株式投資の基礎知識(3)株式投資の基礎知識(3)~1株純資産(自己資本)と株価形成のメカニズム~前回は、会社がその活動で利益を獲得し、そのことによって自己資本が毎年増えていく、 ということを見てきました。 今回は、この自己資本の増殖と、株価の関係について基礎的事項を見て行きたいと思います。 ・・・・・ 第1回のとき、株価の基礎価値は1株純資産(1株あたりの自己資本金)である、と確認しました。 であるならば、通常株式市場で取引される株価も基本的には1株純資産の値と一致しても良さそうです。 ところが現実には一致しません。 時に株価は、1株純資産より安く、時に1株純資産より高く取引されます。 (例えばトヨタ自動車の2006年3月期の1株純資産(BPS)は3258円ですが、 実際には2006.9.15現在、6250円で取引されています。基礎価値の 2倍近い値段がついているわけです。) これは何故かというと、株価というのは、将来の利益(損失)も織り込んで取引されるからです。 式:株価=基礎価値+将来利益(損失)に対する期待価値 少し考えて見ましょう。 現在価値1個50万円の金の延べ棒があるとします。あなたはそれを持っています。 この金の延べ棒が1年後には55万円、2年後には60万円と、 毎年5万円ずつ価値が上がっていく、と決まっている、としたら。 あなたは、この金の延べ棒を現在50万円で売るでしょうか? 売りませんね。あなたは「この金の延べ棒は3年後には65万円、5年後なら75万円に なるのだから、せいぜい60万で買ってください、それ以下では売りませんから」と言うと思います。 また、このような時、あなたが買い手だとすると、50万円でその金の延べ棒を 買える(売ってくれる人が現れる)と思うでしょうか? やっぱり思いませんよね。でもまあ、3年後には65万円、5年後には75万円に なるのだから、今60万だして買ってもいいか、となると思います。 こういう売り手と買い手がいたとき、60万円で取引が成立します。 株価はこうやって決まります。 ===========ちょっと寄り道============= ここで言う50万円が、1株純資産にあたります。毎年5万円ずつ価値が上がっていく、 というのが、1株利益にあたります。 (1株利益は、会社の純利益を株数で割ったもので、EPS(Earnig Per Share)ともいいます。 良くご存知のPERの分母になっている、あれです。) 式;1年目の株式価値=1年目の1株純資産 2年目の株式価値=1年目の1株純資産+2年目の1株利益※(=2年目の1株純資産になります) 3年目の株式価値=2年目の1株純資産+3年目の1株利益 : ※実際には、配当という形で利益から一部資本に加えずに、株主に渡してしまう分がありますので 正確には 2年目の株式価値=1年目の1株純資産+(2年目の1株利益-1株配当)です。 この式が正しいことは、会社四季報を見るとわかります。例えばシャープの場合。 =============================== ともあれ、 株価は、将来の価値を取り込んで形成され、 これからも毎年黒字を続ける、と皆が思っているときは実際の現在基礎価値より 高く取引される、ということです。 (逆に赤字になるようなら、将来、基礎価値は減ってしまうわけですから、現在基礎価値より 安く取引される) 図に描くと以下のような感じです。 また、その黒字幅が大きくなると、もちろん将来の基礎価値の上昇も大きくなるわけですから、 その分、株価は基礎価値に対して、より高く取引されます。 (逆に赤字幅が大きくなると、株価下落の角度が上がり、基礎価値に対し、 より安い価格で取引されるようになる) 大体、株価というのはこういうメカニズムで決まります。 (長期的には。短期的にはまた別の力学が働きます。) ここまでが、株式投資をする上での、基礎的な話となります。 (基礎の基礎といっていいのかもしれません。) 株式投資の戦略は、ここまでの話をベースに 組み立てていくことになります。 次回以降は、こういった話をしていきたいと思います。 ではまた次回。 次へ ジャンル別一覧
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