」・・・約40
分後「ばばんちついたよー」・・・あの電話は何だったんだ???
駅のホームでかけてみたかっただけ??
 ばばにもじじにも、二人のオバにも、途中の電話の話は一切しな
くて「二回目だから、全然迷わないで来られたよ~☆」と鼻高々だ
ったそうです。都合の悪いことは一切話さないでシラを切りとおせ
るようになったらしい。これもまた成長なんですね。


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*ホームページ
Dream Writer:
 http://www.m2-dream.net/
抽斗図書館:
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*まぐまぐのページ
抽斗図書館
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Last updated  2012.05.03 19:46:10
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2012.05.01

アパート生活
[ メルマガ ]    

 
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  抽┃斗┃図┃書┃館┃
  ━┛━┛━┛━┛━┛                                
                                                
 ひきだしとしょかん・322番目の抽斗
─────────────────────────
 


◇◇抽斗図書館のご案内◇◇
 
 
◆ 食卓の知 10 ◆ 
 
 
 当館の倉庫に<打ち寄せられた>寄木細工のテーブルについての
ご紹介の続きです。 


 
 翌朝早く、職員が倉庫の鍵を開けていると、
「おはようございます」
と、後ろから明るい声が聞こえました。
 
 
 
「おはようございます。
 早めに来たつもりなんですが、もうおいでになるとは」
 
 
 
「もう一度テーブルを見たかったんです。
 それから・・・あの、いろいろお話もしたかったし」
 
 
 
「そうですか・・・どうぞお入りください。
 お茶を入れてきます。
 あのテーブルで飲むわけにはいきませんけどね。
 横の作業台で飲みましょう。
 準備をしてくる間、テーブルをご覧になっていてください」
  
  
 
職員がいい香りのお茶を用意してテーブルのところへ運びました。
 
 
 
「特別なお 茶なんですか? とっても香りがいいですね」
 
 
 
「喫茶室でたまに出されることがあるお茶ですよ。
 このお茶を作っている人が友達なので、時々、わけてもらって
 いるんです」
 
 
 
「とっても美味しいですね。
 あのテーブルを使っていたのは、王族だと聞きましたが、
 その人たちも、あのテーブルで、美味しいお茶や、すごい馳走を
 楽しんでいたんでしょうね」
 
 
 
「そうですね。
 きっと豪華で珍しい料理が並んでいたんでしょうね。
 ところで、あなたの家にある、あのテーブルの絵というのは、
 どういう絵なんですか? 食事をしている絵なんですか?」
 
 
 
「いいえ。テーブルを・・見ている・・鑑賞しているみ たいな感じ
 なんです。不思議な色の目をした、とても賢そうなお年寄りと、
 若い人がテーブルを眺めていて・・私はそれを見て、お年寄りが、
 若者に何か説明しているところだと思っていました」
 
 
 
「その絵も古いんですよね?」
 
 
 
「そうだと思います。
 この図書館に持って来て調べれば、何かわかるかもしれません。
 絵の中の人物は、大きな布をゆるやかに身体に巻きつけていて、
 腰のあたりで帯のようなものを結んでいます。
 
 かなり昔の衣裳だと思うのですが、昔風の衣裳を着せて、
 人物を描いた可能性もあります。
 
 祖父が子どもの頃からあったと話していました。
 祖父は、彼のおじいさんに当たる人が子どもの頃か らあったと
 言っているのを聞いているそうなので、二人の記憶に間違いが
 なければ、100年以上昔ということは、確実かもしれません」
 
 
 
「その絵の中のテーブルは写実的に描かれていたのでしょうか?
 だから、このテーブルと同じものだとわかったのですか?」
 
 
 
「あの絵は・・・それほど鮮やかではないんです。
 もともとそういう色だったのかもしれないし、
 褪色してしまったのかもしれませんが。
 
 あのあたりを見て下さい。白い木と淡い色の木を使って、繊細な
 模様を表現していますよね? 
 ああいうのはハッキリとわかる形にはなっていなかったし、
 全体的な模様も、実物ほど鮮明ではないです」
 
 



さて、今回の引き出しは「アパート生活」
 
 
 
 ある日、夫がマッキントッシュを買ってきました。iMacが出る前
の地味な機種です。そして、インターネットライフが始まりました。
同時に、家計管理も電子化(?)されました。夫が「クラリスワー
クス」という表計算ソフトにいろいろな計算式を入れて、給与明細
に記載されている、保険料や積立金、差引支給額等を入力すると、
それぞれの拠出金が計算されるというものを作ったのです。現在は、
同じ仕組みがエクセルに引き継がれています。計算式がどうなって
いるのかわからないので、もしかしたら夫に有利なようになってい
るのかもしれません(笑)。でも、お小遣いとして表示される額が
ほぼ同額なので、 ものすごくズルイことはやっていないと思います。
 
 
 
 結婚して2年目くらいだったか、ものすごく忙しい時期がありま
した。胃が痛くなるような緊張が続いていました。そのせいなのか、
鼻血を出すことが多く、会社で書類の上に落してしまったこともあ
るし、寝ている間に鼻血を出していることもありました。ある日、
いつも通りにぼーっとした状態のまま二人で軽い朝食を食べ(二人
とも慢性的な寝不足な日々でした)、顔を洗おうと洗面台に向かう
と、なんと!鼻から頬にかけて、赤黒い線がついているではありま
せんか! 寝ている間の鼻血が乾いた跡だったのですが、夫は何も
言わなかったのです。妻の顔なんか見てないんだということがわか
りました。頭骸骨 がなくなったら、さすがに気づくでしょうが、そ
れ以外のことはきっと、彼にとっては「瑣末なこと」なんだなぁと
思いました。
 
 
 
 最寄駅には地味なスーパーがありました。日頃はここで買い物を
していました。駅と反対方向へ続く坂道を上がっていくと、ちょっ
とおしゃれ(?)なスーパーがありました。たまにここで買い物を
して、重たいレジ袋をぶら下げて、えっちらおっちらとアパートに
帰っていました。当時、この坂道には、謎の服飾学校や、思いつき
で建てたとしか思えない不思議なお店とか、更地とか、空家があっ
て、指に食い込む重さのレジ袋をぶら下げてヨロヨロ歩いていても、
全然OKでした。アパートを出て、数年後にもう一度訪れてみると、
この「なんだかなぁ」の坂道は、おしゃれなお店が点在する、それ
なりの場所に変わっていました。自由が丘みたいな感じではありま
せんが、とってもラフな格好で、レジ袋をぶら下げてヨロヨロ歩い
たら、ちょっと場違いかも・・・??
 
 
 
 このアパートの生活は楽しかったし、特に不満もなかったのです
が、マンションを購入することになって引き払うことになりました。
最後に、この近辺のレストランや居酒屋に行ってみようということ
になり、週末は、昼夜とも外食でした。エンゲル係数が高くなって
しまいましたが、楽しかったです。比較的新しいお店が多かったと
思います。あれから何年も経っていますが、どうなっているでしょ
うか?? 現在、自宅周辺には 、いいレストランが皆無というわけ
ではありませんが、とても数が少ないので、仮にお金がたっぷりあ
ったとしても、週末ごとに別のお店で食事をするというわけにはい
きません。最近あのアパートのあたりは、すっかりご無沙汰なので、
文章を書いているうちに行ってみたくなりました。田園都市線に乗
る機会はありましたので、その時に窓から眺めていたら、あのアパ
ートはまだ残っていました。今年で築何年になるのでしょう?? 
大家さんは今もお元気でしょうか?? たくさんの鉢植えは今はど
ういう状態になっているでしょうか??
 
