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不機嫌なジーンその後 9
2007.12.25
誰かの寝息を感じて、ふっと仁子は目をあけた。目の前に眠っている南原の顔が見えた。しばらくぼーっとその顔をみつめ、ゆったりとした寝息に耳を澄ませていたが、しばらくすると満足そうに微笑み、ゆっくりとまた、目を閉じた。窓からは月明かりがさしていた。白いサイドテーブルの時計が01:23をさしていた。
南原は目を覚ましたあとも少し寝ぼけて「なにか」を探して自分の横をまさぐった。「なにか」が見つからない、、、。南原は驚いたように身体を半分起こすと自分の隣を見た。そこにいるはずの「なにか」がいない。まだ、少しボーっとした頭で「夢だったのか?」と考え一瞬、混乱した時「起きたんですね」自分の背後から声がした。『ああ、そうだった。夢じゃない』そう思うと、余裕のある表情で、ただし寝癖のついた髪で振り向いた。「おはよう」
「もう。お昼前ですよ。ブランチ準備しました。たべますか?コーヒーは?」グリーンのトレイをもった仁子が笑顔で立っていた。「いいなああ。」南原がしみじみと言う「巨乳で無くても、ずば抜けた美人じゃなくても、そこに立っているのはおまえでなきゃダメなんだよね」「はあ?」「いや、なんでもない。コーヒーを頼む。」
しかたないという表情をすると仁子は「さっさと服を着替えてください。風邪をひきますよ」といってもう一度キッチンに引っ込んだ。南原は身支度を整えるとコタツにはまりこんだ。コタツの上には、主に昨日の残り物がならぶ。「今日は、これでがまんしてくださいね。」仁子がコーヒーを運んできた。
コタツにはまりこんで二人であり合わせのブランチを食べる。南原はバケットにバターをぬりながら「昨日帰ったばかりだろう。時差もある。もう少しゆっくりしてればいいのに。」となんとはなしに弾んだ声で言った。仁子は「ん。でも夕べはぐっすり眠れたから。」「俺のお陰だ。ほらおまえだって俺がいると安らげる」得意そうに言った。仁子はため息をつきながら困った顔をして「少しはそうかも。」と答えた。そして、横を向いてつぶやいた。「でも、なんだか頭の痛くなることも増える気がする・・・・。」妙に手放しで嬉しそうな南原に不安を感じた。「なんだか、前と同じ路線になるかも・・・。」南原は目をそらしてブツブツいっている仁子を見つめて言った。「大丈夫だ。俺は勝手に話をすすめはしない。でもな、おまえも何かするときは俺に一言言ってくれ。前みたいに仕事をどんどん決めてどこかに行かれると、やっぱり俺だって不安になる。いいだろう。」「教授が不安に?」「そう。自然界をみろ、オスは哀しいぞ。まあ、いろんなメスを追いかけるがな、最終的に選択権はメスにある。ハーレムといえば聞こえが良いが、居場所の無くなったオスは不要品だ。マウスでも無鉄砲で早死にするのはオスだ。生殖能力のあるメスは丈夫で、用心深く生き残れるように脳の中にシステムが組まれている。生命の根源でもそうだ。卵子はひとつひとつ大切に扱われ、成熟し、精子は粗製濫造だ。競争して必死にはしって、けなげだぞ。受精卵のまわりの顆粒膜細胞に突き刺さって息絶える多くの精子は自然界の象徴だ。」「なにいってんですか。またぶつぶつと・・・。でも、分かりました。相談しながらやりましょう。」「そう。今日はなかなか素直だ。」しばらく見つめ合った後、二人は笑い出した。南原が言った。「おまえも変わったな・・・・・。夕べ言ったようにおれは宿無しだ。ジーン。おまえが良ければ、午後から買い出しに行こう。いろいろと着替えとか未だ足りないから。」「そういえば教授。妙に荷物が少ないですよね。」「誰のせいか、そのうち話してやるよ。今は内緒だ。」頭を少し傾けて南原はいたずらっぽい笑顔でジーンを見つめた。
昨夜の雪はすっかり溶けて、窓の外には青空が広がっていた。

