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【豚の鼻のモヤモヤ?】
3.11の東日本大震災から、早いもので丸2年経過した。
あの大災害で約2万人の方々が犠牲となり、多くの方が住居ばかりか生活の基盤まで失ってしまった。
その被災地の復興は、遅遅として思うようにはかどっていない。
特に福島原発メルトダウンで巻き散らかされた放射線汚染で、避難している人達の多くは、2年経過しても、未だ帰還する目途も立たないでいる。
3.11の被害額は17兆円ともいわれているが、今後の福島原発処理費用を加味したら、そんな程度で済むはずもなかろう。
被災者の方々が、一日でも早く元通りの生活に帰れるよう願うとともに、その日まで国民みんなで支え合って行きたいものである。
さて、一昨日と昨日NHK放送で、特別番組「福島原発メルトダウン」について放映があった。
当時者から情報を集め、当時の現場の状況を出来るだけ再現した内容であった。
小生も技術屋の端くれとして大変興味があり、2度とも見させてもらった。
印象的だった点は、まず津波で全交流電源が途切れ、原子炉内の水位が、燃料棒に至るまでの時間の計算である。
全く給水が出来なくなった原子炉内は、制御棒が自動的に挿入され、核反応が停止したと云え、若干の反応と余熱が残っている。
従って、それらの熱で原子炉内水は蒸気となり、水位は急速に減少する。
問題はその熱量と、余裕時間を誰も計算すらしてなかったことである。
ボイラ-を扱った者なら、誰でもその時間が最重要なポイントであり、非常時はそこに注意を最優先する。
その時間は、普通の重油ボイラ-すら30分もないのである。
ましてや高温反応の原子炉では、臨界(水が一瞬に蒸気になること)に直ぐ到達してしまうはずである。
それを4時間以上経過しても、まだ大丈夫と判断していたのである。
この非常識、無知には、小生すら呆れを越えて、笑い出してしまった。
その結果、既にメルトダウンしているのに、水位はあると政府報道させ、当然のこととして最終的に原子炉を水素爆発を起してしまったわけである。
1号機の場合、原子炉の上層部に、給水が不可能になった場合の安全装置としてイソコンという特殊な腹水器が2基設置されていた。
原子炉内の蒸気圧が上がると弁の操作により、その腹水器内に高熱蒸気が流れ込み、内部の水と熱交換され、原子炉側の蒸気は水となって、原子炉に還元される仕組みである。
一方腹水器の水は加熱され、水蒸気となって外部へ放出する。
外見から2基で10トン位容量があるから、この安全装置で原子炉のメルトダウンを最低30~60分は延命できるだろう。
この時、放出される出口が「ブタの鼻」という建屋の上層部にある二つの穴である。
この安全装置が作動し出せば、当然勢いよく蒸気が吹き出る筈である。
当時、この装置を稼働さす操作弁が、操作計装空気の喪失と、操作電源の一時停電で弁の開閉状況が不明になってしまった。
弁が作動しているかいないかの判断は、この「ブタの鼻」から出る蒸気で容易に知ることができる筈であった。
それが「ブタの鼻からモヤモヤ?」の報告である。
津波が来て全停電に陥る前にも、イソコンは断続的に操作していたという。
多分だから、その熱があって、「ブタの鼻からモヤモヤ?」していたのだろう。
それを「もやもや」はイソコンが作動している、操作弁が開いていると早合点してしまったのだ。
所長から運転員、本社役員、東電全技術者(他の原発運転員)が誰一人として本質を見抜けなかったのだ。
家庭でも、ガスコンロにヤカンをかけ、沸騰したら蒸気は勢いよく出てくる。
そんな程度は小学生だけでなく、幼稚園生でも分かることである。
それを、最高学府を出ている技術者の誰一人として、考えつかず予想もつかなかったという。
さらに問題なのは、番組では、原子力委員会もそれに群がる日本の技術陣も、今でもそこが分からないとしていることだ。
もはやこれは茶番である。
技術の日本どころではない。
少なくとも東電は、原発どころか火力発電すら動かす資格はないだろう。
番組でが、アメリカの原子炉では定期的にこの装置を働かせる訓練をしていて、イソコンが作動すると、蒸気が勢いよく出てくることを、関係者は誰でも承知しているとのことであった。
東電は1号機運転以来、この命綱であるイソコンを1度も動かしたこともないという。
何という高慢な驕りだろうか!
今は兎も角、一刻でも早く東電の原発を先ず全て止めて、非常時の対応を確認し、徹底的に訓練すべきである。
更にこれは東電だけの問題ではない。
日本の原発全てに云えることではないだろうか!
なぜならば・・・。
彼らの無知と無策と傲慢さから、
汚染地域の方は、未だ帰還の時期すら分からず、故郷を離れ、家族すら離れ離れの生活をやむなくされているのだ。
その人達は15万人以上と言われている。
そしていつ故郷で元の生活が送れるのか予想すらつかない。
故郷は、海も山も畑も住居も、放射能に汚染されてしまったのだ。
それに事故の原子炉は、廃炉に40年という途方もない歳月が必要と云われている。
さらに問題は、その廃炉の技術すら手探りの状態だと云う。
以前ブログで書いたが、野兎すら敵から身を守るため、最低3か所の出入り口を準備してあると云う。
関係者は、もはや原発の安全対策は十分だと発信しているが、原発には命綱となる原子炉への注水方法さえ、2通りくらいしかないのだ。
消防車で給水するとか、ましてやヘリコプタ-で空中放水さすような、非科学的で幼稚な方法は止めてもらいたい。
相手は原子力なのである。
この姿こそ、蟻一匹で象の大群に向かうようなものなのである。
これ以上無知無能な恥ずかしい姿を、二度と晒して欲しくはないものである。
もし私が日本の原発責任者なら、原発はまず止めさせるだろう。
そして、どうしても動かす必要があるのなら、現状の安全対策を徹底し手見直し、更に新たな安全対策を施すだろう。
地震国日本においての原発は、最悪の時に最後の手として水没出来るように、設計させ、それを法律化させるだろう。
なぜなら、原発は、一度暴れたら須佐脳の命なのである。
相手は暴れ者の神様である。
一度怒らせたら、人の手や知能などで、到底抑えることは出来ないからである。
【1号機のメルトダウン経緯(推測)】
3月11日14時46分18秒 東北地方太平洋沖地震発生
〃 稼働原発全基自動停止
〃 15時15頃~? 1号機イソコン継続的に作動
15時35分頃 大津波来襲、全電力消失
17時~18頃? 原子炉水位限界点となるはず?
18時頃~ メルトダウン始まる
3月12日 7時 管首相ベント要請のため、ヘリで現地へ飛ぶ
10時頃 1号機方向で通常の700倍の放射能感知→(メルトダウ ンで原子炉を破壊)
12時頃 東電ベントに成功と報告
15時36分 1号機水素爆発
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最終更新日
2013年03月11日 22時25分14秒
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