【岩手競馬サポーターズネット】南部杯リレーコラム
南部杯でまず思い出すのはトーホウエンペラーですね。 中央未出走で岩手に来て、一番下のクラスからスタート。トモが弱い馬でしたが、条件にも恵まれていきなり9連勝。走るたびに強くなっているのを実感しました。そのあとは勝ったり負けたりでしたが、暮の桐花賞を優勝。デビュー1年で岩手のトップに立つケースも珍しいと思いますが、今考えると当然だったかもしれません。 次の年も赤松杯、シアンモア記念と連勝。それで帝王賞へ挑戦しましたが、あの時の緊張は半端じゃなかった。地元開催のGIは乗ったことがあったが、遠征では初めて。しかも大井ナイターの大舞台ですから人も凄かった。プレッシャーを感じないで乗るなんてとても無理でしたが、5着に入りましたし、貴重な経験をさせてもらったと思います。 次にマーキュリーカップで3着。札幌のエルムステークスは(菅原)勲さんで2着。そして青藍賞は自分に戻って勝って南部杯に向かいましたが、岩手のトップはトップだけどGIで通用するかどうか。しかもアグネスデジタル、ウイングアロー、ゴールドティアラ、ノボトゥルーとGIホースばかり。あの時のノボトゥルーは現役バリバリでしたから、電光掲示板に載れればいいなというのが正直なところ。通用するか半信半疑、どれぐらいの走りができるか未知数でした。でもトーホウエンペラーは成長期なので、もしかすると…って期待も一方では抱いていました。 4コーナーで内を突いたのは賭けでした。少頭数(9頭立て)で思った以上に流れが遅くて3、4番手につけることができて手応えも予想以上に良かった。ただペースアップしたとき外を回ったら、ついていけないだろうし、左回りではササるクセがある。それで思い切って内にコースを選んだら、ちょうどいい具合に内が開いた。あとは無我夢中で追ったら2着。自分自身もびっくりしましたが、これで先生(千葉四美調教師)もGIで通用する感触を掴んだと思います。 今でも時々、あの時のことを考えることがあります。外を回ったら何着だったか。2着、3着、4着の差はあまりなかったから、同じ結果を出せたかどうかって。そのあと(菅原)勲さんに乗り替わりになりましたが、仕方ないかなって思う反面、やはり悔しかった。エンペラーがGIを2勝したことは素直に嬉しかったですけどね。 トーホウエンペラーはおととし厳しかったそうですが、今年、2ケタの種付けをしたと聞きました。人気商売ですからやむを得ないでしょうね。血統もいいですし、体も立派ですから、できるだけ長いこと種牡馬を続けていい仔を出してほしいと願っています。 トニージェントの南部杯は病院のテレビで応援していました。落馬で大怪我をして1ヶ月ほど入院していたので、(村松)学君が騎乗。デビューからずっと自分が乗っていましたからちょっとさびしい気もしましたが、6着に頑張ってくれました。 トニージェントは脚元が弱い馬で本格化したのは年を取ってから。でも無理をしかったから活躍時期が長かったのだと思います。デビュー戦を勝った当時は450キロぐらいで細めでしたが、脚元不安が出て半年ほど休養して帰ってきたら別の馬のようになっていました。大人になったなぁと実感しました。 気持ちで走るとにかく前向きな馬でしたね。だから体調が悪いとそのまま結果に出る。逆にいいときは本当に強いレースをしてくれました。一番の思い出は九州・佐賀、名古屋の交流戦に挑戦したこと。GIIIでいいから一つタイトルを取らしてやりたかった。 若い頃、順調に使えて早く遠征できたらなぁと思いましたが、結局無理をしなかったから桐花賞、トウケイニセイ記念を3連覇できたとも思いますけどね。馬主さんもよく我慢してくれたなと感謝しています。 今年はこれまで以上に早いペースで勝ち星を重ねることができていますが、いい意味で開き直って乗っているからでしょう。乗り替わりで結果を出されたときはショックでしたが、オレが乗っても勝てたはずだ。そう思っています。 この調子をシーズン最後まで持続したいですね。ただ春先に比べて最近、重賞クラスのレースを勝っていない。特別はソコソコの結果だと思いますが、ビッグタイトルがなかなか取れない。テシオの横テンさんに土曜日の男と言われていますが、後半は日曜日も勝てるように頑張ります。