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July 26, 2007
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カテゴリ:美術
手許にある「Casa BRUTUS 特別編集 The Big3」の表紙には、力強いゴシックで、

 ル・コルビュジエ
 フランク・ロイド・ライト
 ミース・ファン・デル・ローエ


の3人の名があります。



「20世紀建築の3代巨匠」の一人ル・コルビュジエ
本名 シャルル=エドゥアール・ジャンヌレは、
1887年に、スイスの時計絵付師の子として生まれ、
スイス、フランスを中心に(結婚時フランス国籍取得)、
ブラジル、インド、チュニジア、イラク、ドイツ、ベルギー、日本と
70以上の建築作品を手がけ、1965年、77歳で亡くなりました。

この展覧会は、建築の巨匠の、絵画・彫刻作品を含む業績を追いながら、
その思想に迫る、奥行きのある展覧会でした。

=====
最初に目を惹くのは、再現されたアトリエ。

最上階にあるとは言え、アパートの一室なのに、十分すぎるほど高い天井をもった空間。
大きな壁面に、石積み・煉瓦が露出しているのも、なんだかモダン。

午前中このアトリエで絵を描き、午後から仕事、というライフスタイルだったそうで、
絵を描くことが、生活の、創作の重要な一部であったようです。

-----
その絵画作品ですが、「理」が勝っていて、私はそんなに…。

ピュリスム(純粋主義)」という慨念を提唱し、初期の作品では、
「キュビズム」以上に論理的な画面構築がされているのですが、
段々と、作品に有機的要素が交じり、「シュール」な雰囲気が加味されていきます。

-----
コルビュジエの絵画作品は、日本に結構あり、
新宿にあるギャルリー・タイセイ(大成建設)や、
アークヒルズクラブ(というか森ビル社長)が所有されている、とのこと。

前述の「Casa」は、ヒルズ完成前の発刊なので、森美術館の開館を見据え、
「(森アートセンターで)いつか大規模なコルビュジエ展が開かれる可能性に期待したい
とあります。この「予言」が実現したわけですね。

=====
さて、コルビュジエデザインの家具は知っていましたが、
驚いたのは、コルビュジエが、自動車のデザインもしていたこと。
その実物大模型が展示されています。

この「最小限自動車≪マキシム≫」は、最小限の車体で、最大限の使用価値が得られる
「最大効率車」がコンセプトにあったそうで、フォルムも近未来的でかっこ良い。

-----
コルビュジエの提唱したコンセプトの一つが「モデュロール」。

人体基準と黄金比に基づいた、「美しい」建築単位基準で、
独創的で魅力的ですし、人間工学のはしりのような気もしますが、
いかんせん、男性183cmが基準と言われると、なんだかちょっと違和感が。

-----
この「モデュロール」に基づいた、マルセイユの「ユニテ・ダビシオン
の一室が再現展示されていたのですが、うろうろしてみると、
思ったより小振りで使いやすい、というか、居心地良い。

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今でも、この「ユニテ・ダビシオン」は使われていて、
屋上階には、庭園、プール、幼稚園、スポーツジムなんて公共施設があり、
中層階に、スーパーやホテルがあります。

もし、マルセイユに行くなら、ここのホテルでの宿泊を検討してみるのも手かも。

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なお、ベルリンにも同じく「ユニテ・ダビシオン」があるそうなのですが、
(あれかなぁ、と思う建物はあるのですが、写真がないのが残念)
このモデュロール基準では、天井高が低すぎる、ということで、
設計は変更され、プロポーションが崩れてしまった、とのこと。

なんだか、フランス的感性と、ドイツ人気質とのせめぎあい、
という感じがします。

=====
コルビュジエが提唱した「近代建築の5原則」は

・ピロティ(建物を柱で宙に浮かせる)
・屋上庭園
・水平横長の窓
・自由な平面構成
・自由なファサード


-----
この原則を体現した「サヴォア邸」の図面と模型。

なんだか、すごいし、かっこ良いんですけど、ちゃんと想像がつきません。
写真を見ても、動線がどうつながって、どうなっているのやら?
行って見ないとダメかしら…。

-----
東京の美術好きにとって、最も馴染深いコルビュジエ作品と言えば、
上野「国立西洋美術館」です。

1955年、コルビュジエは敷地視察のため来日。
弟子に当たる、前川國男・坂倉準三・吉阪隆正らが案内。

コルビュジエは、美術館に劇場なども加えた
一大文化センターの計画を送ってきますが、
予算の関係で、美術館のみに。

本来、この美術館は、「成長する美術館」としての機能を持っているのですが、
敷地の都合から、当初意図された形での増設は出来ません。

しかし、実質的に設計を担当した前川國男先生により、新館が建てられたりと、
オリジナルが尊重されながら、改修されていることは、喜ばしいことだと思います。

=====
「輝ける都市」というセクションでは、数々の都市計画案が、並べられていました。

高層建築群を主体とした都市計画は、住居を集約することで、
地上を緑地化して、住民に眺望と緑と太陽を提供し、
生活、労働、休息、交通などの機能をバランスよく持つことで
快適かつ幸福な生活を可能にする、という、
「高層建築」から与えられるイメージとは違う、「生活の質」の論理。

