テーマ:映画館で観た映画(8344)
カテゴリ:映画鑑賞記録
監督、脚本・・・小泉堯史
原作・・・小川洋子『博士の愛した数式』(新潮社刊) 出演・・・寺尾聰 博士 深津絵里 杏子 齋藤隆成 ルート 吉岡秀隆 先生(ルート) 浅丘ルリ子 未亡人 ・物語序盤・ 高校で数学教師をしているルートという渾名の青年は、新しく受け持ったクラスで、自分自身と数学との出会いの物語を語り始める。 彼の母・杏子は家政婦として働きながら息子を育てるシングルマザー。 彼女の新しい派遣先は、義姉の家の離れで暮らす、数学博士の家。 彼は交通事故に遭った後遺症で、記憶が80分しか持続しない初老の紳士だった。 最初は博士とのコミュニケーションの取り方に戸惑う杏子だったが、博士が温かい口調で語る数字や数学の話に次第に心和ませてゆく。 杏子に息子が居ると知った博士は、子供を一人にしてはいけないと、毎日息子を家に連れてくるよう指示する。 博士は訪ねてきた少年を、どんな数字も受け入れる"ルート"と呼んで可愛がった。 それから3人は親睦を深め、和やかな日々が続くかに思われたが…。 第一回本屋大賞に輝いた小川洋子の同名ベストセラーを映画化した作品です。 私が数学と離れて何年になるでしょう? あの当時の知識は、もう完全に頭から抜けていますね。 まず、その事を痛感させてくれた映画でした。 映画は、かつて博士の元で共に時を過ごしたルートが、高校の数学教師となり、受け持ちのクラスで博士と過ごした日々を語る形で展開します。 時折、現在のルート先生が出てきて、黒板で数学の易しい講義をしてくれます。 あんな授業とは関係無い話をするのに、確りマグネットのプレートを用意している所が可笑しかったな(笑)。 授業の中で、"i"という記号が出てくるのですが、これが日本語で何の事だったか思い出せなかったんですよ。 我ながら情けなかったです…。 "i"は虚数でしたね。 あと、"e"とか、昔勉強したよね~と思いつつ観ておりました。 映画はほのぼのしていて、心温まるストーリーでした。 少しだけ切ない部分もありましたが。 寺尾聰演ずる、温厚な博士の人柄が良いですね。 常に優しい態度で、実はとても難しい数学の話を、親しみ易く話してくれる。 以前観た「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」に一切、数学の専門知識が出てこなかったのに対して、この映画では、色々な数学の用語が出てきます。 それが数学の映画だなぁと思えて嬉しかったですね。 でも観客に数学的知識は必要ありません。 博士とルート先生が全部親切に解説してくれるので。 友愛数や完全数などという聞き慣れない数学用語が沢山出てくるのに、何故か冷ややかでなくて人間臭い温かみに溢れています。 そこがこの映画の良さだと思いました。 ツッコミ所が無いかと言えば、多少あるんですけどね。 80分しか持続しない記憶のわりには、人間関係が円滑に行き過ぎている感じで。 80分という区切りも、ずっと一緒に居れば忘れないのかな?と結構曖昧な線引きでした。 でも全体的に優しい気持ちにさせてくれる映画だったので、満足しています。 切ないのは博士と義姉との関係です。 かつて、お互いに許されない"-1"同士で居ましょうと告げた相手に、博士が数式に1を足して合計を0とした所は心に響きました。 ちなみにこれ、eのiπ乗 + 1 = 0で、オイラーの等式というものです。 でも映画的には悲しい結末ではないので、安心して観て下さい。 ↑ランキング参加中。ぷちっとクリックして下さると嬉しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Feb 19, 2006 01:23:09 AM
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