神学校に入学したときに、ポジティフオルガン(足鍵盤なしの移動可能なパイプオルガン)の授業を選択し、それまで、いい加減なオルガンの奏楽をしていた私にとって目が何重にも開かれるような体験をしました。その授業の講師である木田みな子先生から、ずっとお誘いを受けていた研修会が、表記の研修会です。
軽井沢追分教会を会場とし、教会が創立する以前-すなわち稲垣守臣牧師が発注したオルガンが納められてすぐの時期から、この研修会が始まっているということでしたが、今回、初めて参加することができました。奏楽の研修というよりは、最終日の賛美礼拝における合唱隊に参加するために参加したというのが事実でしたが、とても深い濃い三日間を過ごすことができました。合唱曲は3曲で、シュッツ、バッハに加えて現代の作曲家デュルフレの曲を練習し歌いました。バロックの響きと一緒に現代の和声を楽しむことができたのも刺激的でした。そして、それらの曲の練習をするだけではなく、
藤原一弘氏による講義では、ブクステフーデやバッハなどが注目し支持した
ヴェルクマイスターの音律(平均律ではない)とその背景にある世界観について初めて知ることが多く面白かったです。また、ヨーロッパでも活躍しているバロックバイオリンの
桐山建志氏、通奏低音やクラビコード奏者で有名な
大塚直哉氏による「バイオリンの表情付けをどうオルガンに生かすか」という講義と実演も感動的でした(これは本当に多くの方に聞いて欲しかったと感じさせられました)。また桐山氏、大塚氏の音楽を導入として賛美歌作家でもある塩田泉神父に導かれた「夕べの祈り」も心に残るものでした。そして、これらは、追分教会の会堂の響きのよさ(音楽もよく響き、人の声もうまく通ります)と関連していることにも感銘を受けました(オルガンが先行している建物で響きにこだわりを持っているのでしょう)。
プログラム外の交わりの時も楽しく、講義で聞けなかったことや、世界や日本の情勢について、世の中に倣わず本物を追求している方々の側からのお話を伺うことができました。(塩田神父の、高度?な駄洒落も、劣化nnn弾などといいながら、楽しみましたが。)