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清和、陽成、光孝、宇多と四代の天皇の摂政をつとめた
藤原基経の時代を描く3編の連作平安時代小説。 陽成天皇の若き御代に、後宮に入った紀君を中心に描く表題作は まだ平安朝を一生懸命に表現しようとしているせいか 軽く、上滑りを起こします。 しかも陽成と、乳母の息子益(すすむ)との男色が絡み それを望むような、また益の女人への恋愛をそそのかすような 紀君の心が理解できません。 展開の軽さがライトノベル並みになってしまいました。 しかし、次に時代が一代さかのぼり、 高子と、暄子を中心に描く「凍れるなみだ」、 宇多天皇擁立の頃の高子や基経を描く「東風(こち)吹かば」は どっしりと落ち着きを取り戻し、人の心の綾を 平安の政治の乱れに織り込まれていきます。 読み終えてみれば、初編は春のようなさわやかな風が吹く小説であり だんだんに人が老いていき、その醜さをさらしていき 時代が終わっていきます。 また、そこここに登場する人物にもよく注意がはらわれていて 複雑なプロットの中で、伊勢や道真が印象に残ります。 得意の女の情念や人生だけではなく、今回は基経を中心にも添えていて 平安の時代の生き様(よう)を感じる小説。 泥ぞつもりて [日本の小説]カテゴリの最新記事
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