アサギマダラの食草は本州付近ではキジョラン、イケマ、カモメヅル、ガガイモなどのガガイモ科(現在はキョウチクトウ科ガガイモ亜属に分類されているようです)です。
カモメヅル (豊田フォレストパーク) (2) posted by (C)ドクターT
カモメヅルは湿地に多く、愛知県では豊田フォレストパークと新城市の長ノ山湿原で見たことがありますが、それほど多い植物ではありません。
ガガイモ(常滑市) posted by (C)ドクターT
ガガイモは愛知県でも時々見ますが、生息場所が安定しないようです。
イケマ(長野県浪合村) posted by (C)ドクターT
中部の標高1000m前後の高地では夏になるとイケマが繁茂していて、アサギマダラが夏に本州の高地を目指して飛んでくるのはそのためだと思います。
南西諸島ではツルモウリンカ、サクララン、タイワンキジョラン(イリオモテキジョラン)などのガガイモ科が食草となっています。
ツルモウリンカ(アヤミハビル館) posted by (C)ドクターT
ツルモウリンカは与那国のアヤミハビル館で見ましたが、リュウキュウアサギマダラ、ヒメアサギマダラも食草としています。
サクラランに停まるオオゴマダラ(西表島) posted by (C)ドクターT
サクラランは花が綺麗で、見つけると誰か掘り起こして持って行くのか自然状態ではあまり見たことがありませんが、蝶園ではよく植えてあります。西表島の由布島の蝶園でたまたまオオゴマダラが停まっていましたが、オオゴマダラの食草はキョウチクトウ科のホウライカガミでサクラランは食べないようです。
タイワンキジョランは多分見ていると思うのですが、写真が撮ってありませんでした。
本州の上に載せた3種のガガイモ科はいずれも落葉し、冬は地上部が枯れてしまいますので、冬の食草にはなりません。
しかし、キジョランは常緑で冬も枯れません。これは昨日豊橋市某所で撮ってきた写真ですが、アサギマダラに特徴的な食痕がついています。愛知県では稲武町の伊熊神社社叢(天然記念物)と豊橋市某所にあります。
キジョラン(豊橋市) (5) posted by (C)ドクターT
この付近には結構たくさんありますが、他へ拡がらないのは何故でしょうか
アサギマダラ幼虫(豊橋市) posted by (C)ドクターT
食痕を頼りに探すと若齢幼虫が見つかりました。アサギマダラは冬に全部南の方へ渡って行くものだけでなく、キジョランのあるところでは幼虫で越冬しているものもいる訳です。多分この幼虫は春には成虫となるのでしょうが、それが留蝶としてこの場所に留まるのかそれとも北の本州中部の高地へ渡って行くのかは誰も知りません。