絵本「えんとつ町のプペル」の現代性
小6の孫娘への今年のクリスマスプレゼントに贈ることにした本Poupell of Chimney Townえんとつ町のプペル この絵本の絵が、イラストレーターたちの協働の作業でパソコンで描かれているということに、高齢者の私としてはとても驚きである。パソコンでここまで精密にしかも豊かな深い情感を込めることができるとは。この絵本の絵から受けた私の第一印象は、シリア、アレッポの戦場の荒廃した風景である。テレビで放映される煙たちのぼり、立ち込めるあの戦場そのものが、これらの絵のなかにある。都会の喧騒、混濁、廃墟、これは物質的繁栄のなれの果てか、その最も究極が戦場の景色である。この絵本のテーマはきわめて現代っ子ぽい。絵本の冒頭がハロウインのお祭り騒ぎから始まる。これは、いかにも現代っ子の発想で、お婆の私にはやや違和感あるが、孫なら、きっとすんなりとストリーの中に入っていけるでしょう。そして、現代の子どもたちが、進行形で今も苦しんでいるすぐにいじめへと繋がっていく人間関係の中で泣き、あがき、孤立している彼らの心に、ずしりと落ちるものがある。多感で繊細な子供たちが共感し、勇気づけられるものがこの絵本のなかにいっぱいだ。さらに、より壮大な世界があるよと子どもたちに考えさせる。世界の闇と光を社会の仮面と素顔を子供たちに垣間見せる。(英語文と日本語文が同時に書かれているのもいい)私は毎年クリスマスに孫たちに本を贈ることにしてきたが、どんな本を選ぶか苦労する。この本は、その製作過程が、現代の最先端をめざしており、未来に生きる若い子供にはふさわしいのではないかと思い選んだ。すなわち、この本の絵、文、監督は にしのあきひろアートディレクター、イラストレーター30数名による協働作業により完成した。しかも、私にとって一番の驚きはPCによって描かれたということである。PCでもこんな絵が描けるのだと、感心した。しかも、製作の現場を担当したのは「MUGENUP」という集団で、世界のDisneyを超えようという壮大な夢を持って日夜奮闘してるという。そのような若者がいるということも素晴らしい。