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2008.12.13 楽天プロフィール Add to Google XML

『泥(こひ)ぞつもりて』 宮木あや子 最近、読んだ本を教えて!(85074)」
[ 日本の小説 ]    

清和、陽成、光孝、宇多と四代の天皇の摂政をつとめた
藤原基経の時代を描く3編の連作平安時代小説。

陽成天皇の若き御代に、後宮に入った紀君を中心に描く表題作は
まだ平安朝を一生懸命に表現しようとしているせいか
軽く、上滑りを起こします。
しかも陽成と、乳母の息子益(すすむ)との男色が絡み
それを望むような、また益の女人への恋愛をそそのかすような
紀君の心が理解できません。
展開の軽さがライトノベル並みになってしまいました。

しかし、次に時代が一代さかのぼり、
高子と、暄子を中心に描く「凍れるなみだ」
宇多天皇擁立の頃の高子や基経を描く「東風(こち)吹かば」
どっしりと落ち着きを取り戻し、人の心の綾を
平安の政治の乱れに織り込まれていきます。

読み終えてみれば、初編は春のようなさわやかな風が吹く小説であり
だんだんに人が老いていき、その醜さをさらしていき
時代が終わっていきます。

また、そこここに登場する人物にもよく注意がはらわれていて
複雑なプロットの中で、伊勢や道真が印象に残ります。
得意の女の情念や人生だけではなく、今回は基経を中心にも添えていて
平安の時代の生き様(よう)を感じる小説。


泥ぞつもりて



Last updated  2008.12.13 16:40:56
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