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土曜日の書斎 別室

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April 30, 2007
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カテゴリ:第二次世界大戦
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  わが国民が試練に敗れても、 私は涙など流さん。
  それに値しない。
  彼らが選んだ運命だ。
  自業自得だろう!




  1945年4月30日。
  独ソ両軍が死闘を展開し、 全市街が凄惨な戦場と化したベルリン。
  ソ連軍の重囲に陥った総統官邸地下壕内で、 アドルフ ・ ヒトラーは、 前夜結婚式を挙げた新妻 エヴァ ・ ブラウンと共に、 覚悟の自殺を遂げた。
  遺体は、 生前の指示に従って、 速やかに焼却された。

  国家指導者としての責任から・・・。
  祖国に壊滅的な惨禍をもたらし、 民族の歴史を汚辱に塗れさせた、 一切の責任から・・・。
  巧妙に逃れ去ったのである。

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  独映画 『ヒトラー最期の12日間』 の終盤・・・。
  最期の瞬間を迎えるべく、 エヴァと共に総統執務室に歩み入るヒトラー。
  その背後から ゲッペルス夫人 が、 血相を変えて取り縋る場面がある。

  総統に死なれては、 世界はもう終わりです。
  総統のいない世界に、 私達は生きていられない。
  どうか私達を御見捨てにならないで下さい!!

  ・・・と、 身も世も在らぬ態で哀願するのである。

  ヒトラーからしたら、 時を移してはいられない。
  どう有っても、 4月30日 中に自決を遂げなくてはならなかった。
  翌 5月1日 が、 ソ連にとって、 ボルシェヴィキにとって、 どんな重要な意味を有する日付であるか、 敢えて説明を要さない。
  官邸を包囲しているソ連軍は、 是の日をベルリン陥落日とすべく、 全力を挙げて総攻撃を掛けて来るであろう。
  5月2日まで、 官邸の防備は持ち応えられまい。
  5月1日が自分の 命日 として記録される事は、 到底承服出来なかった。

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  最早ヒトラーの重大関心事は、 ドイツ民族の運命などでなく、 自分一個の体面でしかない様子である。
  究極とも云い得る、 独裁者の身勝手さであろう。
  年端も行かない 少年 ・ 少女志願兵 も含めて・・・。
  ベルリン防衛のドイツ軍将士が、 絶望的な抗戦を継続 しているのは、 ヒトラー自身が根拠もなく鼓吹し続けて来た奇跡の勝利に、 一縷の希望を繋いでの事である。
  総統に心置きなく自決を遂げさせるための時間を稼いでいる訳では、 決してないのである。

  私達を見捨てないで!と、 見苦しくも絶叫するゲッペルス夫人 (夫人に共感し得る観客は、 恐らく皆無であろうが・・・) の描写を通して、 激しい独裁者糾弾の姿勢が裏返しに表現されている。
  作品の演出意図は、 極めて明瞭である。





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Last updated  May 2, 2007 08:04:04 PM
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