カテゴリ:カテゴリ未分類
会社に辞表を提出してから、新事業を立ち上げる営業の中で知り合った人たちか
らいろいろな仕事の話をいただきました。 テレビディレクターという職歴も切り口を変えれば使い道もあるもので、意外なこ とに、そのお話のほとんどは映像演出やプロデュースといったものではなく今まで 経験したことのない分野でのお仕事だったのです。 レストランの新メニューのネーミング。企業の広報向けのセミナー。 商品のPRに関するアドバイス・・・・ なぜかシンポジュームの司会なんていうものもありました。 中でも楽しませていただいた仕事が、大学生向けの就職セミナー講師という仕 事・・・・ 最初は気軽にちょっとしたアルバイトのつもりで引き受けたのですが やっているうちに、若い人間の育成、教育という分野の仕事が本当にやりがいのあ る仕事であることがわかってきたのです。 企業の人事部経験者や、就職支援の会社の社長さんがスタッフとして並ぶ中、 僕が講師として選ばれた理由は、有名なタレントと一緒に仕事をしてきた経験から 面接で使える自己演出術を語れるはずだ・・ということだったそうです。 当然、その話を聞いて一度は躊躇しました。 「大丈夫ですかね・・・自分自身が自己演出できてるかどうか疑問やのに・・」 と言う僕に、セミナー主催者は 「元テレビプロデューサーという肩書きが、言葉に説得力を持たせますから大丈夫 です」 という答え・・・・ 会場に行ってみると、まず最初が僕の講演という時間割になっていました。 テレビディレクターの専門学校で、メディア論や、マスコミ論の講義は経験済みで したし、どちらかというと人前で話をするのは好きなほうだったのですが、 自己演出術を教えるとなると話は変わります。 何より自分が自己演出できていないと話にならないというプレッシャーが久しぶり に緊張した時間を作り出したのです。 そんなに高くはないとはいえ、お金も払ってるのに・・・・ 「まあ、15年もテレビ業界でいろんな経験してきたんやから、普通の38歳のお っちゃんよりは多少なりとも華はあるやろう・・」 と自分に言い聞かせて教壇に立ちました。 思ったよりも真剣に話を聞いている学生たちを前にしゃべっているうちに、緊張感 がゆっくりと別のものに変わっていきました。 「快感」 途中からは講義というより、僕の体験談になってしまっていました。 自分の経験を真剣に聞いてもらえるということは快感です。 会社の中で上司から聞く体験談は説教がましく聞こえておもしろくないものなので 僕も社内ではほとんど部下たちにすることはなかったのですが、 学生たちにとっては逆に、先生から学ぶお勉強的な講義より、異色の社会人による 体験談のほうが新鮮だったようで、思ったよりも手ごたえのある時間を過ごすこと が出来たのです。 久しぶりに楽しい仕事。 それも今までのように裏方ではなく、自分が前に出る仕事。 不思議な気持ちでした・・・ セミナーはその後、僕を含めた数名の講師が模擬面接を行い、個人個人にアドバイ スをするという形がとられました。 「最近の若い者は」と・・・よくそんな話がでますが、なにがなにが・・・ 売り手市場だった好景気の時期に就職活動をしていた僕たちの時代よりも、もっと シビアで真剣な表情の若者たちがそこにいました。 NEETや引きこもりというところに逃げてしまう若者もいるとは聞きますが、 お金を出してセミナーに集まる若者たちを見る限りでは僕の時代よりもずっと目に 力がある若者たちなのです。 最後に僕に対してこんな質問が飛びました・・・ 「好きな仕事でご飯が食べれるってどんな感じですか?」 聞くところによると、彼らが僕に持ってくれた興味は、プロデューサーとかテレビ 業界人でありタレントに近いところにいるというセミナー主催者が意図していたも のではなく、僕が講演の冒頭で言った 「ディレクターの現場は労働条件は最悪やったけど・・・この仕事が好きやからこ そ15年も続いた」という言葉だったそうです。 好きな仕事でご飯を食べれる・・・ それが当たり前だったんであまり実感しながら生きていたわけではなかったのです が、そういうことに若者があこがれているということを聞き、自分は本当に幸せ ものだということを改めて実感しました。 若者たちにはこう伝えました。 「僕も最初はこの仕事につく気はなかったんやで・・タレントになりたかってん ほんまは・・・でも裏方で人に感動を与えたり、笑わしたり、喜ばしたり・・・し てるうちに自分が求めてたことは職種やないことに気づいたんや、方法は別として 僕は自分のやりたかったことをやってる・・・そう思ったとき自分は好きな仕事で 飯食ってるっていえるようになったんや。 自分のやりたいことは職種は違っても 絶対叶えられるはずや」 僕は若者たちに期待します。 仕事をする自分が好きになれる人が少しでも多くこの社会で活躍することを支援し ていきたいと思います。 僕の事業の定款の一つに、就職支援というものを入れていくことが、今まで充実し た仕事で飯を食ってきた僕の第二の人生に課せられた使命のようにも思えてきまし た。 おっさんくさい言い方ですが、 「たまには若い人間と触れ合ってパワーもらわんといかんなあ」 ・・・・・・そう実感したお仕事でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|
|