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From クルンテープ

From クルンテープ

遂に誕生!

数分してガラガラと機材が部屋に運び込まれ、何人か人も入ってきて準備開始。
そしていよいよ、白衣に着替えた先生登場。ベッドの足元の部分を取り外し、スタンバイ。

夫はベッドの上にのって、私の肩を支える。
いよいよ、いきみ開始! 陣痛の波が来たときに、一気にいきむ。

陣痛の痛みに対する悲鳴と、いきむ時の踏ん張る声とが混じり、つい大声が出てしまう。
でももうなりふり構っていられないので、思いっきり大声を出していきんでたら、
先生が「声は出さなくていいから。声を出すんじゃなくて、『うー、うー』よ」
確かに、声を出すと無駄なエネルギーを使いそうだ・・と朦朧とした頭で考え、
それからは歯をくいしばりながら、「うー、うー」。

陣痛の波が来るたびに、先生も看護士も夫も私も「うー、うー」の大合唱だった。

「もうちょっと体を前にかがめながらいきんで。そうそう、上手だよ~ 」
「もう頭が見えてるよ、がんばれ」

先生や看護士さんが、ずっと励ましてくれる。
冷房がきいているはずなのに、おかしいぐらいに汗が出る。
「ああ、もう休ませて。少し休憩してから、またいきむことにしたらダメ?」と押し寄せる
陣痛の間はそればかり考える。

10数回はいきんだだろうか。ようやく頭が出始めて、いよいよホントにラストスパート
というとき・・・横で支えている夫がいきなり大声で話し始める。

何ごとかと思ったら、携帯が鳴ったのだった。そう、この病院(多分他の病院も)、携帯の持込みに
ついて何も言われないのだ、出産中でさえも。

「あ、今、空港ですか? それが、もうすぐあと少しでうまれるんです。すいません、ちょっと手が離せなくて・・
あの、とりあえずお任せします!」

実は、夜の11時過ぎのフライトで到着した、私がもう入院したとは知らない両親を、空港まで
上司に迎えに行ってもらっていたのだった。でも、もうあと数回いきめば生まれそうという時、
細かい打ち合わせをする余裕もない。

私はもはや、上司に申し訳ないと思う余裕など微塵もなく、
「もうこっちは、それどころじゃないのよー!!」と内心叫びつつ、最後の力を振り絞る。

・ ・・と、とうとう何かが出た感触があり。すぐに元気な産声が聞こえた。

日付はこえて9月19日、0時58分。

ああ、産まれたんだあ。。。  感動よりも、まず脱力。
「よくがんばったね」と、夫が頭を撫でてくれた。

普段の私だったら、ここで泣いてしまいそうなシーンだけど、涙は出なかった。余りにも脱力していたからか。

私は全然気がつかなかったのだけど、会陰切開を「ちょっとだけ」した、と先生。
(一応事前に「先生がどうしても必要と判断したら切開してもいいです」と了承済み) 

早速、ちくちくと縫い始める。その間看護婦さんが、へその緒を切って、きれいにしてもらった赤ちゃんを
抱かせてくれた。いつのまにかカメラが持ち込まれていて、「はーい、記念撮影ねー、スマイル!」 

夫も「すいません、うちのカメラでもお願いします」なんて言って、もう1回ハイチーズ!
・ ・・でも、この記念撮影の間中、足元では先生がひたすらチクチクと縫い続けていた・
冷静に考えるとかなり笑える光景だった。

やがて赤ちゃんは保育器の中に入れられて、新生児室へ。
本当はバースプランで「30分以内に母乳をあげたい」と書いてたんだけど・・・
でも、それを思い出す余裕もなかった。

夫は赤ちゃんについていってしまったので、先生と二人残された静かな部屋で、更にちくちくと縫われる。

会陰縫合って、意外に時間がかかるのね。まさか「ちょっと」じゃなくて、だいぶ切ったんじゃあ?! と、放心しながらもやや不安。

やっと縫合が終わると、少し照明を落としてもらって、2時間ほどそのまま休憩した。


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