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『ぶたぶたは見た』 矢崎存美… (読書・コミック)楽天ブログ 【ケータイで見る】 【ログイン】
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2012.05.27 楽天プロフィール Add to Google XML

『ぶたぶたは見た』 矢崎存美
[ 日本の小説 ]    

タイトルでわかるとおり、今回、ぶたぶたさんは
ハウスキーパー。漢字で書くと家政夫。

家事に仕事に忙しい主婦の苑子が
誰かに突き飛ばされてトラックに接触。
公津事故にあったことから
それまで苑子に頼り切っていた夫、大学生の息子、
中学生の娘は掃除洗濯料理に困り果ててしまいます。

そこで近所の人の勧めでぶたぶたさんを
ハウスキーパーに雇うことになります。

また、うちの父親が突き飛ばしたらしいと
謝りに来た沼口さんが現れ、
事故の目撃者でもあるぶたぶたさんも関わることに――。

定年退職した父親が、近所の図書館やスーパーで
女性にプライベートな質問をしつこくしていたことが
わかるのですが、その理由については口をつぐむ。

もちろん事故についても無言の怒りで
自分の殻に閉じこもってしまいます。

日常のミステリーとしてはインパクトに欠けるのですが
ぶたぶたさんのスーパーハウスキーパーぶりは健在。

「洗濯物を回収して、ベッドの布団を整えて、
掃除機とハンディモップをかけて、
物をまっすぐに並べただけ」
が「ざっと掃除する」ということ。

えっ。
ざっと掃除をするって四角い部屋を
丸く掃除機かけるだけでした!

レベルの違いを今回も感じたのでした……。

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『ぶたぶたは見た』
価格:520円(税込、送料別)





Last updated  2012.05.27 11:18:19
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2012.05.26

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』 東野圭吾
[ 日本の小説 ]    

子どもたちの素朴な疑問の手紙に答えるうちに
人生相談にまでのるようになった
ナミヤ雑貨店の店主浪矢雄治。

マジメな相談は手紙に書き、
夜、シャッターのポストに入れておくと
朝までに雄治が裏口の牛乳箱に入れておくという
ルールまで確立しました。

悩みを寄せる子どもや若者たちと雄治、
そしてその息子や孫たちまでを
ミステリータッチで描きます。

オリンピック出場と不治の病に冒された恋人との板挟みの女性。
ミュージシャンを夢みる若者。
不倫の末できた子どもを産むかどうか悩む独身女性。

そして雄治の息子、貴之は雄治から不思議な遺言を託され、
それは彼の孫の代まで引き継がれます。

さらに夜逃げする両親についていくかどうか悩む中学生。
家計のために水商売に専念するかどうか悩むOL。

これらの話が単純な連作短編やロンド形式ではなく
時空を超えて展開します。

少しずつ話が重なり合っていき
最初に出てくるコソ泥3人組の話にまで戻ってくるのですが
自由自在に、しかししっかりとしたプロットによって
小さな町の小さな雑貨店の大きな役割が見えてきます。

一夜限りのナミヤ雑貨店の悩み相談復活というのも
ロマンや郷愁を感じさせます。
今の時代にマッチした空気感。

因縁、天の配剤、神様からのプレゼント。
目には見えない、けれど温かな絆を血縁、地縁に感じます。





Last updated  2012.05.26 17:32:34
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2012.05.12

『晴天の迷いクジラ』 窪 美澄
[ 日本の小説 ]    

田舎に居場所を見いだせず、
東京でも彼女にフラれ、会社は倒産寸前。
忙しすぎる仕事に追われて軽いウツになる由人24歳。

絵の才能を持ちながら、高校生で妊娠。
地元の政治家の嫁となるも、子育てに疲れ
子どもを捨てて東京に出てきた野々花は
必死に働き会社を興すも、不景気から倒産。
気づけば男のようなおばさん48歳。

母親の過干渉と潔癖症に振り回され
たった一人できた友人も亡くなり
引きこもり、不登校、リスカ少女の正子16歳。

居場所のない3人がふとした出会いから
クジラを見に行くことになる。
連作短編で描かれるこの小説の真骨頂は最終章。

南の湾に迷い込んだクジラが癒しの対象ではなく
やや迷惑なものとして描かれる。
3人のあからさまなメタファーではなく、
物語がなるべくしてなっていくのがうまい。

おばあちゃんとその孫という家族の家に
泊まることになる3人は、不自然に思われないように
疑似家族を演じる。

このおばあちゃんがとてもいい。
人に何かをするのが好きで、でも自分の不幸は言わない。

不運と不幸に理由はない。
ただ環境と自分の感受性がそこにあったのだ。

だったらそれを変えていけばいい。
そして力強く、しなやかに生きる術を身につけよう。




Last updated  2012.05.12 16:52:22
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2012.05.08

『ココロ・ファインダ』 相沢沙呼
[ 日本の小説 ]    

