日本の蝶の中で、私が昆虫採集をしていた頃に憧れた蝶が3種類あります。それはイシガケチョウ、キベリタテハとスミナガシです。地元では見ることが出来ませんでしたし、こんな変わった模様の蝶を見てみたいと図鑑をいつも眺めていました。
スミナガシに最初に出会ったのは2010年6月1日にYOSの会(高橋昭先生を囲んで、山に登り、温泉に入り、酒を飲む会)で岐阜県板取村の蕪山(かぶらやま)へ登った時です。頂上付近でテリ張りをしているスミナガシを初めて写真に納めました。スミナガシは年2回発生しますので、その時は1化のスミナガシだったと思います。
スミナガシとアワブキ(蕪山) (1) posted by (C)ドクターT
2化の出る時期(2010年8月16日)にもう一度行きました。その時は頂上にも飛んでいましたが、降りて来る途中4合目付近でスミナガシが飛んでいる場所がありました。それで食草のアワブキの木を知ったのですが、その時にはスミナガシの停まっている葉とその隣の葉の先端が簾のように垂れ下がっていることに気付きませんでした。
日本蝶類生態図鑑IIを後で見て、これがスミナガシの1~2齢幼虫が造る巣であることを知りました。
アワブキに出来た簾と幼虫 posted by (C)ドクターT
今回の探索ではこの巣の確認をすることも目的でした。アワブキの木にはたくさん幼虫の巣が出来ていました。そして、この簾様の構築物も不思議ですが、先端に伸びた棒状の構築物も不思議です。この棒状のものは中心の葉脈を食べ残したものだけではなく、幼虫が食べた葉を少しづつ糸でくっつけて先端を延ばすようです。ですから葉の長さよりも長く突き出ています。そして幼虫はこの時期にはまだジョーカーのような触角はありませんが、大体この棒状の構築物に停まっていますので、容易に見つけることが出来ます。3齢以降になるとこのような造巣性はなくなり、3、4齢は葉裏の基部辺りに、5齢になると葉表にいることが多いようです。