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金のなる木を投資で増やそう

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安全投資のススメ(3)

安全投資のススメ(3)~株の真の定価と最安特売価格を知ろう~


さてようやく、具体的な領域に入っていきたいと思います。

前回は安全投資をするうえでのポイント、(1)投資対象(銘柄)と(2)タイミング(買値)が
大切、というお話をしました。

今日はまず、(2)タイミング(買値)の話からして行きたいと思います。

なぜなら、2000社を超える会社の中から、投資対象を選んで投資する際の手順としては、

1)スクリーニングなどで現在、割安な銘柄を検索する。
  (割高なものは、はずす)

2)さらに割安性を検討する。

3)絞り込まれた銘柄が、投資対象として安全・良いものであるか
  どうかをチェックする。

4)銘柄の株価を監視し始める。
  うまく下げてきて目標株価になってきたら、買い下がり始める。

という形になると思いますが、この順番からいうとまずは「今、割安なのはどれか?」と
いうことを先に考えなければならないからです。

※良い銘柄も、割高なときに買ってはなりません。先に「3)優良銘柄の選定」をすると、
その銘柄を「割安」と判断できる株価になるまでずっと待たなければいけない
ことになります。最悪、いつまでたっても「割安」にならないこともある→結局シビレを切らして
高いうちに買ってしまう、という悪いパターンにはまりやすい。
まず先に安いものを探すことから始める必要があります。



ということで、買値の話から始めます。


皆さんは、スーパーマーケットに食材などの買い物をしにいきますか?
moneytree7はよく行きます(^^;

スーパーの店頭・チラシで見ていると、「特売」というものがあり、ある一定の商品が
ものすごく安く、3割引とか5割引で売られていることがあります。

また、複数のスーパー間でも、イトーヨーカドーでは月に一回くらいは
冷凍食品半額セールをやる、冷凍食品はそのときに買わないとソン、
スーパーBでは、ネスカフェゴールドブレンド(150g:メーカー定価1140円)が最低498円まで下がるのが
年に数回くらいある、とかいうのがわかってきます。(最近デフレ脱却してきたのか
498円はとんと見なくなってきましたが・・(^^;おっと脇道。)


実は株式も同じなのです。

株式にも、真の定価と、特売激安最安価格(これ以上安いのを見たことがない)というものが存在します。
私たちが株を買うときは、この特売最安価格近辺で買う、ということを考えるのが、とりもなおさず
タイミングを考えた購入、ということになります。


ではまず、「真の定価」ということから何かといいますと・・

第1回目から一貫して、一株純資産(BPS)がその株の基礎価値である、といい続けてきました。
これがまず、その会社の第一の”定価”と考えてよろしい、です。
(ここまでは会計的に、正しい。)

しかし、実際には、”真の定価”というものが存在します。
株式によっては、PBR=0.5、つまり株価が一株純資産の半分が
その会社の株の定価だ、という会社も存在します。

例えば・・次の例を見てみましょう。バリュー投資でスクリーニングをかけると
よくヒットする、中電工(1941)です。

中電工

この会社の過去数年のPBRの上下を調べてみると、株価が上下しながらも、
(それにつれてPBRも随時上下しながらも)PBRは大体0.4~0.8の間に
収まっているのがわかります。

つまり、この会社の”真の定価”は、大体一株純資産の6掛けくらいじゃないの、
ということがいえます。

買い物してるとよくこういうことがありますよね。
メーカー希望小売価格は1000円だけど、いつ行っても定番価格598円で
売られているもの、とかって・・。同じような感じです。

(こういう株をメーカー希望小売価格のPBR1倍を割ったからといって
 割安と判断して安易に手を出すと、絶対に損します。)

なぜこういうことが起こるのかというと、さまざまな要因があるでしょうが、
第一回目の端書き(阪神電鉄の例)にも書きましたが、一つには、一株純資産というのは
バランスシートという会社の帳簿上の資産※をベースに計算されている
ために、
会社が解散して、いざ売りさばくとなったら、帳簿価格どおりに売れないものも
資産にたくさん含まれている
かもしれません、その分を割り引いて実際の会社の
価値(定価)を株式市場が評価している
、と考えられます。