 
 
 学生寮、共同生活アパート、線路際のアパート。どれも思い出が
たくさんあります。共同生活アパート以外は、まだ残ってい ると思
います。この3か所に住んでいた時期は、自分自身、若くて元気で
したし、社会にも活気がありました。将来のことが何ひとつわから
なくても、現時点で何も決められなくても、きっと楽しくていいこ
とがあるに違いないと感じられた時代でした。





■ あとがき ■
 4月も残り少なくなってまいりました。息子は早速、しかも何度
も先生に注意されているようです・・・しかも母も失敗多発・・・
親子共々なんだかなぁ状態でございます。(滝汗)
 来月には個人面談が予定されているようで、「この母にしてこの
息子」と思われるんだろうなぁ(涙) 夫は「自分は関係ない」と
言わんばかりの態度ですが、<忘れ物大王>の血は父親から来てい
るのは間違いない!! 
 しかし、忘れ物しようと、失敗しようと、先生に叱られようと、
通学班の集合時間よりはるかに早く出ていく息子。学校が好きなら
それで万々歳ってことで。


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Dream Writer:
 http://www.m2-dream.net/
抽斗図書館:
 http://plaza.rakuten.co.jp/mon060305/
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抽斗図書館
http://www.mag2.com/m/0000188150.html
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Last updated  2012.05.01 07:00:51
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2012.04.19

線路際のアパート
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 ひきだしとしょかん・321番目の抽斗
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◇◇抽斗図書館のご案内◇◇
 
 
◆ 食卓の知 9 ◆
 
 
 
 当館の倉庫に<打ち寄せられた>寄木細工のテーブルについての
ご紹介の続きです。
 
 
 
 作業場の入り口から職員は中を窺いました。ちょうど休憩時間な
のか、2,3人しかいないようでした。
時間を改めて来ようと思った時、後ろから声をかけられました。
 
 
 
「どなたに御用ですか?」
振り返ると、テーブルを修理した若い職人が立っていました。
 
 
 
「ちょうどよかった。お話があるんです。
 今、お時間は大丈夫ですか?
 ご都合が悪ければ、また来ます」
 
  
 
「大丈夫ですよ。あちらにテーブルとイスがありますので」
 
 
 
入り口を通り過ぎてしばらく行くと、藤棚があり、その下に
どっしりとしたテーブルとイスが置いてありました。
 
 
 
イスに腰を下ろすと職人はすぐに尋ねました。
「何のお話でしょうか? 
 あの、私がやった修理に、何か問題があったのでしょうか?」
心配そうな表情でした。
 
 
 
「全く問題ないです。とてもきれいに修理していただきました。
 ありがとうございました。
 上司に報告しましたが、何の問題もないと言われました」
 
 
 
「そうですか・・・ああよかった・・・」
 
 
 
「今回の作業について、どうしてあなたに依頼したのか、上司から
 訊かれました。
 
 あなたの作業の評価はとても高いのですが、寄木細工の作業は、
 この図書館では一度もやっていなかったので・・・
 なぜ、寄木細工の技術を持っていることがわかったのか、
 不思議だったようです。
 
 三つ星のマークの話をして、あなたから伺ったお話も伝えました。
 私の上司はこの図書館で長いこと働いているので、
 不思議な話には、とても興味があるようでした。
 
 今回の作業の詳細な経緯や、修理を通じてあなたが得た情報に
 ついて、じっくり話を聞いて報告するようにと指示がありました。
 どこかでお時間を取っていただけないでしょうか?
 あのテーブルを見ながら話を聞くようにと指示されているので、
 また倉庫に来ていただき たいのです」
 
 
 
「明日の午前中でいいですか? 
 私が倉庫で作業していたくらいの時間が丁度いいんですけど、
 それじゃ、早すぎますよね・・・何時頃がいいですか?」
 
 
 
「私は今でもあの時間に来て仕事をしているんです。
 早朝は、とても仕事がはかどるので・・・
 だから大丈夫ですよ」
 
 
 
「そうですか。
 では、明日の朝、伺いますので。
 よろしくお願いいたします」
 
 
 
 
 
 
さて、今回の引き出しは「線路際のアパート」
 
 
 
 今からン年前の11月の下旬に結婚したのですが、結婚を決めた
のは同年5月の連休明けでした。アパートが決まったのは9月くら
いだったと思います。前の住 人がいるからという理由で、部屋を見
ないで決めてしまうといういい加減さでした。
 
 
 
 二人の勤務先のほぼ中間地点として選ばれたのは東急田園都市線
の急行が止まらない駅でした。田園都市線は、駅によっては、おし
ゃれなイメージがありますが、当時は、フツーな感じの駅が多かっ
たと思います。アパートはまさに線路際にありました。細い道を隔
てて、本当にすぐ線路でした。夫が寮を引き払って住み始め、私も
少しずつ荷物を運びに行ったりしていたのですが、電車が通過する
たびに轟音が・・・。「こんなところで暮らせるわけない!」と思
っていましたが、家に帰ると忘れていました(笑)。
 
 
 
 タンスとテーブルとイスは母がお祝いとして買っ てくれました。
こういうものが運び込まれると、「箱」のような空間が、家らしく
なります。アパートは2DK。玄関から入って左手に小さな靴箱が
あり、その奥がキッチン+リビング。玄関から向かって左手の壁に
食器棚と冷蔵庫を置きました。右側には、トイレとお風呂に続く扉
があり、扉の横にはなぜか洗面台がありました。今考えると、リビ
ングに洗面台があるって、ヘンかも・・・しかも、中途半端に古い
旅館やホテルに備え付けてある洗面台ソックリ・・。そういえば、
湯船が異常に深かったのを思い出しました。湯船のタテヨコはさほ
ど大きくなかったので、深さで勝負していたのでしょうか??
 
 
 
 リビングの奥に洋間と和室がありました。洋間にはタンス と低い
本棚を並べ、和室は寝る部屋にしました。当時の写真を見ると、若
いっていうのは、かなりのことでもヘッチャラってことなんだなぁ
と感じます。部屋の中は、かなり雑然としています。写真撮るなら、
片づけてからにしろよ・・・夫は別人28号ですが、夫に言わせる
と、私も完全に「ベツノイキモノ」だそうです。
 
 
 
 大家さんが1階に住んでいたので、そこそこしっかりした建物だ
ったと思います。お隣りや上の部屋の音が聞こえてくることはほと
んどありませんでした。電車の音は、最初は「ありえない!!」と
思っていましたが、あっという間に慣れてしまいました。耳がキャ
ンセルするらしいです・・・ある意味、コワイですけど。
 
 
 
  何人かの友達が遊びに来てくれました。夫はここぞとばかりに、
料理を作り(理科実験風の料理)、さらに和菓子の本を買ってきて、
冷やして固める程度ですが、和菓子をふるまったりしました。何を
アピールしたかったのでしょうか?? でも、そのおかげで、あれ
からかなりの時間が経っていますが、「○○(私のこと)のダンナ
さんは、すっごく出来た人」「すごくやさしい人」という名声(?)
を保っています。
 
 
 
 私の幼馴染が遊びに来てくれたこともありました。その日、夫は
休日出勤でした。ものすごく美味しいマドレーヌを持ってきてくれ
ました。私はそれを大事に少しずつ食べたかったのですが、「置い
てあるお菓子は食べていい」という方針の家庭で育 った夫は、ウマ
イウマイとワシワシ食べてしまったのです。・・・何年前の話だよ
という感じですが、私にとってはあり得なかったので、とてもよく
覚えています。食べ物の恨みって強いですよね~ 特に自分が食べ
たかったものを断りもなく食べられてしまった場合には・・・義母
は個人病院の看護師で、病院宛に届いたお菓子(それなりのレベル)
を箱ごと貰ってくることが多く、夫と彼の弟は、何も考えずにワシ
ワシ食べていたそうです。なので、幼馴染が持ってきてくれたマド
レーヌもそのノリだったようです。私がどうしてそんなに激怒した
のか理解できなかったらしいです。
 
