＊モナミ＊ SMAP･映画･本

『朝日のようにさわやかに』

著：恩田陸


水晶の夜、翡翠の朝／ご案内／あなたと夜と音楽と／
冷凍みかん／赤い毬／深夜の食欲／いいわけ／
一千一秒殺人事件／おはなしのつづき／
邂逅について／淋しいお城／楽園を追われて／卒業／
朝日のようにさわやかに

ビールについての冒頭から、天才トランペッターや、
心太へ話題は移り、最後は子供の頃に抱いていた、
謎の解明へと至る―。

虚実の狭間を、意識の流れのまま語る、
著者ならではの技巧が炸裂する表題作他、
恩田陸が持つあらゆる魅力がたっぷり詰まった、
物語の万華鏡。


短編よりももっと短い、ショートショートという、
制約のある中でも、恩田陸の才能は縮まらず。

ホラー、ファンタジー、サスペンス、ミステリーと、
形態はさまざまながらも、恩田陸ワールド全開。


彼女自身が「短編は難しい」と言うように、
さぞや苦しみながらの作品作りなのだろうが、
それを微塵をも感じさせない、「さわやかな」
短編集。


「あなたと夜と音楽と」は、会話方式で進められる、
短編だからこそ成り立つミステリ。

「卒業」は、ややとっぴな展開ながらも、
文字制限のある中で書かれた作品らしい。


やっぱり私のお気に入りは、美少年たちの登場する、
『麦の海に沈む果実』外伝、
「水晶の夜、翡翠の朝」。

いくらでもスピンオフができそうで、
そしてをれを期待してしまう。


久しぶりに恩田ワールドに足を踏み入れたが、
初めて読んだ頃と変わりない新鮮な感動と、
斬新な驚きのつまった、短編集でした。

【参考】
◆恩田陸の著書は→　

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