※バランスシート上の左側、資産の欄に乗っている資産は基本的に、
その会社の取得原価ベースで金額が計上されています。
つまりは販売価格じゃない、ということです。

もう少し説明すると、B/S上の資産の内容が、「現金」が主な資産だとすると、
これはほとんど疑いようもなく、資産の金額をそのままで評価(1倍)できる、と思いますが、
「棚卸資産(その会社の商品在庫)」これはどうでしょうか?もし会社が倒産して解散することになったら

帳簿価格どおりに売れるでしょうか?売れないですね。
閉店セール価格で取引され、実際の取得原価割れ、70%OFFとかで売られるかもしれず、
解散価値としての資産内容としてはそのように評価しておかないといけない、ということになります。

「土地」なんかもそうですね。土地バブルみたいになると実質の資産価値はUPしますが、
バブル崩壊後のような土地価格の低下局面では、帳簿よりも実質の資産価値が目減りします。

このように、B/S上の保有資産の種類と量のバランスによって、”真の定価”は帳簿上の
定価(一株純資産)と一致せず、形成されていると思います。
(その他、おそらく事業素質やその他もろもろの影響もあり、理由はこれだけではないと
思いますが、それらをミックスした、”市場の評価”というのがこの各銘柄ごとのPBR
の特徴=”真の定価”に表れるのでしょう。)

ちなみにBS上の資産を詳しく、現金は1掛け、棚卸資産を0.5掛け、・・等として
会社の真の解散価値を計算しよう、としてらっしゃったのがバリュー投資・証券分析の父
ベンジャミン・グレアム先生
ですが、おそらくそういった方法よりも、上でやったような
実際の過去の株価・PBR動向を見て、その会社の株の”真の定価”を窺い知ろうとするほうが、
方法もシンプルで実施しやすいですし、信頼感も高いのではないか・・?とmoneytree7は思っています。
(資産価値だけでない諸要素も織り込まれているわけですし・・。)



さて、真の定価を理解したところで、激安最安価格とは?ということですが、ここまで進んでくると
おそらく大体想像されているでしょう。
過去10年間程度の最低PBR、これを現在の1株純資産に掛けることによって算出します。


最安価格 = 過去の最低PBR × 現在の1株純資産(BPS)

これは、現在の株価が、過去の最低PBRと同じPBRまで下がったときの株価のことです。
(現在の1株純資産は、毎年黒字を続けていれば、過去のその時点での1株純資産を上回っているはず
ですから、この最安価格は、過去の最低PBRのときの株価よりは若干上です。)

現在は、たいていの株が、最低PBRは02年11月~03年3月くらいに集中していると
思います。そう、あの9・11テロ後のイラク戦争までの、陰の極み的、デフレスパイラル的
経済最悪期
です。

それを想像すると、やはりPBRがその水準になるまで株価が下がる、とは到底思えませんし、
もしそこまで下がったら、これは「買い」!の一点でよいといえるでしょう。
(つぶれない、安全な株だったら、ですよ?(^^;これは次回に述べます。)

例えば、ここの例の中電工では、最低PBRは03年4月の0.36が最低です。
これにこの投稿を書いている07年時点で最新の06年3月期のBPS、3386円を掛けると
1219円となります。これが現在のこの会社の最安価格であり、この会社の株は
いくら下げてもここまでだろう、といえると思います。
(他のどのスーパーを探してもここまで安く売っているところはないし、将来それ以上値下がり
することも、まずほとんどないだろう、と思える。つまりこの株価は、ネスカフェゴールドブレンド=498円の株価です。)

株の買い方、は、この”最低価格”や”真の定価”を目安に行うと、非常に安全投資に近くなります。
これを利用した「株の買い方」も先々書いていきたいと思います。

さて、今回を通して、株の高い・安いの判断が大体できるようになってきたと思います。

次回は、安全投資のポイント(1)投資対象(銘柄)について見て行きます。

では、また次回。

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