 
 
 いずれにしてもこの「マドレーヌ事件」が結婚生活の最初の最大
の危機だった かもしれません(笑)。全然違う環境で別々に育った
二人の大人による共同生活ですから、波風立って当然なんですけど
ね。ガタガタぶつかり合っているうちに、だんだん丸くなっていく
んだと思います。もちろん、とんがったままの部分が完全に消える
わけではありませんが・・・特に私は・・・苦笑
 
 
 
 
■ あとがき ■
 土曜日、息子は大きなリュックを背負って「おばあちゃんち」へ
一人で出かけて行きました。地下鉄に乗り、JRに乗り換え、さら
に私鉄に乗り換えるのです。夫は首都圏の電車の乗り換えガイドブ
ックのようなものを買ってきて、必要なページに付箋を貼って渡し
ました。「これでわかるよ」・・・ってわかるわけない!!同じ道
を何度通 っても全然覚えないんだから! おばあちゃんちは何度も
行っていますが、私と一緒だと「ついていけばいいや」なので、全
く覚えようとしません。なので、階段を上ったら、こっちへ行って
自動改札を出て・・・と地図(?)のようなものを書いて渡しまし
た。夫は「過保護すぎー」と言っていましたが。到着予想時刻より
10分ほど遅れて「ついたよー」という電話がありました。最後の
私鉄で、私が想定していた電車の一本後に乗ったのでしょう。
 
 
 日曜日の午後、にこにこしながら帰ってきました。「もう一人で
行けるよね?」と聞くと「乗り換えの地図、かいてね」・・・いい
加減覚えてくれー!
  

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Last updated  2012.04.19 22:06:47
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2012.04.12

カーテン
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 ひきだしとしょかん・320番目の抽斗
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◇◇抽斗図書館のご案内◇◇
 
 
 
◆ 食卓の知 8 ◆ 
 
 
 当館の倉庫に<打ち寄せられた>寄木細工のテーブルについての
ご紹介の続きです。
  
 
 
 数か月かかって、テーブルの修理は完了しました。とて丁寧で見
事な仕事ぶりでした。テーブルの縁がひどく傷んでいたことなど、
全く分からない状態になっていました。
 
 
 
 作業の終了を報告した数日後、職員は管理チームの責任者から呼
ばれました。そして、どうやってあの職人を探し出したのか聞かれ
ました。これまでの仕事についての評価は、非常に高かったものの、
まだ数が少なかったし、寄木細工の作業は一度もやっていなかった
からです。
 
 
 
 職員は、三つの星のマークが見えたことや、職人から聞いたこと、
自分が見た作業中の様子を話しました。管理チームの責任者は、こ
の図書館で長年働いているので、不思議なことには慣れているらし
く、職員の話を興味深そうに聞いていました。
 
 
 
 最初に見えた三つの星を気のせいにせず、重要な情報として扱っ
たことを責任者は褒めてくれました。そういう「ふっと浮かんだこ
と」をいつも大事にしていれば、有益な情報が、意外な形でもたら
されることが増えていくだろうと言いました。
 
 
 
 そして、最終の点検は手順書通りにきちんと終わらせてあるし、
今回の結果には何の問題もない、と前置きした上で、責任者は、あ
の職人をもう一度倉 庫に呼ぶように、と言いました。二人で一緒に
あのテーブルを見ながら、作業の詳細な経緯や、今回の修理を通じ
て得た情報について、じっくり話を聞き、それを報告するよう職員
に指示しました。
 

 それを聞いて職員は嬉しくなりました。何となく寂しい気持ちが
していたのです。仕事がはかどるので、テーブルの修復作業が終わ
ってからも、早い時間の出勤は続けていたのですが、誰とも挨拶を
せずに仕事を始めるのは、どうにも居心地が悪く、でも、それを管
理チームの誰かに話したところで、理解されないので、ちょっとで
もいいから、職人と話をしたいと思っていたのでした。 
 
 
 
 できるだけ早くご報告しますと言って、一礼すると、職員は自席
へ戻りました。書きかけの書類を仕上げると、すぐに作業場へ向か
いました。
  
 


さて、今回の引き出しは「カーテン」
 
 
 
 大学での楽しい4年間が終わると、いよいよ就職です。やや陰り
が出始めていたとはいっても、まだまだ日本の<バブル濃度>は、
それなりに高く、特にウリとなるものが全くない私でも就職できた
のでした。今の時代では考えられません・・・イケイケGOGO!
の社会では、人海戦術というのも必要だったようで、私などはまさ
に「頭数をそろえる」「猫の手」要員だったんでしょうねぇ。
 
  
 
 面接の段階で、もう配属先は決まっていたようでした。面接会場
で目にした人々は、ほぼ全員が同じ事業部でしたので・・・「役員
面接」という大仰な名前の面接もありました。何を聞かれるかとド
キドキしていた のですが、成績証明書をちらっと眺めたエライ人は
「大学でサークルとかやってましたか?」と聞いてきました。「ハ
イ、文芸部でした」「そうなの。あなたは一気呵成に書くタイプ?
それともじっくり練って書くタイプ?」・・・「イッキカセイ」が
なんだか外国語のように感じられたのが、ついこの間のようです。
どういう答えがヨシとされるんだろう?などと考えることなく、何
故か慣用表現を入れるべきと思ってしまい、「大風呂敷を広げてた
ためなくなることが多いです」などと口走り、笑われました。
 
 
 
 無事に入社が決まり、配属はとっくに決まっていたのですが、新
入社員には知らされず、自分は都内で働くんだと勝手に思っていま
した。しかし、ふたを開 けてみると、勤務先は県内の工場の中の研
究所。電車は下り。工場なので、ピエロみたいなヘンテコな職服を
着なければなりませんでした。
 
 
 
 4年ぶりに戻った実家で、私の部屋となったのは、北側の四畳半
でした。南側の六畳間も空いていたはずなのですが、どうして北側
になったのか、記憶がありません。数年間、誰も使っていなかった
ので、カーテンは薄汚れていました。カーテンを取り換えて欲しい
と言うと、新しく買うか、自分で作るかだと言われました。お金が
なかったので作ることにしました。レースのカーテンは、使ってい
ないものを母が出してきてくれたので、それを使うことにしました
が、長すぎたので、裾をまつり縫いしなければなりませんでした。
まつり縫いは慣れていたので、面倒だとは思いませんでしたが。
 
 
 
 三姉妹の中で、私だけ「まつり縫い歴」は長いのです。長女の姉
は新品のスカートを買ってもらえたし、三女の妹もたいてい新品を
買ってもらえたので、スカートの裾上げなぞしたことがないはず。
姉のお古のスカートは、たいてい裾上げが必要でした。母は待ち針
を打つところまではやってくれるものの、後は自分でやらなければ
なりませんでした。「なんであたしばっかり!!!」と思っており
ましたが、長い目で見れば、「まつり縫いが苦じゃない」というの
は、とても良いことでした。スカートのすそがほつれても、とっと
と直せますから。でも、小学生にはそんなことわかんないですよね。
 
 
 
 カーテンの生地を買いに行ったら、結構なお値段だったことが判
明しました。具体的にいくらだったのかは忘れましたが、自分が予
算として考えていた金額よりも、ずっと高かった記憶があります。
仕方なく、紺色のギンガムチェックの安い布を買いました。たぶん
ポリエステルだったと思います。これをミシンで縫いました。
 
 
 
