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Nov 7, 2007
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カテゴリ:映画鑑賞記録
現在、全国ロードショー中です。
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監督、脚本・・・松尾スズキ
原作・・・松尾スズキ 『クワイエットルームにようこそ』(文藝春秋刊)
出演・・・内田有紀、宮藤官九郎、蒼井優、りょう、中村優子、高橋真唯、馬渕英俚可、筒井真理子、宍戸美和公、平岩紙、塚本晋也、平田満、徳井優、峯村リエ、武沢宏、箕輪はるか(ハリセンボン)、近藤春菜(ハリセンボン)、庵野秀明、河井克夫、妻夫木聡、大竹しのぶ、他。
出演(声)・・・伊勢志摩 白井医師

・物語序盤・
佐倉明日香は28歳のフリーライター。
連載の決まった800字のコラムが全く書けずに焦っている。
同居人で放送作家である鉄雄とは、亡父の為に買った仏壇の一件で大喧嘩をした。
自分でも記憶が無い内に意識を失ったらしく、ふと目覚めると、見知らぬ白い部屋で、ベッドに5点拘束され、身動きが取れない状態に。
自分の置かれた状況が、全く理解できない明日香は、何とか記憶を呼び戻そうとするが上手くゆかない。
やがて現れた看護婦の江口から、ここが精神科の女子閉鎖病棟の監禁室だという事を聞かされる。
どうやら原稿が書けずに焦った明日香は、睡眠薬とアルコールを大量に同時摂取して、昏睡状態に陥っていた模様。
緊急処置の後、同居人である鉄雄の同意で、強制入院となったのだ。
事故であり自殺未遂とは違うので、すぐに退院させてほしいと懇願する明日香だが、医師の診察は来週の月曜まで無いという。
折角、貰ったコラムの仕事を失うと焦る明日香。
暫くして、通称クワイエットルームと呼ばれる監禁室からの退室を許された明日香は、病棟に入院している様々な患者と出会う。

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芥川賞候補にも挙がった、松尾スズキの同名小説を、彼が自ら脚本・監督を手掛けて映画化した作品です。
主役は9年振りの映画主演となる内田有紀。
中盤まではコメディで、とにかく滑稽で笑えます。
しかし終盤になると、心に突き刺さるヘヴィな真実が明かされてゆきます。
確り笑わせて、その後、泣かせて、最後は心地良い味わいの残る映画。
観て良かったと思いました。

オープニングはスーツ姿で敏腕ライターという感じの内田有紀が、携帯片手に雑誌の編集者と話し、その後は他社との会議。
そこに彼氏から送られてきた、変な写メ。
何だ、これ?と思ったら、突然意識が遠のき、金色の仏壇の上に立っている内田有紀。
次のシーンでは、白い天井に白い壁の密室で、ベッドに拘束されている自分に気付く。
部屋のドアの隙間から、ぎょろっとした目で明日香を見詰め、何かを呟く少女。
室外では、「頭が燃える!」と誰かが叫んで、走り回っている。
ヒロイン明日香同様に、何が起こったのか、全く状況が把握できません。

序盤から、これでもかと笑わせてくれます。
適当に退院させようと言ってくれた、好い加減な医師松井を、不慮の事故で転倒させてしまった明日香。
松井は倒れて、頭の下の床には血だまりが…。シュールです。
急遽、確り時間を掛けて治療してくれるという、有難迷惑な白井医師が担当に。
看護師からも一目置かれる男性医師ですが、何故か声は女性。

看護師さんも、りょうさん演ずる規則絶対の冷徹な江口や、平岩紙さん演ずる親切だけどお惚け天然キャラの平岩など、強烈なインパクトを持つ面々が。
勿論、患者さん達も、ツワモノ揃い。
一番怖いのは、大竹しのぶさん。
一見、人懐っこくて親切ごかしな態度で近付きますが、金勘定に煩く、新参の患者をターゲットにして、クワイエットルーム送りにする恐ろしい人物。
大竹さん、演技上手いですね。
蒼井優はなかなか美味しい役どころです。
他の患者と距離を置き、冷めた目で観察している、拒食症の少女。
黒のドレッドヘアーに、鋭い目付き。
明日香には、わりと親切に接してくれるけれど、彼女もまた心に闇を持っています。
同室になった栗田(中村優子)は、リッチな亭主のお蔭で、簡単に退院してゆきます。
スマートで合理的な考え方をする栗田は、皆から貰った色紙やメールアドレスのリストはすぐに捨てるが、自分と同じ空気を感じると、明日香にだけは、メールアドレスを渡して去ってゆく。
ここから出るという事は、そういう事だと、冷めた口調で話す栗田。
しかし彼女もやはり、闇の世界から逃れられない人物である事が、ラストに判ります。
ほんの一瞬ですが、これも残酷なエピソード。
実生活でも脚本家・構成作家として活躍し、映画の役と被る所のある宮藤官九郎さんも、コミカルで間抜けな演技が面白いですね。
あと、何故こんな端役で出演しているのか謎な、鉄雄の子分役の妻夫木さん。笑。
出演時間は短いですが弾けてます。(~_~;)

ストーリーは中盤まで、おバカなシーンが多くて笑えます。
その間にも、勿論、人間ドラマも挿入されているのですが。
シリアスさとコミカルさが、適度にバランス良く混合されていて、素直に楽しめます。
しかし終盤になると、一変、明日香の身に起こった真実が明かされ、物語は心臓にナイフを突き立てられる感覚に。

明日香は何故、浴びるようにアルコールを飲むようになったのか?
何故、不眠症になってしまったのか?
そこには、とても悲しい過去が隠されていました。
そして、全てを失くした明日香を拾った、鉄雄にとっても、飲んだくれで自暴自棄になった明日香は、いつしか重荷となっていました。
「私、鬱陶しいよね?」という問い掛けに、困惑しながらも遂に「鬱陶しい。」と答える鉄雄。
誰も好きで、鬱陶しい人間になどなりたくないです。
本当は陽気に楽しく人生を謳歌したい。
だけど、余りに悲しい出来事が続くと、人の心は壊れてしまう。
作り笑いさえできなくなる。
酒浸りになり、オーバードーズを繰り返し、死にたいと考えるようになる。
最後の味方である家族から「鬱陶しい。」と言われるのは、死刑宣告に近いかな。

でも結末は、爽やかですよ。
これから明日香は、きっと立ち直って、自らの道を切り開き、新たな幸せを手にするに違いないと、希望を持てる締め括り方でした。

カメオ的な出演ですが、歌人の俵万智や漫画家のしりあがり寿・しまおまほ等が旅館のシーンで登場します。
しかし白井医師の声を演じている伊勢志摩って、何者?
芸名を考えるのが面倒くさかったのかと疑ってしまう名前ですね。

洋画だと「17歳のカルテ」が丁度、精神病棟内の人間ドラマを描いた作品ですが、やはり邦画、全く雰囲気が違います。
また「17歳のカルテ」は著者の体験を綴った実話なので、正直、最初から最後まで笑えないですよね。汗。

補足ですが、本当の精神病院は、あんなに楽しくありません。
一歩足を踏み入れた途端に、空気の重さが違います。
まともな精神の持ち主でも、ここから帰らせてくれー、と発狂して叫びたくなります。
「17歳のカルテ」もぶっ飛ぶ、沈鬱な世界です。
あの空気がそのまま映画で再現されたら、皆、頭可笑しくなる事、請け合いです。笑。
これは飽く迄フィクションなので、リアリティーには拘らなくて良いと思いましたが。

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最終更新日  Nov 9, 2007 12:24:56 PM
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