1450250 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

Laub🍃

Laub🍃

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

フリーページ

カテゴリ

プロフィール

長押 綴

長押 綴

カレンダー

2017.02.05
XML
カテゴリ:●映
人は、人に話すことで自分の存在と気持ちの行き場と置き場を作れる。
自分とかかわる全ての頭の中に小さな自分が居る。間借りをしている。
自分が死んだ後も彼らは残る。……もしかすると、「そちら」が本体となるのかもしれない。

***

「かならずうまくいく」

「彼女」のその言葉を支えに、何度もリセット、「過去の記録に過ぎない」事件の真相を探る、男の世界で最も長い8分間の物語。
「過去は変えられない」
「未来の糧とするしかない」

「繰り返す、これは時間旅行ではない」

「君はテロの列車爆破原因・犯人を繰り返される時の中で突き止めねばならない」

そして、世界を救った成り代わり代行者の物語。

「君がいくら乗客を救おうとも現実に何ら影響は及ぼさない」

「何故ならその乗客は現実という光の残照に過ぎないからだ」

「脳・記憶は死んでも一時的に活動状態を保存している」

「だからそれを利用し何度も何度も何度も何度も君の脳をその情報のプールに放り込む」

「現実の時間は戻せない、だが犯人を突き止めねばもっと大きな被害が出る」

「だから犯人をつきとめろ。乗客は降ろさなくていい。無駄だ」

そんな地獄もかくやという世界で強制的にあがかされる「彼」の物語。
道具は自分の記憶と毎回リセットされる初期状態のみ。周囲は見知らぬ人ばかりで協力してくれそうにない。外部との連絡も不安。爆弾の解除方法も分からない。人違いするごとにSAN値とその世界でのカルマが下げられる。罵倒され拒否され、「生きている」反応をされる。

「情報を引き出せ、すでに死人だ 撃ってもかまわん」

……そしてきっとそれは、テロの犠牲者に向けた言葉だけではない。死体蹴り、その体は死んでいても、残った心、その死体と絆のある人にとっては許せないこと。

「すでに終わった世界」

けれど、そんな世界でも彼にとっては『現実』。
「現実」のために彼は尽くす。大事な彼女を巻き込んでまでも。
けれど、それが終わったら今度は『現実』の番。




※この先最大のネタバレ注意





「あなたは結婚していますか?」
「そうか…していないんですか」
「もう一度…過去へ送って下さい」
「この周回が終わったらーーーーー」

「×の××維持装置を外してください」

 あのシーンから続くラストはきっと、縛るものを外したからこそ行けた場所のことを示しているのだと思う。天国のような場所。
 きっとそれは、トラック系異世界トリップと同じ、確かな「異世界」なんだと思う。
「既に終わった世界」ではなく、「死ぬと決まっている人」でもない。

ーだからきっと、今日も彼は、彼の救った人々は笑っているのだろう。

「彼らはずっと幸せに暮らしました」

ーーーーーーーー残照として。



けれど、あの部屋に閉じこもった二人のお蔭で、今度生まれるのはもっと幸せな世界。
父親と、もう一人の彼女も、きっとそれで少しは幸せになれたのではないかと思う。

その世界の「彼」の残照は、永遠に「他者」の残照によって受け継がれ続ける。

ーこれは時間旅行ではない。
これは鏡世界へ旅行する力だ。

ただし、片道切符の。
*******************************************

※個人的には最初の胸糞悪い状態は「ぼくらの」で負けた地球側になってもいいんじゃないのって思ってる自分も居る。画面の向こうの彼女が達成感満足感以外で救われないのが一番の胸糞。
※多分8人じゃ済まない
※そして半分以上は「もしかしたら放り込まれずに済んでいたかもしれない」人々