 実家のミシンは足踏みミシンでした。ミシンに関しても、なぜか
私だけ「修行」をしてるんですよね。最初に足踏みだけやって、次
に針をつけて古いカレンダーに穴をあけ、最後に大量の雑巾を縫い
ました。姉や妹は縫物に興味がなかったのでしょうか?? この修
行は、非常につまらないものでしたが、ミシンを使わせてもらうた
めに我慢しました。
 
 
 
 中学校の家庭課室には足踏みミシンと電動ミシンと両方がありま
した。実習では、ほぼ全員が電動ミシン希望で、待ち行列になって
いました。足踏みミシンを使う人はいなかったので、私は一番きれ
いでカッコいい足踏みミシンを選んで使っていました。中学時代、
同級生から「スゴイ!」と言われることなどありませんでしたけど、
ミシンに関しては、ちょっとしたプロでした。当時の電動ミシンは
多機能のものもあったと思いますが、学校の電動ミシンは「動力の
み電動」という感じで、糸のかけ方も下糸が絡まってしまった時の
対処の仕方も足踏みとほとんど同じでした。なので、先生の代わり
に、立ち往生している人のお手伝いができたのでした。
 
 
 
 実家のミシンは足踏みミシンに電動部品をつけて、「なんちゃっ
て電動」になっていました。これが恐ろしく使いにくく、「なんで
電動にしちゃったの?!」と母に文句を言ってしまいました。いろ
いろな縫い方ができなくても、ボタンホールが作れなくても、やっ
ぱりミシンは足踏みに限ると今でも思っています(笑)。四苦八苦
してなんとか縫いあげ、母からもらった中古のカーテンフックをつ
け、カーテンレールに吊るしてみました。そして長さを決めて、待
ち針を打ち、得意の(?)まつり縫いをして、再び吊るしたところ、
なぜか右と左でかなり長さが違っていました・・・ほどいて縫い直
す気力も体力もなかったので、そのままにしてしまいました。結婚
して私が家を出た後、この四畳半は父が使っていましたが、長さの
違うカーテンは長いことそのままでした・・・(汗)

 結婚して電動ミシンを買いました。全然出番がなく、息子が幼稚
園に入る年の春に、大量に巾着袋を縫った後はすっかりご無沙汰で
す。時々、何か縫ってみたいなぁと思ったりもするのですが、押入
れの奥から引っ張り出すこと、実際に縫うまでの手続きを考えると
二の足を踏んでしまいます。秋にはいろいろなことが一段落するの
で、何か縫ってみようかしら・・・小物を作っている方とお知り合
いになったので、お話を伺ってみようと思っています。



 2012年度が始まりました。この「年度」というのも、何だか
不思議な切り替えですね。新しい年が明けても、年度の上ではまだ
「前年度」で、4月1日から、次の年度。1月~3月は、気持ちの
上では、新しい年になっているのに、仕事とか学校関係は、前年を
引きずっている・・・そのせいなのか、「1月は行く月、2月は逃
げる月、3月は去る月」の言葉通り、一瞬で過ぎてしまいます。
 
 
 
 ということで、2012年になったかと思ったら、4月が来てし
まいました。うーん・・・この段階で、今年の4分の1は終わって
いるんですよね。そして4月が終わると、今年の3分の1が終わっ
ていることになります・・・うーん。ゴールデンウィークが終わり、
祝日のない6月が過ぎると、今年の半分が終了。7月の下旬からは、
何と夏休み!!しかも、小学校は、8月もまるまる夏休み!(笑)
 
 
 
 こんな書き方をしていると、ホントにこんな感じで一瞬で秋が来
てしまいそうです。乾いた砂がさらさらと流れ落ちるような時間の
過ごし方がダメというわけではないのですが、後で思い出そうとし
た時、何の印象もなかったりするんですよね。だから、何か、もう
ちょっとゴツゴツした手応えがある方が好きです。ただし、「ゴツ
ゴツした手応え」が欲しいなら、自分で何かしら「お膳立て」をし
ておかないと、往々にして時間は、さらさらさらと何の抵抗もなく
流れて行ってしまうことが多いです。
 
 
 
 人生の大先輩の女性が、「日々、いろいろあるんだけど、記憶に
残らないから、毎日、食べたものを記録しているの」とおっしゃっ
ていました。外食の場合は、お店の場所と名前、同席した方のお名
前も控えておくそうです。後から見返すと、食べ物の記憶と一緒に
その日の出来事や話題も思い出せるそうです。
 
 
 
 それを聞いて、食べたものを記録してみました。平日は基本的に
外食することはないし、お弁当の中身は、前日の夕食のおかずを流
用することが多いので、なんとなーく似たり寄ったりな雰囲気で、
ちょっとサビシイです・・・(苦笑)

 
(字数制限を超えたため以下省略) 



Last updated  2012.04.12 18:59:26
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2012.04.09

新年度のご挨拶



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 ひきだしとしょかん・319番目の抽斗
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◇◇抽斗図書館のご案内◇◇
 
 
 
◆ 食卓の知 7 ◆ 
 
 
 
 当館の倉庫に<打ち寄せられた>寄木細工のテーブルについての
ご紹介の続きです。
 
 
 
 
 テーブルの修理が始まりました。
作業は、朝早くから始まるので、職員も朝早く来て、倉庫の鍵を開
けておく必要がありました。これまで、こんな早い時間に来ること
はありませんでした。
 
 
 
同じ場所に来ているはずなのに、時間帯が違うと、 雰囲気も印象
も全然違うんだなぁ・・空気や匂いも違う気がする・・・新しいっ
ていう表現はヘンだけど、新しい感じ、すごくフレッシュな感じが
する。何よりも仕事がはかどるのがいいなぁ・・・
 
 
 
 いつもの時間帯にやっていたら、迷ったり悩んだりしそうな内容
でも、どうしたらいいのか、すんなりわかる気がしました。自分の
気持ちがクリアになっている感じがして、決断には躊躇いがなく、
パンパンと決まっていくのがなんだか不思議でした。
 
 
 
 職人は、毎朝、倉庫に入ってくると、丁寧に挨拶をして、すぐに
テーブルの置いてある場所に向かいました。テーブルの脇に置いて
ある作業台に<代々伝わっている寄木細工の箱>を静かに載せると、
その横に生成り色の布を広げます。それから、箱を開けると、必要
な道具を取出し、布の上にそっと並べていきます。それから短いお
祈りをして、作業にとりかかかるのでした。木を切ったり削ったり
しているはずなのに、ほとんど音は聞こえず、倉庫の中は、これま
で通りの静けさを保っていました。  
 
 
 
 あまりに静かなので、職員は一度様子を見に行ったことがありま
した。邪魔をしたくなかったので、作業をする場所として提供した
一角を遠くからちょっと眺めるだけにしておこうと思っていました。
棚の影から覗くと、その一角は、薄い靄がかかっているように見え
ました。驚いて目を凝らすと、天井の隅から、一筋の光が射してい
て、そこから吊り下げられ ているように、靄が広がっていました。
輝く白い糸で吊られた、繊細なレースの天蓋のようにも見えました。
 
 
 
 音がしないのは、あのレースみたいなのがかぶさっているせいな
のか・・・この図書館では、言葉で説明できないような、不思議な
現象が起こっても不思議じゃないのはわかってるんだけど、やっぱ
り目の当たりにすると、驚くなぁ・・・あの人のことは、本当に図
書館の意思・・・図書館が選んだみたいだなぁ。全て予定されてい
たような気がするな・・・
 
 
 
