133894 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

Card Of Joker

Card Of Joker

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

ジョーカー7883

ジョーカー7883

Calendar

Rakuten Card

Favorite Blog

まだ登録されていません

Comments

蓑笠亭主人鋤谷九郎@ Re:スフィンクスの謎のヴァリエーション(06/15) その謎の答えに関しては、神話学者である…
BOPPO@ ありがとうございました(12/31) ジョーカー7883さま 地球温暖化の件か…
ジョーカー7883@ Re:チャトラちゃん(08/21) こんばんは、BOPPOさん なるほど・・・…
BOPPO@ チャトラちゃん ジョーカー7883さま こんばんは、BOPPO…
ジョーカー7883@ Re:チャトラちゃん「ガッバッテ」(08/21) こんばんは、BOPPOさん いつもありがと…

Freepage List

Headline News

2011.09.04
XML
カテゴリ:映画
映画『愛を読むひと』・・・ここではエクリチュール(文字言語)の方が「シボレート」もしくは「パス(通路)」の役割を担っている。言うまでもなく「シボレート」とはその語を発音できるかできないかが問われた音声言語における生死を分ける鍵のことであった。


女がナチの収容所の看守として罪に問われている。ハイデルベルク大・法科に学ぶ青年は、ゼミを通じてこの裁判の法廷を見学することになる。驚愕。そこで罪に問われている女が彼にとって初めての女性だったからだ。

初めての女性というのは「パス(通路)」である。それ以降、いくつかの出会いと別れを経験しながら通過を繰り返し・・・例えば終着駅の改札口が、そこまでの通路を抜ける「パス(通路)」となる。

彼女と共に罪に問われた女看守たちは、彼女を「責任者」として自分たちの罪を免れようと計る。彼女は最初その事実を否定する。ところが、彼女が「責任者」だったと認めた書類が存在する。ニセモノの捏造書類だ。しかしながら、筆跡を調べれば、真相が判明する・・・

ペンとメモ帳が彼女の前に差し出される。「書きなさい」と言うわけだ。書くこと、それが「シボレート」となる。彼女がためらう。しかし、ここでは「書くこと」と「書かないこと」との差異が問われたり、選択肢となっているわけではない・・・人間的な「尊厳」に関わっているからである。

「何をためらうのか?」・・・青年の脳裏にかつての恋の日々がフラッシュバックする。答えはその中にあった。本を前にした彼女の不可解な振舞いの数々。読んでもらうことを喜んだ彼女。彼は真相に辿り着く。

けれども・・・真相を知りながら・・・あの就職が決まって髪を切った男のように振る舞うわけだ。もう過ぎた恋だからか?/「違います!」と立ち上がり、彼女のために証言することをためらう。

「何をためらうのか?」

この卑怯な青年は、悩む振りを「言い訳」のように見せながら・・・若い女子学生のベッドへ潜り込んでしまう。ここまで情けないと、言葉もない。


君に言い訳したね~♪/その冗談は顔だけにしとけよ!


彼女は「字が書けないこと」を告白するよりも、他の看守たちから転嫁された一番重い罪を引き受けることを選び、終身刑に服することを耐える。

青年は、証言を何故ためらったのか?/その欲望においては熱血でありながら・・・

「教姉教弟」。『邪宗門』では、「彼女」をかばって自ら宗門を去って行った「彼」。それとはあまりにも落差のある卑怯を・・・この『愛を読むひと』の「彼」に感じないわけにはいかなかった。

『いちご白書をもう一度』レベルの映画であると思う・・・「シボレート」と絡めているというような観点でなら・・・まあ、ありなのかなと思う程度。


参考:「シボレート:Schibboleth」について

「しかしてギレアデ人エフライムに赴くところのヨルダンの津(わたり)を取り仕切り、エフライム人の逃れ来る者ありて<我を渡らせよ>と請えば、ギレアデの人之に<汝、エフライム人なるか>と問い、かれもし<然らず>と言えば、また之に言う<シボレテと言え> と。かれその音を正しく言い得ずして<セボレテ>と言えば、すなわち之を引き捕らえてヨルダンの津(わたり)に殺せり。」(旧約:士師記/12章)

「シボレート:Schibboleth」とは検閲のための言葉である。旧約に記されたエフライムからの逃亡者たちは、<シ>と発音できなかったために捕らえられ、殺戮された。「シボレート」そしてこの言葉によって、ドイツ系ユダヤ人であった詩人ツェラーンは、旧約に記されたエフライム人の運命を、強制収容所へと送られたかれらユダヤ人たちの運命に折り重ね、反覆させている。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2011.09.04 00:22:10
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.