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カテゴリ:日替わり日記
長寿命と明るさ電気の消費量が少ないということから、世の中の明かりのほとんどは蛍光灯が占め、そのうえさらにLEDが照明に使われ出したことから蛍光灯よりさらに省エネ照明が明かりの世界を占めるようになってきた。 わが家の明かりも、現在まで白熱灯だった部分はすべてLED電球に取り替えた。とにかく電力使用量が10分の1以下になり電球の寿命も格段に長くなるというからつい欲に目がくらんでしまったというところ。 しかし変えてみて、何より思うのは光が直線的で冷めたい。 白熱灯のほんわかとした暖かい光のやわらかさ、光の下にはいるときのほっとするやすらぎにはほど遠い。 しかし、白熱灯の欠点はやはり電気代、そして寿命が短いことだ。美人薄命というに似ている。そういえば便所の100ワット(ムダな明るさ)という人もブログ仲間にいたな。 週末に、夜の10時くらいに友人から電話があった。美人のいる店で飲んでいるから出てこいという。美人がいるといえば僕がイソイソと出かけると思っている、浅はかな奴だ。でも、友達の誘いを無碍に断れないから出かけた。 出がけに玄関先につけてある、人を感知して照らす電気がプツリと切れた。これもLEDに変えろと言う合図だろう。 店に入ると、友人はカウンターで柳原可奈子のようなママと楽しそうにしている。僕と美的感覚がちがうようだ。 「遅く呼び出して悪かったよ。しかしたまには美人とのみたいだろ」 友人と同じ、ウイスキーのロックを頼んだ。 ママは中国系女性で友人のお気に入りらしい。僕をダシにつかっての下心はおのずと見えてしまう。 僕は出がけに電球が切れたが、これは不吉なことの起きる前兆だと思うから今日は早く帰ると煙幕をはった。 「そういえば、俺ん家のトイレも切れたから変えたばかりだよ。LEDにしたけれど、あれの光は落ち着かないな」と、友人は言った。 「そう? わたしの部屋ははそんなに切れたことがないわよ。中国に居たときなんて電気はすぐ切れたわよ。日本製を使うようになって切れたことないよ」と、ママはいう。 最近は日本でもほとんどMade in Chine だから、日本製とは関係ないと思うが黙っておいた。 友人は言った。「でも、ときどき暗くなるっていいことだよ。ほら、昔ニューヨークで大停電があった翌年の出生率が格段に増えたって話、この店もときどき暗闇にするってのもサービスとしていいんじゃないか」 もうすでに彼の下心は臨戦態勢に入っている。 そのとき隅にいた店のマスターが遠慮がちに言葉を挟んできた。いつもはカウンター陰のような存在でとても無口な人だ。 「電球のことですけど、ちょっといいですか」 「は、はい」 私たち3人が揃って頷いていると、まじめ顔をした彼が言う。 「電流ってのは流って書くくらいで、電気の流れなんですよ。ところがしゅっちゅう球が切れるようになったってことは、人の道から外れて、電気を流しっぱなしの生活をするようになったってことなんですよ。そんなだから原発なんてもの造らないと電気が足りなくなってしまうんです。みんな太陽の下の生活を大切にすべきなんですよ。いやあ、我々もこんなに遅くまで仕事してちゃあいけないんでしょうよね」 その話を聞いて、僕たちは思わずうつむいてしまった。なるべく夜遊びしないように気をつけます、はい。 「いいの、いいの。電気が切れたら切れたでいいムードになるでしよ」とママが慌ててとりつくろう。 「ワタシは暗いくらいが好き、ねっそうでしょ」と友人に目配せをしている。 電気が足りなくなるのは原発を停めたせいではなく、僕たちの生活そのものに原因があるわけである。地球温暖化が進むから、太陽光だ、ダムだ、風力だ、クリーンエネルギーを推進しようなどと大慌てだが、ようは昼夜の摂理に添ったた生活をすればいいだけのことなのだ。 余分なものをつくらなければ、それだけまたつくる必要などなくなる。 美人などにつられて夜遊びしなければいいだけのことなのだ。 ところでママ、こんどは昼間遊びましょ。太陽の下で、春の若草のうえで…、いいと思うよ。 えっ、何って? ピクニックに決まってるじゃない。 蝶クリックを! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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