 朝から晩までずっと作業しているわけじゃないですよ、と職人は
言っていましたが、いつ休憩を取っているのか、よくわかりません
でした。倉庫の中にも休憩を取れる場所があるし、と にかく広いの
で、中を歩き回るだけでも、気分転換にはなるのですが、倉庫の外
へ出ることは少ないようでした。倉庫を出入りする際には、管理チ
ームがチェックすることになっているので、手間をかけさせたくな
いと感じているようでした。
 
 
 
 
 
 
 
さて、今回の引き出しは「新年度のご挨拶」
 
 
 
 2012年度が始まりました。この「年度」というのも、何だか
不思議な切り替えですね。新しい年が明けても、年度の上ではまだ
「前年度」で、4月1日から、次の年度。1月~3月は、気持ちの
上では、新しい年になっているのに、仕事とか学校関係は、前年を
引きずっている・・・そのせいなのか、「1月は行く月、2月は逃
げる月、3月は去る月」の言葉通り、一瞬で過ぎてしまいます。
 
 
 
 ということで、2012年になったかと思ったら、4月が来てし
まいました。うーん・・・この段階で、今年の4分の1は終わって
いるんですよね。そして4月が終わると、今年の3分の1が終わっ
ていることになります・・・うーん。ゴールデンウィークが終わり、
祝日のない6月が過ぎると、今年の半分が終了。7月の下旬からは、
何と夏休み!!しかも、小学校は、8月もまるまる夏休み!(笑)
 
 
 
 こんな書き方をしていると、ホントにこんな感じで一瞬で秋が来
てしまいそうです。乾いた砂がさらさらと流れ落ちるような時間の
過ごし方がダメというわけではないのですが、後で思い出そうとし
た時、何の印象もなかったりするんですよね。だから、何か、もう
ちょっとゴツゴツした手応えがある方が好きです。ただし、「ゴツ
ゴツした手応え」が欲しいなら、自分で何かしら「お膳立て」をし
ておかないと、往々にして時間は、さらさらさらと何の抵抗もなく
流れて行ってしまうことが多いです。
 
 
 
 人生の大先輩の女性が、「日々、いろいろあるんだけど、記憶に
残らないから、毎日、食べたものを記録しているの」とおっしゃっ
ていました。外食の場合は、お店の場所と名前、同席した方のお名
前も控えておくそうです。後から見返すと、食べ物の記憶と一緒に
その日の出来事や話題も思い出せるそうです。
 
 
 
 それを聞いて、食べたものを記録してみました。平日は基本的に
外食することはないし、お弁当の中身は、前日の夕食のおかずを流
用することが多いので、なんとなーく似たり寄ったりな雰囲気で、
ちょっとサビシイです・・・(苦笑)
 
 
 
 おやつも書いています。コンビニで「自分用おやつ」を買うと高
くつくので、家族用のお菓子として個包装のものを買うようにして、
そこから好きなモノを選んでいます。チョコレートはよくないと思
っているのですが(しかもB級菓子なので「準チョコレート」も少
なくない・・・苦笑)3時過ぎに、コーヒーと一緒に食べると、も
うひと頑張りできそうな気分になるので、「チョコおやつ」の頻度
はかなり高いのです・・・
 
 
 
 最近 、ちょこっとヒットだったのは、キットカットの「ワールド
バラエティ」です。「世界のみんなと東北を応援しよう!」という
ことで、一袋あたり20円が三陸鉄道の復興支援に当てられるそう
です。なぜ、ワールドバラエティかというと、~世界の名作キット
カットを再現!~しているからです・・・世界といっても、イギリ
スとオーストラリアですが。しかも、「イギリス風」「オーストラ
リア風」ということで、あくまでも「風」なんですが。
 
 
 
 「ワールド」というからには、もう少し種類を増やしてほしいと
ころ。でも、日本のキットカットは美味しいと思います。確か、イ
ギリスの人だったと記憶していますが、日本で緑色のキットカット
を見て、ものすごく驚いたそうです。抹茶味だから緑色なんですけ
ど、きっと彼らにとっては、「チョコレートとしてはあり得ない色」
なんでしょうね。
 
 
 
 たいていの日本人は、柑橘系の味のチョコならオレンジ、葡萄系
だったら紫、バナナ風味だったら、黄色という、色つきのチョコに
対して、あまり抵抗はないんですけどね。(色つきのチョコは珍し
いとは思わなくても、何を使って着色しているのかは、ちょっと気
になりますが)
 
 
 
 あまりストイックになりすぎず、かといって、「チョコ欲」を野
放しにすることもなく、上手におやつと付き合いながら、家事や仕
事をこなしていきたいと思います。
 


 2012年度も、引き続き、よろしくお願いいたします!
 
 
 
 
■ あとがき ■
 
 1年間関西で暮していた、息子の大親友が関東へ戻ってきました。
帰ってきた日の夕方、先方の家族と、私たち一家で「お帰り飲み会」
を開催しました。会場は、駅前商店街の居酒屋。早い時間からやっ
ていて、親子連れも多いお店です。昼のメニューが5時まで続き、
その間はアルコールがとても安いのです(笑)。
 
 
 
 2004年からの家族ぐるみの付き合いで、一緒に旅行をしたり、
誕生日会とかクリスマスとか、理由をつけたりつけなかったりしな
がら、飲み会も何度もやっています。
 
 
 
 息子と大親友は生後6か月から保育園で一緒にすごしてきました。
当時の写真を見ると、大親友は息子より5日ほど後に生まれている
にもかかわらず、とっても大きいのです。二人とも顔立ちも表情も
ほとんど変わっていないのが笑えます。いつの間にやら、息子の方
が背が高くなっていました。二人とも、これから「別のイキモノ」
になるべく、にょきにょきと大きくなっていくのでしょう。
 
 
 
 先日、子育ての大先輩から「男の子は、10歳くらいまでが可愛
いのよ」とのお話を伺いました。・・・息子は、今年の誕生日で9
歳になります・・・11歳になったら、いきなり可愛くなくなるわ
けではないでしょうが、身長差はかなりなくなっているはずです。
 
 
 
 内弁慶で強情だけどヘタレという親の嫌な部分をキッチリ受け継
いでいる息子。あっとう間に3年生になってしまいましたが、引き
続き、元気に学校へ通ってほしいです。

 
 
─────────────────────────
*ホームページ
Dream Writer:
 http://www.m2-dream.net/
抽斗図書館:
 http://plaza.rakuten.co.jp/mon060305/
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Last updated  2012.04.09 06:57:57
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2012.03.29

アパート3
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  抽┃斗┃図┃書┃館┃
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 ひきだしとしょかん・318番目の抽斗
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◇◇抽斗図書館のご案内◇◇
 
 
◆ 食卓の知 6 ◆
 
 
 
 当館の倉庫に<打ち寄せられた>寄木細工のテーブルについての
ご紹介の続きです。
 
 
 
「箱? あなたの家に伝わっているという箱ですか?」
 
 
 
「はい。この図書館で仕事をすることが決まったときに、
 必要になるかもしれないからと渡されました」
 
 
 
「では、今日の午後からお願いします。
 必要な手続きは、私がやっておきます。
 
 このテーブルはここから運び出すことは不可能じゃないんですが、
 <打ち寄せられたもの>なので、ここで作業していただくことに
 なりますが、よろしいですか?」
 
 
 
「打ち寄せられたもの・・?? すみません、その言葉は、初めて
 聞きました。どういう意味でしょうか?」
 
 
 
「・・・この図書館で、不思議な現象が頻繁に起こっているのは、
 ご存知ですよね? 普通に考えたら、ありえないこととか、言葉
 でうまく説明できないようなことが・・・」
 
 
 
「はい」
 
 
 
「<打ち寄せられたもの>も、不思議な現象の一つです。このテー
 ブルは、前日までなかったのに、翌日、いつのまにか倉庫の中に
 置かれていたのです」
 
 
 
