拝啓、マイケル・ジャクソン様。
35年余り生きてきて、あなたの音楽をほとんど知らずにいたこと、本当にごめんなさい。
2010年1月1日、骨の髄まで音楽ファンの姉たちに連れられなければ、おそらく観ることはなかった映画である。
なぜかといえば、私は過去、音楽ファンであったことは一度もないし、それでも聞いてきた音楽はボン・ジョヴィを筆頭にハードロックやバンド物が多く、マイケル・ジャクソンは完全にスルーしていたからだ。
なんせ、アルバムを聞いたことがない。PVは「スリラー」しか見たことがない。
映画に登場した曲のうち、知っていたのは5曲だけだ。
私にとって「マイケル・ジャクソン」とは、ただの一度もスターであったことがなかったのだ。
そんな私が、心底感動した。
なぜって、マイケルから音楽が聞こえてくるんだよ。
普通はさ、音楽にあわせて唄い、踊るじゃないか。
だけどマイケルは違うんだよ、マイケルに音楽がついていくんだよ、マイケルから音楽が聞こえてくるんだよ。
ミュージシャンやダンサーたちは、その音楽を忠実に再現するためにある。
だから奏でてるのは、マイケル自身だ。
ダンサーたちとのパフォーマンス、別撮りの映像をからめた演出、女性歌手やギタリストとの競演とか、それぞれに感動はしたのだけど、私が一番感動したのは、最後の2曲。
「ビリー・ジーン」と「マン・イン・ザ・ミラー」(ちなみに「マン~」は、この映画で初めて知った)。
曲がどうとかじゃなくてね、この2曲はマイケルが舞台に一人だけでパフォーマンスするから。
この映画、リハーサル映像をつないでいるので、カメラの視点は限定されているし、ライトも不十分だ。
とりわけ、この2曲はそう。
でも、なんの演出もないこの2曲が、ただ歌い踊るマイケルを映しているだけのこの曲が、マイケル=音楽だということをストレートに感じさせてくれた。
それまでの感動がここで頂点に達して、不覚にも泣いた。
キング・オブ・ポップと言うけれど、この人は天使と呼ぶ方があっている。
とても純粋で、LOVEという言葉を使ってこれほど違和感のない人もいない。
LOVE、地球を守ろう、そんな言葉がなんの邪念なく伝わってくる。
そんなことは地上に生きる王様にはできない。
天使か、神様、でも羽が生えてるように見えるから、やっぱり天使なんだろう。
音楽の天使。
その方が、きっと似合ってる。
この映画、もうすぐDVDが発売される。
DVDが出たら、きっともう劇場ではやらないだろうな、と思うこともあり・・・。
本日、2度目の鑑賞。
やっぱり、泣いた。
今度は、もう生きているマイケルを観ることができないことに。
もうひとつは、リアルタイムで彼を知ることができていたはずの世代なのに、彼を聞かずにいたことに。
2010年、こころから思うことは、本物は、なんとしても、見ること、聞くこと。
でないときっと後悔する。