絵の類似点２

　絵の類似点２
　
　

　ここからの各２ページ計４ページ分の画像も、同じ「七週間」と「闇にその名を呼べば……」からとった。向かって左の奇数が秋乃茉莉『霊感商法株式会社』「七週間」で、向かって右の偶数が松本洋子『闇は集う』「闇にその名を呼べば……」よりの画像である。

資料画像３	資料画像４

　
　上の資料画像３・４では、座り込んでいるのが妹、立っているのが兄で、このページは各コマ内の登場人物のポーズだけでなく、ページ全体の構成が似ている点もあわせてみていきたい。（が、私は漫画を描かないので、若干各部位の呼び方などが違うかも。心内文が入っているのも「ふきだし」でいいんでしょうか。用語に詳しい方がいらっしゃったら、教えてください。）
　
　
　
　
　

資料画像３－１	資料画像４－１

　
　コマ全体を見ると、縦に区切った１コマ目（資料画像３ー１、及び４ー１）は、黒い背景に白く抜いたふきだしが上下にあり、中央に妹が座り込んで兄を呼びながら泣いている絵があるという点がよく似ている。
　妹のポーズでは、正座を崩した様な足、体が正面よりやや向かって左（絵の人物から見れば右）を向いている点が似ているが、資料３－１では手の位置が耳をふさいでいるような位置にあり、資料４－１では泣きじゃくっているような位置にあるという違いがある。　
　
　
　
　
　

資料画像３－２	資料画像４－２

　
　白い、線と言うには少し幅が広すぎるがコマと言うほどでもないスペースが縦長に入り、画面を左右に区切っている。その向かって左側をみると２コマ目が小さめのコマとして画面上部に配置されている。この２コマ目は、白いスペース、３コマ目、４コマ目と重なっていて、いわば一番高いのコマとなる。
　その中には妹の名の一部が入ったふきだしが入っている。（妹はそれぞれ菊華／ちひろという名で、ふき出しの中にはその三点リーダーの後に名前の最期の文字だけが入って「……華」「……ろ」となっている。）

　３コマ目は、２コマ目の下、４コマ目の上に重なったコマとなっている。
　３コマ目は、妹の名の入ったふきだし（ふきだしはそれぞれ「菊…華…!?」／「ちひろ」）があり、画面向かって左下に妹の頭が左上部だけ描かれている。資料３の方では兄の手も描かれているが、資料４にはそれはない。

　資料画像３－２では、３コマ目の背景は向かって右上部→左下部の方向に黒→白のグラデーションがかかっているが、資料４－２の３コマ目背景は全体が白となっている。ただし、同様の右上部から左下部に向かっての黒→白のグラデーションは資料４－２の２コマ目で使用されている。
　
　
　
　
　

資料画像３－３	資料画像４－３

　
　４コマ（資料画像３－３、４－３）目は、２コマ目・３コマ目が上に重なっている縦長のコマとなっている。資料４の方には、４コマ目の向かって左下部をななめに切り取る形で５コマ目があるが、資料３には５コマ目はなく、次ページをみても特に類似点はないので５コマ目の説明は省略する。
　人物のポーズでは兄が若干右膝を曲げて、右手を妹の方へと伸ばして立っている点がよく似ているが、左手は違いがある。資料３－３の方では兄自身の吹き出しに左手が隠れているが、資料３－４では兄の台詞がない為、左手が描かれている。
　妹は兄よりも画面向かって左下に、兄を振り返りぎみに見上げる姿で描かれている。どちらも妹の右足先は見えないが左足先は見えている。また、体に対する両手の位置もほぼ同じ高さにある。
　
　
　
　
　

資料画像５	資料画像６

資料画像５－１	資料画像６－１

　
　資料５・６は、それぞれ資料３・４の次のページである。
ここでは右下の１コマ（資料画像５－１，６－１）だけを見比べる。
兄の方は、右ひざをつき、左ひざは立てる形で跪いている点が似ているが、手は右左ともに違っている。右手は資料５が妹の頭に添えられているのに対して資料６では全く見えず、左手は角度が違う。
　妹の方は兄に抱きつこうとしている。伸ばした右手だけが見えていて左手は見えないという点が共通しているが、そもそも妹の年齢が違うので対兄とのバランスが違う。
　体の大きさが違い、資料５では地に膝をついている形であり資料６では立っている（あるいは飛びついている？）形であるにも関わらず、双方とも右足より左足のほうが、より角度がついているという点で共通しているのは少し気になる
　
　
　
　
　
　このように、完全にそのままではないがかなり似ている部分がある。二つの漫画の間で、全く偶然に、絵やコマの流れまでがこれほど似るというのは有り得るのだろうか。それとも漫画というのは、話の設定が似ていれば、必然的に絵もこの程度には似てくるというものなのだろうか。

　
　
　
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