高校の写真部に所属するミラ、秋穂、カオリ、
シズの4人を連作で描く短編集。

カメラや写真に引っかけた日常のミステリーは味付け程度。
それぞれの青春の悩みに共感する。

かわいくて誰とでも気軽に口を聞けるカオリ。
いつもそばにいるミラは、つい容姿を比べてしまう。
もっとかわいかったら、わたしだって――。
わかるなあ。

友だちに一歩、近づけない秋穂。
青春期には、なんでもない距離が遠いこともある。

過去を切り捨てて生きているカオリ。
かわいくて明るい彼女の知られざる過去。
中学高校大学と3年ごとに学校が変わると
簡単に過去と決別できてしまう。
誰もが一つや二つ、隠していることがある。

勉強と好きなことの狭間で揺れる優等生のシズ。
友だちを傷つけていたことに、ある日気づく。
好きなことにつき進むことの難しさもある。
他者を傷つけずに生きていくことなどできないと
悟り始めるのも青春。

なんだろう、こんなにも切なくて蓋を閉じたいのに
心の痛みを甘咬みしたいような変な気持ちになる。

写真のことは詳しくないけど、
登場人物たちが除くカメラから見た風景にも惹かれる。
裸眼では見えない風景に心象が重なる。

楽天ブックスの『ココロ・ファインダ』へ
『ココロ・ファインダ』


Last updated  2012.05.08 12:01:01
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2012.04.27

『Happy Box』 伊坂幸太郎・山本幸久・中山智幸・真梨幸子・小路幸也
[ 日本の小説 ]    

ペンネームに「幸」の文字がつく作家の
「幸せ」をテーマにしたアンソロジー。
どれもそれぞれ読ませるし、それぞれの著者の味わいがでている。
競作にふさわしい作品が並んだ。

伊坂幸太郎の「Weather」
女グセの悪い友人の結婚式に呼ばれた大友。
新婦は高校生の頃の元カノ。
その彼女から新郎の女関係について調査を依頼される。
大友は新郎の女友達及び彼女にヘンな話ができないため
天気のことについて異常に詳しくなってしまったというのが
おかしい。一般的な話題で話を逸らすという技。

山本幸久の「天使」
77歳の女性掏摸師福子は、仕事先のショッピングモールで
親子の掏摸に出会う。どう見ても6歳くらいにしか見えない
9歳のタカシは姉とともに、父親に働かされていた。
福子を育てた一つ目金治とのエピソードがいいなあ。
じんわりと心に沁みる。
ラストは割り切れないが、子どもたちの幸せを願いたい。

中山智幸の「ふりだしにすすむ」
「私はあなたの生まれ変わり」とおじいさんが
りりこの前に現れる。前世ではあるものの、
時系列的には同時代に存在するという。
幼い頃からのおまじないの呪文と老人の名字の一致する。
不思議な不思議な物語。

真梨幸子の「ハッピーエンドの掟」
ホステスとして働く母と二人暮らしのアイコ。
昭和46年。愛子は11歳。
この時代、ママは6畳一間のアパートに
カラーテレビ、クーラー、熱帯魚の水槽を揃える。
カルピスはどんなに濃くして飲んでもいいし、
出前も取り放題。決して裕福ではないのに
モノがあると幸せだと感じる。そんな時代だった。
幸せってなんだろうなあ。
これだけでも深い意味を持つのに、もうひとつ仕掛けてくる。
やっぱり怖い、真梨幸子。

小路幸也の「幸せな死神」
仕事でいいことがあり、一人祝杯をあげていたバーで
「私」は死神を召喚し、契約をしてしま
姿が見えるようになってしまった。
人の死ぬ場面に立ちあうのが死神。
そんな死神の願いを「私」は叶えようと――。
切ないなあ。死神の幸せって。




Last updated  2012.04.27 16:42:12
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2012.04.24

『仙台ぐらし』 伊坂幸太郎
[ エッセイ ]    

2005年から地元仙台の「荒蝦夷」に掲載した
エッセイ「○○が多すぎる」シリーズ、
地元紙寄稿のエッセイ、
「幽」に掲載した震災のこと、
書き下ろし小説1編を収録。

仙台での暮らしが軽妙に書かれている。
「○○が多すぎる」というタイトルも惹かれる。

伊坂幸太郎がこんなにも心配性とは知らなかった。
宮城県沖地震を震災の2年前に心配しいているのは
今となるとぞっとする。
でも、備えをしなくちゃねぇ。

あとがきで本書を読んでも仙台のことはわからない
と書いているが、その通り。
でも小説と同じく読者へのサービス精神はあふれている。
1編として飽きることがない。

「ずうずうしい猫が多すぎる」がいちばん楽しめた。

『仙台ぐらし』へ
『仙台ぐらし』



Last updated  2012.04.24 16:09:05
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『仙台ぐらし』 伊坂幸太郎
[ エッセイ ]    

2005年から地元仙台の「荒蝦夷」に掲載した
エッセイ「○○が多すぎる」シリーズ、
地元紙寄稿のエッセイ、
「幽」に掲載した震災のこと、
書き下ろし小説1編を収録。