不機嫌なジーンその後。これでおしまい。

早乙女邸のNew year partyは相変わらずにぎわっていた。そして、半数以上が外国人であるのも昔のままだった。仁子は和装で、エスコートしてくれている南原に寄り添って立っていた。慣れた様子で、周囲に気さくに挨拶をし、ところどころで立ち止まっては南原は仁子を紹介した。数人に1人が「gene Aoi!」と驚き、「ロンドンでは本当にすばらしい発表をきかせていただいた。」と答えた。仁子はそのたびに感謝の意を告げ、恥ずかしそうに微笑んだ。南原は真剣な、ちょっと複雑な顔でつぶやいた。「おまえに負けるわけにはいかないな。俺も」

しばらくすると綺麗な女性をつれた健一と出会った。仁子は「健一君。お久しぶり。なんでこんなところに?」と思わず手を振ってしまった。健一はちょっと驚いた顔をして、まぶしそうに彼女をみて、南原を見た。そして「お久しぶり、両親が早乙女博士と知り合いで僕も一緒に博士が招いてくださったんです。よしこさんこそ何でココに?そうか、研究の関係?ああ、紹介まだでしたよね。妻です。」と1人で納得し、あわてての隣に立つ女性を紹介した。そして彼女に「これは僕の妻の陽子です。陽子、こちらは存じ上げているよね。南原教授。それと蒼井仁子さん。蒼井さんはぼくの同級生なんだ。お二人は・・・。」健一は言葉につまった。すると南原が間髪を入れず答えた。「婚約しているんです。」健一はちょっと驚いた顔をしていたが、すこし淋しそうに笑うと「良かったですね。この二年、僕たちは見ていてはらはらしてたんだ。よしこちゃん」と答えた。しばらく話をしたあと、二組のカップルはまた歩き出した。「おまえがいけない。あいつまだおまえに気がある。」南原がむっつりして言う。きょとんとした顔で彼の見つめる仁子に「着物なんて、、、。3割り増しに魅力的にみえるんだ。あの夫婦はこのあと必ずケンカするぞ」仁子は言った。「だって、ドレスきたら『露出しすぎ』って反対したじゃないですか。教授。もしかしてやいてる?」「ちょっとな」南原は仁子を見つめた。

人混みを抜けて二人は早乙女博士のところまでたどり着いた。早乙女博士は両手を大きく広げ、大きな声で「Takashi 、それにGeneよくきた。楽しみなさい。で、二人とも早く私に孫の顔を見せてくれ。」二人はちょっととまどったが、すぐに仁子が「はい」とにこやかに答えた。早乙女は涙ぐんだ。「すなまい。妻のことを思いだしただけだ。」そして他の客に呼ばれて「ちょっと席をはずす。Takashiあとで話があるから。あの研究、僕も関わりたい。ジーンも。オーストラリアの海はすばらしいよ。といって立ち去った」

仁子はちょっととまどった顔をしていた。『早乙女博士は何をいいかけたのだろう』。南原は仁子をみつめて「『はい』って?」ときいた。「だって、そうこたえないと早乙女博士にわるかったし」「なんだ・・・期待したのに」
二人は黙り込んだ。
パーティーは和やかに続き、新年のカウントダウンがはじまった。二人は笑顔で、以前フクロモモンガのいたバスルームに向かった。

2017年 12月 ヒヨ大

「蒼井教授」学生が廊下を走ってくる。「実習担当なんです。ちょっと分からないことがあって・・・。」ちょっと人を食った感じの目つきのするどい男子学生だった。何となく覚えがある。よく、講義でも質問する子だ。仁子は立ち止まると「そうね、、、。」と丁寧に答えていった。話をしながら『このこ、すごいな。目の付け所がユニークだ』と思った。「じゃあ、君の意見も入れて、こういう形でいきましょう」と仁子がいうと「はい」と嬉しそうに笑った。よくみると意外と童顔だ。「ありがとうございます」答えて走り去ろうとした彼に、仁子は声をかけた。
「君、名前は?」
彼は立ち止まって振り向くと大きな声で答えた。「勝田っていいます」
声が廊下に響いた。不思議な気持ちに襲われ仁子はしばらく立ちつくしていた。