「そうなんですか・・・どこから打ち寄せられたんでしょうね。
 
 私が聞いた話では、このテーブルはある王族の家系で代々使われ
 ていたのですが、ある日、突然消えてしまったそうです。
 それが今の時代になって現れたのでしょうか?」
 
 
 
「さあ、私にはわかりませんが・・・
 何か意味があってのことなのでしょうね」
 
 
 
箱を取りに行きますと言って一礼すると、 若い職人は、足早に倉庫
を出ていきました。
 
 
 
 
 
 
 
さて、今回の引き出しは「アパート3」
 
 
 
 
 アパート暮らしは、学生寮とはまた違った楽しさに満ちた日々で
した。自転車に乗って、あちこち徘徊し、アパートに戻る前には、
たいてい古本屋街(といえるほど規模の大きいものではありません
が)に立ち寄っていました。
 
 
 
 食糧の買い出しは、結構遠くまで行っていました。近くに個人経
営の小さなスーパーがあったのですが、古いものが混在しているの
に気づいて、足が遠のきました。もうちょっと足を延ばすと、大き
なショッピングセンターがありました。そこの野菜はとてもキレイ
でしたが、なんだか割高感があって(ビンボーだった)、そこで買
うことは少なかったです。さらに足を延ばすと、謎の八百屋さんが
二軒ありました。ひとつは「うなぎや」という名前でした。どうし
て八百屋がうなぎやなのか・・・店主に店名の由来を聞いておけば
よかったと今でもちょっと後悔しています・・・前世紀の話なんで
すけどね。このお店では「ちょくちょく」ではなく「たまに」買い
物をしていました。さらに先に「聖書の八百屋さん」がありました。
このメルマガにも書いたことがあったかもしれませんが、チラシに
は、必ず聖書の一文が書かれているのです。店主はクリスチャンだ
ったのでしょうか??
 
 
 
 私は台湾留学生の林さんと仲良くしていました。彼女が話す日本
語に不自然な点はほとんどなかったのですが、文章にはあまり自信
がなかったようで、レポートの日本語は誰かにチェックしてもらい
たかったようでした。私がそれを引き受け、彼女は、中国語を教え
てくれました。私は第二外国語として中国語の授業を受けていまし
た。教科書は簡体字だったので、林さんが読めないことも多々あっ
たのですが・・・。彼女は敬虔なクリスチャンで、日曜日には教会
に行っていました。外国人専用というわけでもなかったのでしょう
が、礼拝に来る人は、ほとんどが外国人という、小さな教会でした。
 
 
 
「会話の勉強になるからおいでよ」と誘われて、何度か行きました。
欧米人、中国人、マレーシアやフィリピンの人もいました。英語と
日本語しか話せない人、中国語と日本語しか話せない人がいるので、
共通言語は日本語でした。日本で生活しているのだから、当然と言
えば当然なのですが、日本人がいないのに日本語というのは、なん
だか不思議で面白かったです。みなさん気軽に話しかけてくださっ
て、嬉しかったのですが、「あなたの日本語、とっても上手!」と
言われた時は、ちょっとフクザツでした・・・私はどうも日本人に
は見えないらしいです。
 
 
 
 教会には、貸し出し用の讃美歌の本がありました。古いものでし
たが、とても立派な装丁でした。五線譜の下に、英語、日本語、中
国語の歌詞が併記されていました。賛美歌を歌うときは、それぞれ
が母国語で歌うのです。別々の言葉で歌っているものの、同じ歌な
ので、キレイに調和して聞こえました。聞いていて、すごく感動し
た記憶があります。言葉は違っても、気持ちはひとつ・・・感動を
表すには紋切り型っぽいですけど、全員が祈りの気持ちを持って、
丁寧に歌っている様子は、言語の違いを超えて、ひとつの想いを体
現しているように感じられました。
 
 
 
 林さんは、今、思うと、かなりの「お嬢様」だったと思います。
お父様の趣味は、お酒を集めること。「お酒」という表現をしまし
たが、超高級ブランデーやワインだったのではないかと思います。
お母様の趣味は、宝石を集めること・・・うーん・・・お金持ちっ
てホントにお金があるんだなぁと感心したのを覚えています。
 
 
 
 彼女は小児麻痺で、足が不自由でした。いつも杖をついて歩いて
いましたが、特にそれを気にするわけでもなく、自分の「個性」と
して考えているようでした。でも、ご両親が心配されたのか、早々
に免許を取り、アクセルやブレーキの操作が手動になっているクル
マに乗っていました。
 
 
 
 彼女から非常に立派なザーサイをもらったことがあります。とて
もおいしかったので、バリボリとあっという間に食べてしまいまし
た。あれを超えるザーサイには、未だに出会っておりません。記憶
の中で「おいしかった!!」が、かなり増幅されているのかもしれ
ませんけど・・もう一度だけ、一切れだけでもいいから、食べてみ
たいです。(笑)
 
 
 
 
■ あとがき ■

 月曜日、息子は通知表を持って帰ってきました。うーむ・・・・
自分に小学校二年生の時の記憶があるのが、ネックです(苦笑)。
言いたいことはいろいろあっても、息子と同じ年齢の時の自分も、
かなりのなんだかなぁだったので・・・しかも、男の子並に実用性
が欠如してたんですよね。恐ろしく気がきかなかったし。そういう
意味では、息子は私に似ているんですねぇ・・・(滝汗) 男の子
の実用性の欠如は、もちろん、個人差がありますので、一概には言
えませんが、夫のようなタイプですと、一生続くんだろうなぁと思
います。息子には、どこかで「豹変」してほしいものです・・・
 
 
 
 
 
 
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Dream Writer:
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抽斗図書館:
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Last updated  2012.03.29 20:25:26
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2012.03.23

アパート2
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  抽┃斗┃図┃書┃館┃
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 ひきだしとしょかん・317番目の抽斗
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◇◇抽斗図書館のご案内◇◇
 
 
◆ 食卓の知 5 ◆
 
 
 当館の倉庫に<打ち寄せられた>寄木細工のテーブルについての
ご紹介の続きです。
 
 
 
「もう一つお聞きしていいですか?」
 
 
 
「はい・・・」
 
 
 
「作業場の入り口にあった棚・・・
 絵が描いてありましたが、あなたが描いたそうですね」
 
 
 
「はい」
 
 
 
「なぜ、ああいう絵を描くことになったのですか?」
 
 
 
「あの作業場に荷物や書類を持ってきてくれる人たちは、共通の言
 葉を話すことはできるのですが、読み書きとなると、バラバラな
 んです。誰かが読めても、別の誰かは読めないのです。なので、
 絵にしようということになりました。
 
 木槌やノコギリは、それをよく使っているとか、それを扱うのが
 得意な職人さんのことを示しているんです。
 
 あの作業場で仕事を始めた初日、わからないことを質問しようと
 したのですが、うまく説明できませんでした。絵を描いて、ここ
 がわからないと言おうとしたら、上手だねって褒められたんです。
 それで、私が棚の絵を描くことになりました」
 
 
 
「あなたの印はどうして三つの星なんですか?」
 
 
 
「他の人が認めてくれるような得意なものがなかったからです。
 それと・・・私は星が好きなんです。星空を眺めるのも好きです
 が、さっきお話しした代々伝わっている箱・・・寄木細工なんで
 すけど、星がちりばめてあるようなデザインになっています。
 こういうのをいつか作ってみたいと思っているうちに、星が好き
 になりました」
 
 
 
「何で、三つなんですか?」
 
 
 
「寄木細工の模様の中に、三つの星をキレイに配置してあるものが
 あって、それが特に好きだからです」
  
 
 
