カテゴリ:雑感
すでに日本では11月9日になっている。
私たちの6回目の結婚記念日なのでゴザイマス。 しょせん、人の結婚のナレソメなんて知ったところでク●の役にも立たないのだが、この際だから書いてみる。 6年前の2月にロンドンで初めて就職したその日にダンナと出会った。 ***ダンナ、とも書き続けづらいので、ここでは一応わかりやすいように名前を「丹波哲郎」とします。(爆)*** 会社にはいった緊張さめやらず、キッチンでお茶を入れてたら、抜けたような声で「こんちわー」と言ってはいってきたのが丹波さんだった。 「あ、私、新人のちゃとです」と言うと「あ、丹波哲郎です」と挨拶されたが、課が違うのでそれっきり。 しかし、時々お昼に休憩室兼喫煙室で会うこともあり、特に話もないが「どうですか?仕事は」なんて程度の会話くらいはするようになった。 ま、特に彼の課はみんな揃って性格のきっつい人ばっかりだったので、おっとりした丹波さんってあんなところでよく仕事しているなという意味で気にはなったが、その後、何気なく彼についてリサーチしてみると *もともとアパレル業界から転職してきた *日本で結婚しようと思っていた人とダメになり、傷心の末にロンドンに辿り着いた *つい、この間、会社の帰り道で女性と待ち合わせしていたが、あれが彼女だろう *ゲイっぽいが(爆)どうもゲイではないらしい こんな感じの話を聞いた。 (以上の4つの中で本当だったのは4つ目だけで、最初の3つは全部ガセネタだと本人から後で聞いて爆笑した。 待ち合わせしていた女性も以前の仕事の関係者で、たまたま会う約束をしていただけだったらしく、噂の一人歩きに彼は苦笑していた。) 丹波さんが結構私が気に入っているような感じはあった。 少なくとも悪い印象は持っていなさそうだったが、お昼に会って話をしても(彼がおっとりしていて)話があまり進まない。 しかし、どうやら音楽好きらしいことを聞き、休憩室で2人になった時に水を向けてみた。 ち「今度の木曜日、シンプリー・レッドのライヴに行くんですよ。でも、一人なんですけどね。(ココを強調)」 丹「ああ、それはいいなー。楽しみですよね。それじゃ」 と言って、彼はその場を後にした。 なんとなく「ボクも行こうかな」と言ってくれるんじゃないかと思っていたが「それじゃ」だと。 あほくさ、と思ってそれきりになっていた。 それから3ヶ月くらい経って、日本から来ていた駐在員が日本に帰国することになり、その人の家でお別れパーティをやった時だ。 ちょうどその頃、インターネットで知り合ったアメリカ在住の日本人男性Aさんとえらく意気投合してしまい、アメリカで会おうという話になっていた。 短期の旅行用の小さいスーツケースを同僚で親友のマリアに借りるので、その日はマリアのところに泊まるつもりだったが、夜も更けてきたのでマリアと一緒に引き上げようとしたところ、丹波さんが私に「もう帰るの?ねえ、ほんとに帰るの?」と言ってきた。 私は「マリアにスーツケースを借りることになってて、今晩はマリアのところに泊まるんです」と言うと彼は「じゃ、ボクんちマリアんとこから近いから、明日のお昼でも食べにおいでよ」と誘う。 行けたら行きます、と言ってマリアのところにその夜は泊まった。 翌朝遅く起き、マリアから借りたスーツケースを転がして丹波さんの家に行ってみた。 「あ、よく来てくれたねー」と丹波さんはうれしそうだ。 狭い部屋の中を見ると、ギターや古いレコードが所狭しと置いてある。 「焼きそば、食べる?」ときかれたのではいと答えると、丹波さんはいそいそと焼きそばを作り始めた。 そのへんのレコードを見ながら待つこと数分、できたよと言って出された焼きそばは一人分。 「これ、私のだけなんですか?丹波さんは?」と聞くと「ボクはさっきもう食べたんだよ」と言われるが、そんなに親しくもない人の家で一人だけ焼きそばを食べている図、それを見ている丹波さんの図・・・ヘンだ。 しばらく音楽の話をいろいろしていたが、彼が急に話題を変えた。 「ねえ、そのスーツケース、どこかに行くの?」 なんとなく「ニューヨークでデートです」とは言いにくかったのだが、その後の話の流れで私は素直に白状した。 丹波さんはしばらく考えた後「それさぁ・・・今からでも中止できないの?」と言い出した。 「それはもう無理です。チケット代も払っちゃったし、今週末のことですし・・・」と言って私は抵抗する。 「こんなにボクが頼んでもダメ?」「・・・すいませんけどダメです、それは」と言うと丹波さんはがっくりと肩を落とす。 ***中略*** そして私はニューヨークに予定通り行くことにした。(とんでもないヤツだ) 丹波さんは私が行く前の日にこそっと私の席に来て1枚のCDを渡しに来た。 マイルス・デイヴィスの「カインド・オヴ・ブルー」 「あのね、ニューヨークの街の中で一度このアルバムを聞いてほしいんだ。どんなふうに聴こえたか、帰ってきたら教えて」と言われたが、私は心の中で「ニューヨークみたいな土地勘のない場所の路上でこんなん聴いてふらふら歩いてられるかっちゅーにゃ」と思っていたが「お借りします」と言って借りるだけは借りて行った。 ニューヨークに着き、約束していたAさんと初めて会った。 Aさんともいわば音楽での接点と、海外に暮らす者の接点と、そのほかに相通じるものがあって会ってみることにしたのだが、幸いにというべきか不幸にもというべきか、いわゆる「親密な関係」になるタイプの2人ではないことがすぐにわかった。 私は一人で買い物に出かけた途中で丹波さんに電話して、ありのままを伝えた。 「心配するようなことはなんにもないから心配しないで下さい。」 Aさんとも再会を約束して別れ、ロンドンのヒースロー空港に到着した時、丹波さんは私を迎えに来てくれていた。 (後日、ダンナと2人でニューヨークを訪ねた時、2人でAさんに会いに行ったら、私を差し置いてAさんとダンナは、私のわからない音楽の話でしっかり意気投合していた) <続く> ***追記*** 実は昨夜、これを書いた時、勢い余って3回分をまとめて書いておいた。 まとめて書いたというより、書いたものを後で見たら、だいたい3回くらい使えるなと思ってほくそえんでいた。 しかし、何をどう失敗したのか、この1回目分をUpした後でもとネタを見てみたら 消えていた・・・ それも消えた部分は残りの2回分で、今回の分だけが残っている。 やる気なくした。がくっ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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