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むぎぶえの日記

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2012年04月28日
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 4月26日の夜のニュースを画面も見ずにあちこちしながら聞いた。それは両陛下のご葬儀についてだった。手が離せず切れ切れに聞いたアナウンサーの言葉は、陛下はご自身の葬送について国民に負担が無い様簡素なものを望んでおいでになること、広大な用地を必要とする土葬を火葬に変える事をお考えのこと、皇后陛下が陛下のお傍近くにありたいと望んでいらっしゃることから宮内庁は合葬という形を考えていることなどだった。そのニュースを聞いて思わず涙がこぼれそうになり、急いでテレビの前に走った時にはもう話題は変っていた。
 一時体調を崩されたとは言え、寄り添って被災地を見舞われる両陛下のお元気な姿を見て来たのだから、このお二人の御葬儀の事をニュースが取り上げる事に、先ず驚いた。そしてそこで紹介された両陛下のお考えの慎ましさに、悲しくなる程打たれたのである。どうしてそんなにまでお優しいの?いいじゃないですか、日本の天皇に相応しい厳かな陵墓をお造らせ下さい! そう言いたくなった。
 昭和34年に美智子妃殿下を迎えられたご成婚のパレードから、昭和天皇崩御までの30年。それはお二人にとってどんな年月だったろうか。取り分け美智子妃にとって生易しいものでは無かったに違いない。しかし昭和天皇が長寿でいらしたという稀有な条件に恵まれて、両陛下は君主の生き方を学ばれ、日本の天皇家が持つべきあらゆる徳性と見識を、これもまた稀有な忍耐と努力によって身に付けられたのだと気付かされる。半世紀前の青年皇太子と美智子妃の若い笑顔を思い出すと、齢を重ねられた両陛下の深い存在感に感動せずにはいられない。
 即位された1989年は、天安門事件が起きベルリンの壁が崩壊した年だ。4月は初来日の李鵬中国首相に、翌年4月には韓国大統領に会われて、両国間の過去の問題に触れ遺憾の意を述べられている。そして93年の沖縄訪問。「ひめゆりの塔」に行かれた時、塔の背後に隠れていた過激派の男性が火炎瓶を投げつけたのだ。皇后陛下はとっさに前に飛び出して天皇陛下を庇われた。その恐れと言うより憂いに満ちた眼差しを忘れる事が出来ない。「沖縄」という場を象徴する事件であったろう。事故が無かったのは本当に幸いだった。予期されていたことであったかもしれない。それでも沖縄を訪問される事に躊躇は無かったのだと思う。サイパンに行かれたのは何年後だっただろうか。バンザイ・クリフに深々と頭を下げる両陛下のお姿は、ただ事でない祈りが化身となっているように見えた。それは随分長い時間に感じられたのだった。
 そしてこの1年、東日本大震災の被災者を見舞われる両陛下のご行為を私達は見てきた。言葉が多過ぎる報道の世界の中で、言葉が思いを1ミリも超えることなく、思いが人格の存在そのものとして伝わって来る事の「気品」を、私達は両陛下のお見舞いから受け取っている。それは素晴らしい事だと思う。
 ご葬儀の事に戻ろう。4月27日の新聞(産経)はこんな風に報じている。3面見出し、「両陛下 火葬のご意向・・宮内庁、合葬含め検討を」として、宮内庁の羽毛田信吾長官は、26日の記者会見で、江戸時代初期から土葬で行われて来た天皇、皇后の埋葬方法を、『天皇、皇后両陛下のご意向を踏まえ、火葬に変更する方向で検討すると発表した。」というものだ。両陛下が側近に述べられたて来たご意見を、1年ぐらい掛けて検討して行く予定だという。昭和天皇、香淳皇后、大正天皇、貞明皇后が別々に埋葬されている武蔵陵墓地に、今上陛下の御陵も作られる事になるが、陵墓地は広くても地形の関係でこれまでの様に2つの陵を作るのはかなり難しいという。それで社会で現在一般化している火葬に変更し合葬も実現すれば陵墓の縮小につながり、総工費も大幅に減る。更に付け加えて、「国民とともに歩まれる両陛下のお気持ちを尊重した、時代に合った『新しい葬送』のあり方を模索する方針だ。」とも。
 ”国民とともに歩まれる両陛下”、”時代に合った新しい葬送”。私には如何にも利巧ぶった文言に思えてならない。”国民とともに歩まれる”のは両陛下であって、宮内庁がそのお気持ちを楯に予算を削減する理由に勘案するのは、考えただけでも失礼だ。”時代に合った新しい?”、どこかで聞いたような気がする。「東京の真ん中の一等地に皇居を置いておくなんてもったいない。都民みんなが楽しめるゴルフ場にしたらいい。」とか。
 「新しい葬送模索へ」の記事と同じ面に、東京スカイツリーを26日に訪問された両陛下が、連れ立って地上450メートルの展望台を歩かれる写真が載っていた。お二人とも黒っぽいスーツを召して微笑ましいと言うしか言いようのないご様子で仲良く歩いていらっしゃる。この方々が持っていらっしゃる日本最高の簡素な美しさを、言葉にならない豊かな生活を、今理解できる感性が日本では非常に少なくなっているのかもしれない。もしこの方々がいなくなったら、そういう美しさ、そういう豊かさを、私達は目で見て感じることが出来なくなるかもしれないのだ。効率でものを考える習性が骨の髄まで染み込んでしまった。
 いつも天皇陛下の側に在りたいという皇后陛下のお気持ちを実現する為に、新しい御陵の形を考えるのなら、それはいい。その結果経費が減るかどうかは事の本質ではない。しかし国民と共に歩まれる陛下のお気持ちを、勝手に計算するのは止めて欲しい。「国民生活への影響の少ないもの、小規模・簡素」は陛下のお気持ちであって、実際の御陵を官僚がイメージする根拠にはならない。
 歴史と伝統に則り天皇の治世に相応しい立派な御陵を残すのが、その時代を共に生きた国民の義務ではないのか。





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最終更新日  2012年04月29日 06時32分23秒
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