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昨日は「オンブ」についてのシンポジウムにパネリストとして参加してきました。
最近、オンブをする人が急激に減ってきているようです。 その理由としては、「かっこわるい」、「からだが辛い」、「みんながそうだから」などがあるようです。そして、今の若いお母さん達はそのことを「当たり前のこと」として受け入れています。 でも、その理由は全て「大人の都合」ばかりで、「子どもの育ちにとっての意味」は全く考慮されていません。 子どもはお母さんと肌を触れあっていると安心します。そして、肌を通してお母さんの心やからだの動きを感じ取ることも出来ます。「嘘発見器」は、肌に付けて「心の動き」を調べるものですが、赤ちゃんもまた、お母さんの肌に触れながらお母さんの心に触れているのです。 赤ちゃんにとって、それ以上の安心はないと思います。 「オンブ」をしない人達は、「欧米的な子育てスタイル」を模倣しているのかも知れません。実際、白人文化の国では「オンブ」をしないそうです。 世界には色々な民族がいますが、なぜか、白人文化の国だけが「オンブ」も「抱っこ」もしないのです。 もちろん、状況に応じて一時的にはすることもあるでしょうが、生活文化、子育て文化としての位置づけはないようです。 私たちの生活は欧米化しました、着るものも、食べるものも、家も、社会システムもかなりの程度欧米化しています。 「子育ての方法」の変化もその一部なのかも知れません。 でも、問題は、その変化は表面的なものに過ぎないということです。つまり、見かけだけ似せていると言うことです。 日本人は欧米的な洋服を着ていますが、欧米人のような体型でもなく、また、欧米人のような歩き方や仕草も出来ません。 そのため、素敵なお化粧をして、素敵なファッションに身をくるんでいながら、姿勢も、歩き方も全くそれに見合っていません。 素敵なハイヒールを履いていながら、膝も腰も曲がり、お尻を突き出し、頭が前に出た状態で歩いている人もいます。 今の日本では、小さいときから英語を学ばせるのが流行っていますが、だからといって、その英語を通して、欧米的な考え方や、感じ方や、表現能力を育てようとはしてません。 むしろ、子どもに欧米人的な感覚を身につけさせてしまったら、日本の学校では浮いてしまうでしょう。 ただし、そのようなことが悪いと言っているわけではありません。日本と欧米とでは何千年、何万年という歴史が違うのですから、違って当然だからです。 私が言いたいのは、それはそれで仕方がないのですが、「その違いはちゃんと自覚しておいた方がいいですよ」ということです。 そうでないと、単なる「猿まね」に終わってしまい、「自分自身」も失うことになってしまうからです。 子どもを育てるということは、その子どもを「子どもが生きている社会で、一人の人間として、生活も、心も、からだも、自立して生きていく能力を身につけさせること」です。 これが親の役割です。 私たちは有史以来このような子育てをしてきたのです。 ですから、「子育ての方法」の中には、萌芽的な形で、その文化の全てが含まれています。 欧米流の子育ての中には、欧米人として文化を受け継ぎ伝えるための能力を育てる方法が含まれています。 たしかに、オンブも、抱っこも、添い寝もしないかも知れませんが、しょっちゅうハグして、ちゃんと目を見て、ちゃんと言葉で説明して、いつも「大好きだよ」と伝えています。 でも、日本のお母さん達は「オンブをしない」という所は真似しているのに、その他の所は真似していません。 むしろ、目を見るのではなく子どもを無視し、ハグの代わりに子どもを放置し、言葉で説明せずに怒鳴って言うことを聞かせ、大好きだよと言わすに「なんべん言ったら分かるの、まったくもう」と叫んでいます。 スーパーで、自分の子に向かって「バカ 死ね」と言い放っているお母さんを見かけたこともあります。 もちろん、そうでないお母さん達もいっぱいいます。でも、このような状態のお母さん達がどんどん増えてきているのは事実だと思います。 私の所には、色々な所からそのような仰天情報がいっぱい入ってきます。 「子どもの成長」という視点や、「子どもからのまなざし」を大切にせず、お母さんが、お母さんの都合だけを優先し、「見かけ」や「楽」や「便利」ばかり求めるような子育てをしていると、必然的にこのような状態になってしまうのです。 このような子育てを受けている子どもは、どこで「安心」を得ることが出来るのでしょうか。 どのようにして「心を通わせる能力」を育てる事が出来るのでしょうか。 どのようにして「親と子の信頼関係」を築くことが出来るのでしょうか。 どのようにして、「自立して生きていく能力」を育てる事が出来るのでしょうか。 「オンブをしない子育て」を選ぶのは結構です。でも、それならばちゃんと目を見て話しかけ、日常的にハグして「大好きだよ」と伝え、言葉でちゃんと説明し、子どもの言葉にも耳を傾け、子どももお母さんも「感情表現」を大切にすることを心がける必要があるのです。 そういうことは「オンブをしない子育て」とセットになっているのです。 そうでないと、子どもが思春期を迎える頃には「想定外の状態」になってしまい、親も子も苦しむことになります。 もちろん、これらのことは、「オンブ」で子育てしている場合にも必要なことです。 でも、「安心を与える」とか、「親と子の心の絆を育てる」という点で、「オンブ」は非常に優れた方法なんです。 「愛してるよ」などと言わなくても、肌を触れあっていると気持ちはちゃんと通じるのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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