仙台での暮らしが軽妙に書かれている。
「○○が多すぎる」というタイトルも惹かれる。

伊坂幸太郎がこんなにも心配性とは知らなかった。
宮城県沖地震を震災の2年前に心配しいているのは
今となるとぞっとする。
でも、備えをしなくちゃねぇ。

あとがきで本書を読んでも仙台のことはわからない
と書いているが、その通り。
でも小説と同じく読者へのサービス精神はあふれている。
1編として飽きることがない。

「ずうずうしい猫が多すぎる」がいちばん楽しめた。

『仙台ぐらし』へ
『仙台ぐらし』



Last updated  2012.04.24 16:08:48
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2012.04.21

『ジャズと落語とワン公と 天才!トドロキ教授の事件簿』 赤井三尋
[ 日本の小説 ]    

早稲田大学言語博士の等々力教授は探偵が趣味。
助手の井上健吉とともに日常の謎を解決するシリーズ。
3編を収録。

「秋の日のヴィオロンのため息の」では
アインシュタインのヴァイオリン入れ替わりのミステリー。

「蛙の水口」では加藤高明が登場。
謎は外務省の暗号とスパイ問題。

「ジャズと落語とワン公と」では柳家金語楼の
ジャズ落語の依頼主の謎。

それぞれ有名人が登場し、大正から昭和の初めの時事ネタを
散りばめて、ワクワクさせてくれる。
ちなみに「ワン公」とはハチ公のこと。
美談化したハチではなく、ありのままのハチでかわいい。

等々力教授や井上君のキャラクター性は弱いけれど
ほかの登場人物が新鮮なので相殺され、気にならない。
シリーズ化してくれるかな~。

楽天ブックスの『ジャズと落語とワン公と』へ
『ジャズと落語とワン公と』


Last updated  2012.04.21 16:39:38
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2012.04.17

『六月の輝き』 乾 ルカ
[ 日本の小説 ]    

同じ日に生まれた、隣同士の女の子・美奈子と美耶。
病弱で大人しい美耶をかばう活発な美奈子。
お互いなくてはならない存在だった仲のいい二人が
美耶が美奈子の指を傷つけてしまう事件をきっかけに
修復しがたい仲違いをしてしまう。

その事件以来、病気やけがを治してしまう力を持つ美耶は
「神の子」と呼ばれるようになる。
飲んだくれでぐうたらな父親は
金儲けの元として働かせる。
青白い美耶を水死体と嫌う母親は嫌悪感をさらに
つのらせる。

心が行き交わなくなった二人の数年間を
美耶の母親、同級生の史恵、ヤクザ稼業のような高田、
難病の少年・平田、美奈子の母親と
周囲の人々の視点で、連作短編として紡ぐ。

一つひとつの話の完成度が高く、光り輝いている。
特殊な娘を持った母親の弱さ、
優等生の史恵のアイデンティティ確立、
難病の少年の心の澱と強さなど
繊細な心のひだを描いたり、
一方で過失で殺した男を路上に放置させ
警察のトラ箱で死亡させる話は
美耶の力を最大限に、絶妙に使って繰り広げる。

こんな密室殺人めいた事件、警察も困るだろうな。
笑いを禁じ得ない。

なによりも美耶と美奈子の小さなエピソードや
しぐさ、視線の行く先が細かく描かれ
少女の幼く、しかし真っ直ぐな思いを伝える。

静謐な光に満ちたラストシーンは
美耶の力の美しさを象徴している。
心が熱くなった。

楽天ブックスの『六月の輝き』へ
『六月の輝き』


Last updated  2012.04.17 16:37:26
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2012.04.16

『人生教習所』 垣根涼介
[ 日本の小説 ]    

小笠原諸島の父島・母島で開かれる人間再生セミナーに
参加した引きこもりの東大生・太郎、
フリーライターの由香、元ヤクザの柏木。

三者三様に社会から落ちこぼれてしまい
将来に希望を見出せないでいる。

元経団連会長が代表者を務めるこのセミナーは
適正合格者には就職斡旋を行うため
期待をかける者も多い。

小笠原の豊かな自然、独自の文化や歴史を学び
戦争の残骸や戦後の占領時代、その後を知る。
そして彼らは社会人としての基本的な能力、
生きる手段を学んでいく。

「人生教習所」とか「人間再生セミナー」の
内容としてはどうなのだろう? と思う。

でも小笠原の歴史を知らなかったのが
日本人として恥ずかしい。
欧米系日本人がいるなんて。
そして1968年のラインで家族や兄弟がバラバラに
なってしまったなんて。

国家や歴史など大きなものに飲み込まれながらも
日々、楽しくおおらかに生きるすべは
垣根涼介ならではの人生観。気持ちよく読める。

やや影が薄いけれど、由香が人と普通に
コミュニケーションをとれるようになり、
自分をオープンにできるようになったのが嬉しい。
エッチも好きな人とできるようになるといいね。

楽天ブックスの『人生教習所』へ
『人生教習所』


Last updated  2012.04.16 17:15:31
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