Danjosenoの花歳時記(外国編)-トルコの花々(その2)
エフェソス(Ephesos)
トルコ、小アジアの西海岸(エーゲ)に
繁栄し古代都市。
その昔、伝道の旅にでた聖パウロが
エフェソスにたどり着いた時、
その巨大さに驚嘆して
「これより大きな町があるだろうか」
と感嘆の言葉を発したという。
(港から野外大劇場に通ずるアルカデアン大通り跡、通りの両脇には商店街が立ち並んでいた)
巨大古代都市
エフェソスは
今は廃墟となり、地下に瓦礫となり眠っている。
アテネやローマを凌駕するほどの
巨大な都市建造物や、都市機能をそなえて
活発に人々が生活し、文化を創り、
滅んでいった都市。
(古代都市エフェソスの公衆浴場の跡の石柱から、垂れて咲くピンクの花、
その背景の草木も一斉に芽吹き浅黄色、トルコの春爛漫)
2万5千人もの人々を収容する野外大劇場、
壮麗な建物の図書館、蔵書は12万冊もあったという、
公衆浴場には
冷水浴、温水浴、熱水浴、マッサージ室、脱衣場などを備え
貧しき者も、富める者も隔てなく利用したという大浴場
この巨大都市の人々の暮らしを
何千の風雪に耐えても尚
その遺跡の前にたたずむ者に
その栄華と盛衰とを
壮大なスケールで思い描かせる
アルテミス神殿跡
古代ギリシャの最大の建造物であり、
すべて大理石造りで、その美しさは比類のないものと伝えられている。
神殿の跡地では今も発掘作業が続いているが、まだ遺跡のほとんどは土の中である。
往事はこれと同じ柱が127本も立ち並ぶ、壮大な柱の森といっていい、
その入り口中央に生命力あふれる生々しい巨大なアルテミス女神像が立っていた。
当時の人々が崇拝していたその信仰の深さがその規模の大きさからも伺える。
そのい遺跡の瓦礫の大地にも、菜の花が辺り一面を黄色にして咲いている。
この地に建造されたアルテミス神殿は
古代7不思議にの一つに数えられている壮麗な神殿であった。
エフェソスのアルテミス
地中海全体に名をどろかせ、人々の生きるよりどころとなっていた
女神アルテミス。
生命を産みかつ育てる女の母性を絶対的なものして、
多産と豊穣のシンボルとして
おおらかに力強く性を聖なるものとして
崇めた古代の人々の
崇拝の対象としての女神アルテミス。
人間の根源的なエネルギーが溢れていた
往事の人々の暮らしぶりを、
その遺跡の壮大さが
静かに今を生きる私たちに語りかけている。
今、その神殿の跡には、
天辺にコウノトリが宿る
巨大な大理石の柱が一本、
瓦礫となり、土と化した荒涼とした原っぱに
静かに立っているのみである。
(黄色のふんわりとした花が、瓦礫からすくっと立って、柔らかに咲くトルコの春、4月)
そして、その瓦礫と化した大地から
トルコの春を彩る花々が
今日も変らずに咲いている。
数千年の時を経て、
そのいのちを紡ぎ続けてきた花よ、
物言わぬこの遺跡が土へと回帰した今も
風雪に耐え、いのちを渡し続けている花よ、
その膨大な時の長さよ。