老いたるものの深い傷心・悲しみあふれる歌
(朝日歌壇の「後期高齢者」の歌)
朝日新聞の文化欄に「朝日歌壇」がある。
私は、この歌壇の読者でもある。
いつも投稿される歌が、その時々の世相を的確にぎりぎりの文字のなかに、あふれる思いを沈めて、読込まれている。とても感動する。
最近の投稿に「後期高齢者」の歌の入選が目に付くと思っていたら、今日の朝日新聞の文化欄に、こんな記事が載っていた。
『投稿歌数は、毎週平均3千首。四選者が週一度の歌壇俳壇面に10首を選ぶが過去2週間にわたって「後期高齢者」の歌の入選が顕著。
4月13日付け紙面には5首。例えば
懸命に生きたる罪か人間の枠外されし後期高齢者 三池淑恵
三池さんは73歳。「20年来りウマチで、保険証を使い通し。どこか申し訳ない気持ちであった。今回、身体障害者として、75歳未満だけれど「後期高齢者医療制度」の対象者と分かった時には、生きていくのがはばかられる、そんな思いがした」
4月21日付けは6首。その中の一つ、
「後期高齢者」手話表現に迷いつつおわりは近いと手を動かしぬ 渡辺裕子
サークル活動で手話を学ぶ77歳の渡辺さんは、被保険証を手にした瞬間、とっさに「後期高齢者とはどのような存在かを手話で伝えるのはどうしたら? と手を動かしてみた」という。「人生の終わりに近い人たちのこと、そう表現するしかなかった」
更に、もう1首。
「後期高齢者」言わしておけば言うものぞ憤然として春の雪かく 小林勝幸
76歳の小林さん。4月初旬、被保険証が届いた。小林さん住む長野・伊那谷の春はまだ浅い。怒り心頭に発して残雪を掻いたという。』 (朝日新聞4月24日の記事より抜粋)
この3首の歌には、戦中戦後を必死に生きてきた人々が、「後期高齢者」と区切られ、生きる尊厳を踏みにじったものたちに対する深い悲しみ、憤りが満ちている。
老いゆく者たちの深い傷心がある。
このような政治を許して、子や孫たちの生きる未来に希望があるか?
自民党・公明党は、「次の世代に迷惑をかけない医療制度」とか言っているが、財源などというものは、今の枠組みを根底から変革すれば、どうにでもなるもの。
根底の変革をしないで、あれこれ目先の制度をいじくりまわしても、何も生まれない。益々、弱いものに、しわ寄せがいくだけ。お金など、あるところにはいくらでもある。それをどう使うか、大きな視点から策を練るのが政治だ。
この後期高齢者医療制度の発端は、世間が『世直しの救世主』のごとく、持ち上げた「小泉政権」にあり、その崩れ行く政権に絶えず、歯止めの役をしてきた公明党が決めたものであることをもっと国民は知るべきだ。官僚を頂点にした政治制度の「構造改革」も本質的なところでなにも変わっていない。その制度維持に強力な後ろ盾になっている政党のひとつが公明党ということも益々はっきりしてきた。
公明党の口ぐせ、「社会が混乱する。責任ある党のすることではない」
公明党が与党の政権下の日本は、もうすでに十分混乱している。
変革のための混乱は当然のこと。混乱が何が悪い。
混乱や闇を恐れてはいけない。
社会が大きく変わるためには、混乱が必要なのだ。
人が人らしく暮らせる社会とは何か。
その実現のためには、時間がかかり、混乱や闇を潜り抜けないでは実現できない。
今のままを許せば、若者達の未来はますます暗く、困難な生きづらい社会になるだけだ。
後期高齢者医療制度については、3/15 「仕組み」について
4/9 「アメリカの高齢者医療制度と日本」について
書いています。興味のある方は、どうぞご一読を。