*******************************************

「全部なかったことになる」けど記憶と技能の継承で世界には貢献できる。
元の世界で働く事と今の世界に骨を埋める事どちらを選びますか?
っていうと「×の勇者の×直し」を思い出す。
この主人公にとってのモチベーションは愛だった。ループを繰り返す度に会えない元の世界にしかいない彼女の名前を繰り返す様は狂気だったけれど、その芯がなければ耐えられなかった。
だからそのために最後の選択をした。生きる気力をくれた彼女に会って生きることにした。
8minutesの彼のモチベーションは、父と国(※未来の犠牲者と部隊員)と愛だった。
「もう一度過去に」ーーーけれど、「最大」の事件をクリアした後に彼が選んだのは心中をすることだった。
「みんな幸せに暮らしました」
 その中で誰かが幸福なまま鈍感なまま笑ったまま純粋なまま唐突に意識を永遠に失っていてもそれは幸せな暮らしに相違ないのだろう。
彼は最後の選択をした。いつもいつも「いつも通り」「まとも」に生きる気力をくれた彼女と「幸せに暮らしました」を選んだ。

 主人公含め。彼らにとって最大の誤算は、槍やりでもあったけれど
「動く記憶は自分だけではない」
ということ。
 つまるところ、沢山の意志が同時にプールに投げ出されたらーどこかの次元の隙間に、
××世界は出来るかもしれないよねー?と、いうこと。

 ……この世をつくる神様なんていうのは案外、世界中の意志あるもの全ての記憶と反射でできているのかもしれない、ということ。
*******************************************

くっついた相手がループ事情を知っている人ではない(打ち明けてない&
毎回新鮮な反応で出迎えてくれる)ということや、世界の設定自体にイラッときているっていうこと、敵対する相手が割と一人じゃ対処しにくそうっていうことから
同様にループもの&自分の死でループする「そこにカイロスは居るか」を思い出す。
槍やりもしかりだけど、一人の死でループする系や「自分一人だけ戻る系」は、そのあとの世界(つまり観測者=読者に情報を与える者、が居なくなった状態)がどうなるのかっていうのが気になる。
まどまぎコミカライズでまどかが死んだ瞬間ほむらが過去に戻った後も、最後まで抵抗をつづけたあの二人のように。
8minutesでも、もし電車に轢かれなかったら、その時ももしかしてー?っていうことが気になる。
*******************************************

あと自分に連絡取ろうとする成り代わりも初めて見たなあ…。

個人的にこれまで成り代わり系は最終的に体を返す・元の人が他の人体or形代に宿ってる・精神的に合体してる・元の体が生きる気力やまともな自我がないから代わりに生かす以外だとちょっと苦手だったんですが、今回の作品でかなり興味を抱きました。色々読んでみたいです。



にほんブログ村



*****

追記。
残照系で思い出したのいくつか。別名「あなたの心で私は生きる」系。
クロックワークプラネット
・ZOMBIE-LOANのアカシックレコード
・花と嘘とマコトのゾンビ状態「生前の暮らしをやや不完全に反芻するウイルス性代行症候群」
・寄生獣で体の記憶が残ってるやつ
・ヴォイニッチホテルの次女
・7SEEDSの龍宮編(誰も居ないのに声放送)・巨船編(TV)・小佐渡編(ホログラムで再現)


最終更新日 2017.02.08 20:59:52



あと、先日Mの薦めでけものフレンズちょっとやったんですが
仲間から輝き・やる気を奪う敵・セルリアンの女王の
「進化 情報の保存 再生ーーーー 失われた 輝き あの頃・・・・・・・ また 会いたい 会える 再現 偽りでも それでも」
という台詞がちょっと残照系に近いかな、とも思いました。

原作が失われた作品をしのんで、もしくは
原作で表されなかった部分に焦がれて、

妄想でも、偽りだとしても、記憶とともにその姿を再現しようとする二次創作や、
絵画修復作家は、残照に縋り、そこから新たな反射を生み出していく。

岩岡ヒサエさんの「しろいくも」に出てくる話の一つにあった、
「皆の記憶の中の彼女を集めたら 彼女が戻ってくるのかもしれないと思ってしまう」
も、その一つ。




なにかを亡くした人ならば、一度は考えることなのかもしれない。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2017.02.14 16:50:01
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.