「あなたにとっては、星と寄木細工が結びついているような感じが
 するのでしょうか?」

 
 
「そうですね。
 星と言うと、空の星より、寄木細工の星のイメージが強いです」
 
 
 
「ああ、そういうことだったんですね・・・」

 
 
職員は、テーブルの修理を誰に頼むか考えていた時に、星が三つ並
んでいるイメージが浮かんだことを話しました。
 
 
 
「そういう理由があって、私に声をかけてくださったんですね。
 ありがとうございます。
 テーブルが伝えてくれたのかもしれないし、この図書館の意思が
 伝えてきたのかもしれませんね」
 
 
 
「それで・・・修理を引き受けて下さいますか?」

 
 
「はい、やらせてください。
 午後から、作業を始めてもいいですか?
 本当は今からやりたいんですけど、箱を取りに行ってきます」

 
 
 
 
 
さて、今回の引き出しは「アパート2」
 
  
 
 私たちの部屋は、2階の角部屋でした。隣りには謎の男性が住ん
でいました。タモリとか寺尾聡というイメージで記憶しているので
すが、単に濃い色のレンズのメガネをかけていただけかもしれませ
ん。彼の部屋のポストには、本名とペンネームが併記してありまし
た。どちらの名前も思い出せないのですが、ペンネームは、かなり
ぶっ飛び系の名前だったと思います。
 
 
 
 彼は、職業不詳でした。今考えると、おそらく、高校の非常勤の
先生か、塾の講師あたりだったのではないかと思います。教え子ら
しい高校生が、大勢で遊びに来ていることがありました。
 
 
 
 ある日のこと。たまたま私もMさんも部屋にいました。玄関のチ
ャイムが鳴り「隣の者なんですがー」という声がしました。二人で
出ていくと、謎の男性が大きな紙袋を提げて立っていました。
「入院することになりましてね、食べ物、もったいないんで、よか
 ったら食べてくださいな」
そんな感じのことを言って、紙袋を置いて帰っていきました。
 
 
 
 引っ越し直後に挨拶はしたものの、それまでほとんど交流がなく、
一体何を持ってきてくれたんだろう?と、興味津々で紙袋の中身を
出してみると、お菓子、缶詰、乾物、海苔、なぜか大量の布巾。
 
 
 
 一緒に食事をしない二人なので、いただいた品々を山分けするこ
とにしました。布巾は、台所に置いて、共同利用、残りの食品は、
じゃんけんをして好きなモノを一つずつ取っていく形で分けました。
「部屋に置いといても腐るようなものじゃないのにねー」
と二人で話していたのが、ついこの間のことのようです。
 
 
 
 「退院しました」という連絡はなかったものの、いつの間にやら
彼はアパートに戻っていました。彼のお母さんが、買い出しに行っ
て、階段の下で立ち往生していたので、わかったのです。私が大学
から帰ってきて、自転車置き場に自転車を入れて部屋に戻ろうとす
ると、階段のところに初老の小柄な女性がいました。私を見ると声
をかけてきました。
「すみません、このアパートの方ですか?」
「はい」
「息子に頼まれて、買い物に行ってきたんですけど、これ持って階
 段を上がるのは、ちょっと・・・」
「ああ、持ちますよ」
彼女の足元のレジ袋を二つ、謎の男性の部屋の前まで運びました。
「どうもありがとうございます」
といって、缶ミカンをくれました。
 
 
 
 この後、なぜか彼と顔を合わせる機会が増えました。窓の外につ
けてある手すりに蜂がしょっちゅう来ているから、このまま放って
置くと巣をつくられてしまうかもしれない。手すりに台所洗剤を塗
っておくといいなどと教えてくれました。洗剤の効果なのか、それ
とも蜂は、たまたま飛んできただけで、巣を作る気などさらさらな
かったのか、よくわかりませんが、蜂はこなくなりました・・・
 
 
 
 アパートを引き払う時に、Mさんと二人で、謎の男性のところに
お別れの挨拶をしに行きました。
「ご丁寧にありがとう。もう一人は帰省しちゃったのかな?」
Mさんと私は顔を見合わせました。謎の男性は私たちが3人暮らし
だと思っていたようです。話を聞いてみると、Mさんは、アラレち
ゃんのようなメガネをかけていたので、印象が強かったようですが、
ぼんやりした顔立ちの私は「おとなしそうなコ」というイメージし
かなく、もう一人「窓から出入りするコ」が存在すると思っていた
のでした。
 
 
 
 「窓から出入りするコ」というのは、私のことです(汗)
超朝型だったので、デニーズで朝バイトをしていました。時々、M
さんがいるからいいやと鍵をかけずにアパートを出てしまうことが
ありました。自分では鍵を持って出たつもりなのですが、鍵は部屋
の中。Mさんが外出してしまうと、部屋に入れません。そこで、謎
の男性の部屋の中を通らせてもらって(!)彼の部屋の窓の手すり
から私の部屋の窓の手すりに外壁伝いに移動して、中に入っていた
のでした。今、考えると大迷惑かつ相当大胆な行動だったと言えそ
うですね・・・「若さ」には、かなり「無鉄砲」という要素が含ま
れているようです・・・(滝汗)
 
 
 
 
■ あとがき ■
 
 日曜日に息子のピアノの発表会がありました。会場となったホー
ルは、私が20年くらい前に行った場所。それ以降一度も足を踏み
入れていませんでした。思ったより広くて、客席の一番後ろからス
テージをみると(スロープにな っているので、見下ろす感じになり
ます)かなり遠くに見えました。
 
 
 
 本番では、息子はぜんまい仕掛けの人形のようにぎくしゃくと登
場し、固い表情で弾いていました。でも、客席はさほど埋まってい
ないとはいえ、この広さのホールで、スポットライトを浴びて、暗
譜した曲を弾くなんて、私には到底無理。ライトが当たる場所へ踏
み出した時点でアタマが真っ白になるのは確実です。
 
 
 
 まだまだ私より小さくて、身体のパーツの中で、最大なのは、相
変わらず「アタマ」だし、話すことは意味不明、行動基準は理解不
能、やることなすこと「なんだかなぁ」なのですが、『私には絶対
できないけれど、息子にはできること』が確実に増えています。学
年が上がる度に、誕生日を迎える度に、どんどん増えていくのでし
ょう。くてくてで何もできなかったちっちゃな存在が、ほんの数年
間で、歩き、走り、話し、何かを作ったり、人を喜ばせたりするよ
うになるのですから、子どもというのは、本当にすごいです。これ
は何度も書いていることなのですが、やっぱりスゴイなと思います。



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Last updated  2012.03.23 21:34:04
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2012.03.15

アパート1
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ひきだしとしょかん・316番目の抽斗
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◇◇抽斗図書館のご案内◇◇



◆ 食卓の知 4 ◆



当館の倉庫に<打ち寄せられた>寄木細工のテーブルについての
ご紹介の続きです。



「あの・・・質問してもいいですか?」
職員は遠慮がちに尋ねました。



「え、あ・・・どうぞ・・・何でしょう?」
仕事上の経験や実績を聞かれると思ったのか、緊張した声でした。



「このテーブルのこと、知ってるんですか?」



「・・・はい。子どもの頃から知っています。
 家には、このテーブルを描いた絵がありました」



予想していた質問と違って、答えやすい内容だと感じたらしく
表情が和らぎ、明るい声になりました。



「絵ですから、本当にここにあるものがモデルなのか、
 断定はできませんが・・・でも、直感的に、
 あの絵のテーブルは、これなんじゃないかと思いました。

私のご先祖に当たる人が作ったそうです。
 何歳の時だったか、わすれましたが、
 まだ小さかった頃に祖父から聞きました。

祖父は、本当にウチの先祖が作ったんだぞと言って、
 代々伝わっている箱を見せてくれました。

箱の中には、寄木細工に使う道具と、
 さまざまな種類の木の見本のようなものが入っていました。

箱の中のものは一切触らせて もらえませんでしたが、
 いずれ、この絵に描かれたテーブルを
 修理することになるかもしれないと祖父は言い、
 その日から、私に寄木細工の手ほどきをしてくれました」