「仁子」データーをまとめている仁子に後ろから声をかけてきたのは阿部だった。「阿部君 なに?」阿部は助教授だった。「大鷹大決まった。」と告げた。「おめでとう!」阿部は教授選に出ていたのだ。不思議ね。私たちが学生でここで研究していたのがまるでつい最近のような気がする。」「仁子はよくココでねてた。」阿部は笑った。「そんなことしか覚えていないの?」二人はいろいろと話し込んだ。しばらくして「あ、、、時間!」仁子は声をあげ立ち上がると実験室の方へ向かった。フラスコや試験管の間を通り抜けてテントウムシの水槽へと向かった。そして、器具を操作しはじめた。もう、阿部のことは頭から飛んでいた。その後ろ姿をみて阿部は『変わらないな』とおもいながら立ち去った。『今日は家で妻と子供達とお祝いだ。連絡しないとな』と思いつつ。妻より先に仁子に話をしたかった自分について考えながら足早に研究室を出た。

仁子は水槽の前から立ち上がると今度はビーカーなどガラス器具を並べだした。彼女の手には指輪は無かった。

タクシーにのった。めまぐるしくいろいろな仕事が頭の中を駆けめぐる。もう東京の町並みはクリスマス一色だ。携帯がなる「お母さん。うん、今年こそクリスマスには帰れるとおもう、え?なに?・・あれ。」また携帯が切れた。『最近は携帯との相性は良かったのに』仁子は携帯を見つめた気がつくとBGMにまた「あの曲」がながれていた。今度は仁子は泣かずに微笑んでその曲を懐かしそうに聴いた。
マンションのまえでタクシーから降りた。ポケットから鍵を出そうとする。「?」鍵がない。バックのなかをまさぐっていると手に何か当たる。鍵だ。ほっとしてドアを開けようとしていると、背中から声がした。「ジーン」ふっと振り向くと南原が立っていた。

「教授?!」「むかえにきた。」仁子は嬉しそうに微笑んで答えた「いつも向かえにきてくれるのは、あなただわ」「おまえに行動させると、必ず穴に落ちたり、反対方向に走るだろう。危険で見てられない。ヒヨ大は客員教授で3ヶ月すればシドニーに帰ってくるのは分かっていたけど、待ちきれなくてね。あっちで早乙女博士が向かえに行けとうるさくて。クリスマス休暇を早めにとった。」「うれしい。あっそうだ教授も年明けのロンドンの学会の演題プライズペーパーになったんだそうですね。おめでとうございます。」「ありがと、いいけどその教授ってやめてくれる?いい加減10年だよ」仁子は笑いながら「どうしても仕事モードだと教授っていっちゃいますね。」「とりあえず部屋に入ろう」南原が言った。「はい。」仁子は南原の顔を見つめながら答え部屋に入った。

南原も続いた。荷物をおいてコートをぬぐと、テーブルにある書きかけの論文をみた。Yoshiko Aoi となっている。「仕事上は蒼井で通すのが都合はいいだろう?俺の言ったとおり。時にAoiスペルが短いから印象的で、外国の連中にはわかりやすいしな。羨ましいよ」「確かに、実績に連続性が出来るから。でも、時々、書類の関係で苦労するわ」仁子はおもむろに首の華奢なチェーンを外すとそのペンダントトップになっているものをはずした。チェーンを丁寧に桜色の小さな布袋にしまう。ペンダントトップは指輪だった。「こっちでは独身だとおもわれて言い寄られてないか?」「まさか。実験の時やフィールドワークの時は指輪が気になって・・・。」それを左手の薬指にはめて。振り向くと南原に言った「ただいま、タカシさん」「お帰り 僕のジーン」二人はしっかりと抱き合ってキスをした。
しばらくして「ところで子供達は?」仁子が聞くと「お母さんに聞かなかったの?電話するって言っておられたんだけれど。シドニーから直接、山口に行ってっ僕たちを待っている。だから今日は久々に二人だけでゆっくりしよう」「ええ ロールキャベツもあるのよ」仁子は幸せそうに微笑んだ。
END

最後の後ろから声をかけるシーンは。ブリジットジョーンズの第一作のマークがニューヨークからかえってブリジットに声をかけるかんじです。ついでに。





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最終更新日  2005年04月22日 21時42分02秒
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