「アルジェの都市計画」「ヴォワザン計画」「パリ都市計画」「300万人の現代都市」
どれも実現しませんでしたが、どれも、今に通じる問題意識がある、という気がします。

-----
これらに連なる、巨大公共建築案も並べられていましたが、
中でも、「ソヴィエト・パレス」のCGは圧巻。

とんでもなくダイナミックなこの建物のボリュームを「体感」させてくれます。
いや、こういうの、カタログと一緒に売ってくれないかなぁ(笑)?

ダイナミックな造形、考え抜かれた導線、多機能な文化性、
実現されていれば、面白かったでしょうに。

とは言え、他の「プロジェクト」にしても、
要求された以上の回答を出してしまうのが、
巨匠の巨匠たる由縁なのでしょう。

=====
インドのチャンディガールは、
これら都市計画、公共建築の集大成と言って良い都市。

ガラス壁や、高層建築こそ、現地の実情から実現しませんでしたが、
壮大なスケールの「キャピトル」の建物群、緑化された街並、
そして、街の中心に位置する「開かれた手」のモニュメントは、
コルビュジエのサインのようなもの。

スケールの大きさもさることながら、インドという風土が、この街をさらに深く彩ります。

うーん。いや、すごい。

=====
安藤忠雄先生が、初めてヨーロッパに訪れた時、
まず向かったのが「ロンシャンの礼拝堂」だったそうです。

その特異な形状は、他の追随を許しません。
ランダムでありながら、リズミカルに穿たれた窓。
分厚いのに、重量感を感じさせない、軽やかなコンクリート屋根の造形。
建物そのものの息遣いを感じさせてくれる、不思議なフォルム。

-----
サン・ピエール教会」が竣工したのは2006年。
煙突のような、巨大な船のデッキから持ってきたような、独特の形状。

-----
教会は、中に入って、初めてその価値が感じられると、私は思っています。
それは、単に「面白い建築」というものではない。
信者が敬虔に祈りを捧げる場であり、信者と共に成長する空間なのです。

「神の器」としての宗教建築は、だから難しい。
しかし、コルビュジエの教会には、神が宿っているんだろう、と。
「美」には、そんな力があるのです。

=====
再現展示されている建物が、もう一つありました。
見た目は小さな丸太小屋風で、他の作品とは雰囲気が違います。

この「カバノン(休暇小屋)」、最愛の妻への誕生日プレゼントとして建てられたそうで、
何と言うか、お洒落。

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再現された「おうち」にお邪魔してみると、さして広くない空間に、機能的に配置された家具、収納。
なんだかこじんまりして、居心地が良い。
内装は結構カラフルだったようで、この色彩感覚の豊かさもコルビュジエ作品の特徴の一つです。

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1957年に最愛の妻が亡くなった後も、コルビュジエはこの小屋を訪れ、
海が見える丘に葬られた彼女に、生前と同じように語りかけていたそうです。

そして、1965年。
海水浴へ向かったコルビュジエは、心臓発作を起こし、帰らぬ人となりました。
ルーブル宮で国葬された巨匠は、今は最愛の妻の傍らで、静かに眠っています。

=====
『ル・コルビュジエ 建築とアート、その創造の軌跡』展
LE CORBUSIER; Art and Architecture - A Life of Creativity

  @森美術館 (六本木)

[会期]2007.05/26(土)~09/24(月)

[開館] 10:00-22:00(火は 17:00まで)
[休館] 会期中無休
[料金] 一般 1,500円 / 学生 1,000円 / 4歳-中学生 500円
     (東京シティビュー含む)

★★★★☆

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参考URL
 ル・コルビュジエ(Le Corbusier;1887-1965) wiki
 フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright;1867-1959) wiki
 ミース・ファン・デル・ローエ(Mies Van Der Rohe;1886-1969) wiki
 前川國男(Maekawa Kunio;1905-1986)  wiki / 公式HP
 坂倉準三(Sakakura Junzo;1904-1969)  wiki / 公式HP
 吉阪隆正(Yoshizaka Takamasa;1917-1980) wiki
 安藤忠雄(Andoh Tadao;1941-) wiki





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Last updated  October 8, 2007 06:54:20 PM
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mrtk@jp@ Re[1]:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) >そらねこさん コメントありがとうござ…
そらねこ@ Re:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) はじめまして。本の題名につられてお邪魔…
浅葱斑@ 心のハレっていいですよね? こんにちは。 誕生日の暦から今の自分、未…
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