「じゃあ、寄木細工は得意なんですね?」



「得意というより・・・ただ、好きなんです。
 でも、この作業場に来て、
 他の方がやっているのを見たことがないので、
 自分の技術がどの程度なのかわかりません」



「実物を見て、どう思いますか?
 縁に沿った部分がかなり傷んでいますが、
 修理できそうですか?」



「・・・たぶん、できると思います。

 ・・・あの、たぶんとか言ってしまうのは、
 大事な品物の修理を引き受けるときには、
 ふさわしくないんですけど・・・
 でも、その・・・必要な材料が全部きちんと揃わないと、
 きれいに修復するのは難しいんです・・だから・・・
 今の段階では、材料が揃うかどうかわからないので・・・」



慎重に言葉を選んで話している、と職員は思いました。
自分が修理したい、でも、やるからには、ちゃんとやりたい、
安請け合いはしたくないという、強い意思が感じられました。







さて、今回の引き出しは「アパート1」


大学の学生寮には1年間しか住めませんでした。なので、1年生
は、年が明けるとぼちぼちアパート探しを始めます。学生向けのワ
ンルームの部屋はそれなりにありました。しかし、家賃を自分で払
うわけでもないくせに、私は「ワンルームじゃ嫌だ」などと生意気
なことを考えていたのです。



5階の南側に住むMさんは、Tさんを介してのお友達という感じ
でした。MさんとTさんは一緒に行動することが多く、私とTさん
は、悪条件をともにする、「5階北側仲間」だったのでした。Tさ
ん経由で、Mさんもワンルームには住みたくないと考えていること
を知りました。どちらからともなく「いい物件があったら一緒に借
りよう」ということになりました。



Mさんはとても飄々としたマイペースな人で、あまり他人に深入
りしないタイプでした。誰に対しても等間隔で接していたように思
います。裏表がなく、言葉は直球ストレート。あれこれ考えなくて
済むので、一緒にいてラクだと感じていました。



二人で不動産屋へ行き、ちょうどよさそうな物件があったので、
部屋を見に行きました。大学から近いし、広さも家賃も合格レベル
だったので、ここにしようということになりました。部屋の奥に、
前の住人が残して行った、妙な機械が置かれていました。「これ、
片づけてください」Mさんは、不動産屋のパンチパーマのお兄さん
にいつもの調子で言いました。ちょっと怖い感じの人だったので、
私はひやっとしたのですが・・・お兄さんは「俺は箸より重いもの
は持ったことがないのに 」とか言いながらも、片づけてくれました。



大学2年から4年まで住むことになったのは、昭和50年代の前
半に建てられたと思われる、プレハブっぽいアパートです。お約束
通り「○○荘」という名前でした。2階の角部屋で、玄関を入って
すぐが、キッチンと四畳半位の広さのリビング、ガラス戸の向こう
の八畳間がMさんの部屋になりました。私の部屋はリビングを右手
に曲がったところにある扉の向こうの六畳間でした。この六畳間は、
襖を隔てて、四畳半の部屋とつながっていました。四畳半は、共同
利用ということになりましたが、Mさんは荷物を置くくらいでほと
んど立ち入らなかったので、私は常に襖をあけた状態にしていて、
広い空間を満喫していま した。収納スペースは十分あったし、申し
分なかったのですが、畳はかなりウネっていました(笑)。



二人ともこのアパートもまた「3年間の仮住まい」と考えていた
ので、極力お金をかけない方向で部屋を整えました。リビングの床
は赤かったにもかかわらず、Mさんが学生寮で使っていた黄緑色の
カーペットを流用。それぞれの部屋のカーテンも、学生寮の窓に吊
るしていたものを使いました。Mさんのカーテンは寮の窓に対して
も、丈がやや短めだったのですが、アパートの窓に対しては、10
センチくらい足りませんでした。しかし、窓の向こうには畑が広が
り、その先の道路を隔てて民家があるという感じだったので、気に
していないようでした。



冷蔵庫も炊飯器も、寮で使っていたものを利用。Mさんのものが
大きかったので、それを台所に置くことにしました。お米好きの私
は「ご飯係」になりました。Mさんが台所の小さなホワイトボード
に、必要量を書いておいてくれるので、そこに自分の必要量を足し
て、毎日ご飯を炊いていました。(と、言ってもタイマーで炊飯器
が炊くんですけどね)



当時、私は超朝型、Mさんは超夜型だったので、アパートで一緒
に食事をすることはほとんどありませんでした。お茶を飲んだり、
買ってきたケーキを一緒に食べたことは、何度かありましたが。



お互いマイペースで、アパートで顔を合わせることがあまりない
まま3年間のルームシェアは無事終了しました。特に仲良しという
わけではなく、「ワンルームが嫌」という点で合意して始めた共同
生活だったので、お互いに距離を保ったままで、相手に立ち入らな
い生活パターンだったのがよかったのかもしれません。仲良し二人
組が「一緒に住んだら楽しいよね」で始めると、途中で決裂してし
まうケースも少なくないと後になって聞きました。



・・・なんとなく結婚生活にも通じる気がします。結婚の場合、
「特に仲良しではない」というのは、ちょっと問題ですが、互いに
相手に立ち入らない(立ち入りすぎない)というのは重要だと思い
ます。ウチの場合は、相手にまったく興味がないわけではないので
すが、対処しなければならないモロモロの方が優先順位が高いこと
が多く、その結果「立ち入らない」が保てているのかもしれません。
18年間、特に波風立つことなく過ごせた理由は、このことが大き
かったと思います。二人とも仕事を辞めたら、いったいどんな生活
になるのか、現時点では想像がつきませんが、たぶん、二人で家に
いてもそれぞれ勝手に自分のやりたいことをやっているような気が
します。(笑)





■ あとがき ■

「<すれんてす>とかけて子どもの寿司と解く。そのココロは?」
クラスで謎かけがはやっているらしく、それを覚えてきた息子は得
意そうに言いました。しかし、<すれんてす>の段階で、笑ってし
まいます。



<すれんてす>ってなんだよ・・・まだ<テビレ><エベレーター>
の世界を引きずっていたのか。(しかし、エベレーターというのは
曲者で、エレベーターだとわかっていても、ふざけてエベレーター
と言っているうちに、どっちが正しいかわからなくなってしまった
過去があります・・・苦笑)



「すれんてすって、何?」
「だからー、すれんてすって、わかるでしょー、金属だよー」
「・・・それは、ステンレス」



恥ずかしい失敗をした時は、絶対にそれを認めない息子は
「!!! ・・・最初からちゃんとステンレスって言ってたもん!」
と開き直りました。そして、気を取り直してもう一度おなじ謎かけ
を出してきました。
「<すれんてす>とかけて子どもの寿司と解く。そのココロは?」
「だからー、<すれんてす>じゃなくて、ステンレスだよ」
「ステンレスって言ったもん!!」
  ↑
  まだあやふや。数時間後には<すれんてす>に戻るハズ。



「どちらもサビない」というオチなのですが、ステンレスって定着
してから言った方がいいんですけどね。きっと、しばらくは、どっ
ちが正しいかわからなくなって、結局は<すれんてす>って言っち
ゃうんだろうなぁと思いました。




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Last updated  2012.03.15 20:30:50
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