ひじき採りの苦しさと楽しさ
毎年冬のひじき採りは朝方か夕方になる。潮の干満の時刻でそうなるのだ。しかし、最近はひじきを採る人が増えたので、より遠くの磯まで歩かなければ採れない。遠いほど、手で運ぶのは大変になってくる。岩だらけの磯やズブズブと足が埋まる砂浜が交互に続く。そこで役に立つのが一輪車。妻が押し、私が引っ張る。手よりは楽なのだが、それでも、これがけっこうな重労働なのだ。妻は、いつも「ひーひー、はーはー」と言っている。一回では運べないので、2回往復する。真冬の寒さもなんのその、汗が出るほど熱くなる。しかし、いつも何とも言えぬ爽快感がある。生きている実感とでも言えようか・・・。砂浜には二人が歩いた足跡が残る。潮が満ちれば、波に打ち消される足跡だが、私達の心には、永遠に消えない足跡になるだろう。