『東京ゲスト・ハウス』 著:角田光代
ふと旅に出て、帰国したはいいが、
戻る場所のなくなっていた、主人公。
東南アジアの旅先で出会った人の、
「うちにおいでよ」の言葉に甘えて、
転がり込んだ田舎の一軒家に住んでいたのは、
自分だけではなかった。
日本なのに、アジアのどこかの国の、
安いゲストハウスのような空間で繰り広げらる、
旅の通過点の物語。
何かを変えたい!
日常から脱出したい!
と意気込んで旅に出たものの、帰ってきたら、
何も変わっていなかった…。
ということはままあるけれど、この主人公は、
無一文で帰ってきたら、恋人にも愛想を尽かされ、
帰る場所が、なかった…。
まぁそれも、旅に行った事によって変わったもの、
といえば、そうなのかもしれないけれど。
旅が終る、寂しさ。
疲れの残った体だけが、行ってきたんだ…、
という実感を残し。
片づけをするのも、それが面倒というよりか、
旅の痕跡を消すのを、できるだけ後伸ばしにしたい、
旅の余韻に浸っていたい、というか。
さっさと片付けちゃって、はい!旅は終わり!
明日からいつもの毎日です!
なんて、なんかちょっと、寂しすぎる。
そんな、旅の終わりのうだうだ感が、
ずっと続いてるような、不思議な空間。
一つ屋根の下に住んでいるけれども、
彼らが何者なのかも、分からない。
まるで、旅先の外国でたまたま出会った日本人、
という風な住人たち。
でもここは、一時的な旅先ではなく、日本であり、
ずっとここにいるわけにもいかないのは、
誰もが承知していて。
本当の旅の終わりは、自分で終わらせる。
もしくは、再び旅に出る。
最近では、東京との往復ばかりで、
旅らしい旅もしてないけれど、それでも、
日常から切り離された飛行機の中とか、
すごくワクワクする。
でもやっぱり、旅らしい旅を、したいなぁ。
なんて思った、一冊でした。
ランキングも
よろしくお願いします♪
【参考】
◆その他、角田光代の著書は→
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