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産婦人科医の生活

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クラミジア感染症

<性器クラミジア>
クラミジアは、0.3ミクロン程度の大きさで、細菌とウイルスの中間的な病原体の性行為感染症です。最近性感染症の原因となるのはクラミジア・トラコマチスという種類です。近年急速に若年者の間で増加しています。
性感染症.jpg

性行為感染症なので、病原体の進入口は膣です。クラミジアは子宮の出口(頚管)→子宮体部→卵管→おなかの中(腹膜)へと進入し、それぞれの場所で炎症を起こします。
骨盤内.jpg

<症状>
1.頚管炎:一番程度の軽い状態です。症状は下り物が増加するぐらいです。
2.子宮内膜炎:子宮の内部まで感染が及んだ状態です。発熱や下腹部痛、帯下の増加が起こることもありますが、まだ症状が出ないこともよくあります。
3.卵管炎:子宮から卵管へ逆行して行きます。卵管が炎症により閉塞すると、不妊の原因となりますが、この状態でも自覚症状がないことも稀ではありません。
4.骨盤腹膜炎:病原体が卵管からおなかの中、骨盤内に散らばり、広い範囲で炎症(腹膜炎)を起こします。炎症や癒着(臓器同士がひっつく)により、強い腹痛、発熱を起こします。私が経験した症例では、あまりの癒着のため腸閉塞となり、十代なのにおかゆしか食べられなくなってしまった患者さんもおられます。
5.妊娠中:妊娠中にクラミジアの感染があると、高率に絨毛膜羊膜炎を起こし、流早産に至る危険性があります。

<治療>
炎症が軽度であれば、抗生物質の内服で十分治ります。炎症がひどい場合、他の感染症が重複している場合には抗生物質の点滴を行います。骨盤内の癒着があったり、膿が溜まってしまった場合は開腹手術が必要な場合もあるでしょう。
大切なのはコンドームによる予防と、感染した場合はパートナーもしっか治療することです。性交渉はお互いの完治を確認するまで行ってはいけません。



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