心理学のエンターテイメント
昨日、担当番組の番組収録がありました。内容は、マジック(手品)を2~3ネタ見た後、出演者が誰でも出来る簡単マジックを習うという、ありがちな企画ものでした。できるだけ、出演者の素のリアクションを撮りたいと、この企画に踏み切ったのですが、この収録で、テンションが上がったのは、出演者よりむしろスタッフの方でした。その理由は、マジックというのは、撮影の仕方によってネタが完全にばれてしまう可能性が大きいので、リハーサルの時にスタッフだけには全て種明かしをしてくれるという楽しさがあったからです。種明かしを見せてもらうと、「なんだそんなことか・・」ということばかり、スタッフは収録を前にして大いに盛り上がったのです。種明かしを知った上で、マジックをみると、マジックうまい下手は、ネタ、テクニックより、人の心理をどう操るかがポイントになっているということがわかりました。右手にネタが隠されているときは、あえて、左手で怪しい動きをしそちらに注意を向けたり、ポケットからネタを出すときは必ず、トークで笑いをとって気をそらせたりと、マジシャンは人の目をごまかすことに全精力をつぎ込んでいるのです。例えば、財布を開けた週間、大きな音がする仕掛けをしておいて、観客がびっくりしたときにポケットからモノを出して、あたかもそれが財布から出てきたようにみせたり、人を客席から呼び出し、お客さんの紹介をし、観客の目がその人に向いているときに、自分の手にネタを仕込んだりと見事に注意はそらされてしまいます。この収録で、マジックを通じて人の注意力というものの面白さを改めて感じることが出来ました。人は、大きな出来事、注目点があると、そこに集中してしまうために、他の場所を見逃してしまうという習性があるようです。誰かが大きな失敗をしたとき、人の注目はその人に集まり、実はその影で起こった数多くのミスは見逃している場合も良くあります。交通事故や、火事が起こった現場で財布のスリにあっても、家に帰るまで気付かなかったりもします。こう考えると、大きな、出来事、人が必ず注目することが起こったときこそ、その周りには必ず、落とし穴があるということが言え、それと同時に、人がが見ていないものを発見できるチャンスであるとも言えるのです。私は、この心理学のエンターテイメント、マジックを演じるスタッフの立場を体験することによって、面白い目線を学べた様な気がします。肝心なところは人が見逃すようなところに存在することが多くあり、そこを見るためには、場合によっては天邪鬼となり、人が見ない場所に焦点を当てることも必要なのではないかと思えるようになったのです。人間関係で悩むとき、社会の中でおかしいなと感じたとき、実は人が注目したくなるポイントとは全く違う所にその種明かしは存在するのかも知れません。