『失はれる物語』 著:乙一
Calling you
失はれる物語
傷
手を握る泥棒の物語
しあわせは子猫のかたち
マリアの指
人間の暖かさと寂しさを綴った、6編の短編集。
乙一と聞いて思い浮かぶ、
おどろおどろしいホラーではなく、
ちょっとした日常の中に見え隠れする暗闇を、
彼ならではの中性的な語り口で綴っている。
全体的に寂しい色合いの作品だけれども、
そこに共通するのは、「孤独」。
冒頭の『Calling you』は、
漫画やドラマCD化されてるそうだけど、
それらの題材としてピッタリな、
青春の透明感や、危うさの漂う作品。
ファンタジー調なんだけれど、やはりどこか寂しい。
表題作の、『失はれる物語』は、
ホラーでもサスペンスでもないのに、
とにかく怖かった。
普通の日常から切り取られた恐怖。
暗闇の恐怖。
孤独の恐怖。
いつか自分がそうなったら…という恐怖。
読みながら、息苦しくなりそうな圧迫感を、
感じる作品。
なかなかにロマンチストな、しかし、
それだけでは終わらない乙一の魅力が楽しめる、
一冊でした。
ランキングも
よろしくお願いします♪
【参考】
◆その他、乙一の著書は→
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