『ナナイロノコイ』 著:江国香織 他
7人の女流作家が織り成す、様々な色の恋の短編集。
印象に残った作品は、井上荒野氏の、『帰れない猫』と、
唯川恵氏の、『手のひらの雪のように』。
『帰れない猫』は、自分の浮気のせいで別れると決めた妻が、
家を出る日、大雨のせいで立ち往生するはめとなる。
物分りのいい優しい夫に、次第に不満を感じ、
他に愛する人がいながらも、でもいざ土壇場になり、
揺れる女心。
本当は、「出て行きたくない」と、言いたいのかもしれない。
けれど、自分で決めた以上、それを覆すことはできないのかと、
心の中にふと浮かぶ疑問が、見えるような。
愛する人と暮らすことが決まっているのに、大雨のせいにして、
出て行く時が少しでも先延ばしにされたことを、
ちょっと喜んでしまっているような、女の矛盾。
「雨よ止まないで」と、無意識に願ってしまっているのかも。
「明日は晴れる、大丈夫だよ」と言う夫の言うとおり、
妻は出て行ったのだろうか…。
『手のひらの雪のように』は、自分の友達との浮気がバレ、
平謝りをする、彼の気持ちを確かめようと、
執行猶予を与えた一年の間に、成長してしまった2人と、
そして自分の気持ちに、気づく。
ありがちな、ベタな恋愛物語だと言ってしまえばそれまでだけど、
でもどこかで、こういう展開ってあったらいいよなぁ…なんて、
思っているから、この作品に惹かれたのかも。
読み進めるうちに、そうなるんだろうな…と、そして結局、
予想通りの結末になるのだけど、お互い浮気された男女の、
恋愛談義に納得したり。
そして、1年間も愚痴に付き合ってくれた戦友(笑)が、
ふいに恋人になる瞬間に、ちょっとときめいた作品。
作家たちそれぞれの恋話は、それぞれに、
切なかったり美しかったり哀しかったり懐かしかったり。
同感してみたり、そんなものかと考えてみたり、
でも、恋するっていいな、と思わせてくれる、一冊でした。
芸能・野球ランキング
ぽちってくれたら嬉しいです♪
【参考】
◆井上荒野氏の著書は→
◆唯川恵氏の著書は→
♪本日のBGM
GREATEST MOVIE LOVE SONGS
読書感想 |