秋のサンティアゴ巡礼街道(5)
農家の石垣に群生して咲くイタドリの花
歩けども歩けども
枯野が続く
一日、優に20kmを超えても
枯野ばかりを歩く秋のカミーノ。
そんな茶褐色の世界に
絶妙な色のハーモニーをかもしだして、
農家の石垣に淡いクリーム色に群がって咲く
イタドリ(虎杖)の花
この白い群生は
ロンドンでも空港から市内に向かう電車で
しばしば見かけたもの。
秋の巡礼街道でも、
石崖や土手に他の花にまぎれて
あちこちに見かける白い群れ
イタドリの花
(トケイソウの花咲く石崖に、イタドリの白い花も
紛れ込んで咲く。写真左側の花)
イタドリは
Japanese Knotweed
という呼び名を持っている、日本原産のタデ科の植物。
イタドリは、1825年にイギリスに
装飾植物として日本から輸入された。
その後、次々にオランダに、北米にと広がり
土壌の侵食を防いだり、家畜の餌として利用された。
しかし、現代では、
その旺盛な繁殖力で、瞬く間に野生化して
自然の生態系を破壊したり、
洪水の原因になるなど厄介ものとなっている。
しかし、花の少ないこの時期には、
ハチの密源として貴重な花イタドリ。
養蜂業者にとっては有用な植物でもある。
サンティアゴ巡礼街道にも咲くイタドリは
千年余りの時空を超えて、
今もなお、
いのちを繋ぎ
枯れた大地に、旺盛に咲ききっている。
《花の名一口メモ》
イタドリ(虎杖)
(私の散歩道のマンジョンの生垣にまぎれて咲くイタドリの花:by fujiko)
雌雄異株でイギリスに輸出されたのは雌株のみにもかかわらず
根によって増え、強い繁殖力。
Japanese knotweedの別名があるが、次の3つの学名があった。
1.Reynoutria japonica
オランダの植物学者Houttuynによって命名(1777年)
2.Polygonum cuspidatum
Siebold(シーボルト)、Zuchhariniによって命名(1845)
3.Fallopia japonica: 現在使われているもの。
いずれも19世紀前後より、
日本とヨーロッパとの深い関りがあったことを示す学名である。
日本名「イタドリ」は「痛みを取る」がその名の由来。
「虎杖」は漢名。
花期は7~10月。春先に伸びてくる中空の茎は、生で食べられるが、
シュウ酸を含むので多量に食べるのは害がある。
漢方薬としても有名で、根を乾燥させたものを「虎杖根」といい、
煎じて服用すると著しい抗菌作用がある。
日本でも全国各地の丘陵地の土手や道端草地などに自生。
花や果実が赤味を帯びるものをメイゲツソウ(名月草)
あるいはベニイタドリといい、しばしば栽培される。
19世紀半ばに、ヨーロッパに輸出され、帰化植物となったが
その繁殖力が強靭で旺盛なことから、植物の自然体系を破壊し、
イギリスではThe Wildelife and Countryside Act 1981
によって、不法侵入植物(illegal)に指定されている。
その他、欧米では環境を守る協会や組織で、侵入植物として、
有害な部分をコントロールする方法が模索されている。
参考サイト
http://www.cabi-bioscience.org/html/japanese_knotweed_alliance.htm
http://www.ecy.wa.gov/programs/wq/plants/weeds/aqua015.html