木の実が熟す秋(3)
私の朝の散歩道、その散歩道の道端に
舗装道路の割れ目から
たくましく芽をだし、勢いよく伸びて
茂る葉っぱに隠れて
1センチにも満たない小さな花をつけている
イヌホウズキ
誰の目にも止まらぬ程のちいっちゃな白い花
イヌホウズキ
(舗装道路の割れ目から、勢いよく育っているイヌホウズキ)
でも、近づいて、アップにしてみると
ほら、こんなに可憐で美しい
ナスの花を白くしたミニ版、ジャガイモの花にも似て、
子供たちが通学路として行き交う道に、
誰にも振り向かれることなく伸び続け、
秋になると漆黒の実をつける
イヌホウズキ
イヌホウズキは別名バカナスビともいう。
ホウズキやナスに似ているが人間さまの役に立たぬため
こんな汚名を頂戴している。
そして、全草有毒である。
未熟な実を食べた子どもが死亡した例さえあるという。
私たちの子供の頃のおままごとには
ドングリやホウズキや落ち葉などが大活躍したけれど
ヒヨドリジョウゴ、マユミ、イヌホウズキの
秋に熟す実は、濃い紅、薄紅、漆黒と色鮮やかで、
おままごとには魅力的なものばかり、
ごくごく身近な庭や道端にある実の数々を
親たちに「これは恐い毒の実」などと
いつも教えられて遊んでいたっけ。
遠い懐かしい日の光景
今は子供たちに、
その実が、その草が、その木が
そこに在ることさえ気付かれずに、
刈り取られたり、踏みつけられたりして、
生きながらえている。
《 花の名一口メモ 》
イヌホウズキ(犬酸漿)
(舗装道路の側溝の裂け目から生えているイヌホウズキ)
ナス科の1年草。花期8~10月。畑や道端などに自生。
日本全土、世界の熱帯から温帯に広く分布。
日本には古い時代に渡来したものらしい。
全草有毒であるが、
漢方では竜葵(リュウキ)と呼び、解熱剤や利尿剤となる。
ヒヨドリジョウゴもそうであるが、
ナス科の野生植物は有毒植物が多い。