テーマ:映画館で観た映画(8350)
カテゴリ:映画鑑賞記録
"MUNICH"
監督・・・スティーヴン・スピルバーグ 原作・・・ジョージ・ジョナス『標的(ターゲット)は11人 モサド暗殺チームの記録』(新潮文庫刊) 出演・・・エリック・バナ、ダニエル・クレイグ、キアラン・ハインズ、マチュー・カソヴィッツ、ハンス・ジシュラー、ジェフリー・ラッシュ、アイェレット・ゾラー、ギラ・アルマゴール、ミシェル・ロンズデール、マチュー・アマルリック、モーリッツ・ブライブトロイ、他。 ・物語序盤・ 1972年、ドイツ・ミュンヘンではオリンピックが開催されていた。 平和な筈の選手村に、夜間武装したパレスチナのテロリスト集団“黒い九月”が侵入し、イスラエル代表選手達を人質にするという事件が勃発。 そして最終的に、選手団の11名が犠牲となる大惨事で、事件は集結した。 これを受けてイスラエル政府は、失われた人命と同数のパレスチナ幹部の暗殺を決定し、諜報機関“モサド”の精鋭5人による暗殺チームを秘密裏に組織する。 暗殺チームは、リーダー・アヴナー、車輌のスペシャリスト・スティーヴ、後処理専門のカール、爆弾製造のロバート、文書偽造のハンスの5人。 アヴナー達は情報を提供してくれるルイという男と接触し、ヨーロッパ中散らばっている標的の抹殺を図る。 スピルバーグ監督の社会派映画です。 娯楽大作の合間に、時々こういう系統の映画を撮りますよね。 彼の抱えたアイデンティティーに纏わる重いテーマの映画です。 しかし、ぶっちゃけた感想を書くと、「長すぎて、ちょっと退屈しちゃったかなぁ」なんですよ(笑) 上映時間が長い割に、山場などメリハリが全く無い。 更に、主人公のアヴナーの心的風景も殆ど描写されていないんです。 (ラストはそれまでの苦悩が一気に爆発した感じの描写がありましたが。) アヴナー自身の経歴ははっきりしないのですが、諜報機関に属するエリートのようでした。 父親もエリートで、英雄的な存在のようです。 この彼が、イスラエル選手団を虐殺したパレスチナのテロリスト組織に属するメンバー達を、報復として抹殺するチームのリーダーに抜擢される所から物語は動き出します。 集められた仲間は全部で五人。 抹殺チームといっても、誰も人殺しなどした事はありません。 最初の一人を殺す時は、躊躇して、どうするか互いの顔を見合したりして、なかなか決断できません。 そんな彼等も任務を少しずつこなす内に、徐々に人殺しに対して、無表情になってゆきます。 それでもアヴナーの中には、何処かで自分のやっている事に対する疑問や空しさがあったと思うんですよね。 ただ、この辺の彼の心の動きが殆ど表面に出てきていないので、彼に対して感情移入ができませんでした。 淡々とターゲットを探しては、一人ずつ殺してゆく映画と映りました。 慣れない仕事でなかなか思うようにゆかない所が、笑って良いのか悩みましたが、ちょっと可笑しかったです。 現場って案外、こんな間抜けなものですよね。 この映画を本当に理解しようと思ったら、イスラエルやパレスチナの問題に精通していないといけません。 私は先ずこの点で躓いてしまいました。 全然、判らないんですよ、この辺の問題…。汗。 だから物語に入り込めず、心にも響かず、消化不良気味だったんですよね。 ユダヤ人の国家として、欧米の力で誕生したイスラエル。 パレスチナの人々は彼らに対して反感を持っています。 互いに対する恨みや憎しみは、解決策が見出せないほど深いのです。 殺されたら殺す。 その報復として、更に殺す。 何処までも何処までも果てしなく続く、憎み合いの鎖です。 観ていて、とにかく空しいなという気持ちが湧いてきました。 アヴナー達がターゲットを殺しても、別の人間が台頭してくる。 殺したからと言って、問題が解決する訳でもない。 そしてパレスチナにも彼等の立場があれば、主義主張もある。 どちらが善でどちらが悪と決められる問題でもない。 誰か何処かで、争いをやめませんか? 無理とは判っていても、そう言いたくなりましたね。 観終わっても、すっきりする映画ではありません。 疲れた溜め息の出る映画でした。 ↑ぷちっとクリックして下さると嬉しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Feb 13, 2006 01:23:48 AM
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