天使のピアノ
天使のピアノ「いつもブログを読んでますよ」と声を掛けてくださるTさんが、わたしが青柳いづみこ氏の本を読んでいると知って、「こないだのディズニーランドのお話もよかったけど、このCDもよかですけん、ま、聴いてみてください」とこのCDを貸してくださいました。「天使のピアノ」と言われる「ドーリングピアノ」や、石井筆子のことは映画にもなったとのこと、私は知りませんでした。このピアノにまつわるストーリーは、青柳いづみこさんのブログに述べられているのでコチラをご参照ください。物書きでピアニストの本領発揮の、このCDの感想。まず、ピアノの音色があたたかく、懐かしく、優しい。特に高音はオルゴールの音色のようです。その儚い音を活かす選曲になっています。しかも、青柳さん自身による、お話の朗読も入っているので、トークつきのリサイタルに行った気分です。1) クープラン 百合の花ひらく 葦 小さな風車 修道女モニカ2)ベートーヴェン『エリーゼのために』『月光の曲』3) ショパン 『夜想曲作品9-2』 『ノクターン(遺作)』 4) ドビュッシー 『月の光』5) スカルラッティ 『ソナタホ長調 K380』6) クーラウ 『ソナチネ第4番』 7) ピエルネ 『昔の歌』 8) シューマン 『トロイメライ』 9) チャイコフスキー 『子供のためのピアノ曲集』より「朝の祈り」「ワルツ」「雲雀の歌」など8曲。10) 滝廉太郎 『メヌエット』『怨』 11) ラザール・レヴィ『子守歌』 12) 美智子皇后陛下の作詞による『ねむの木の子守歌』(小原孝・編曲)13) 石井筆子さん愛誦の賛美歌第433番。 エリーゼのためにや月光ソナタの趣は、ピアノ教室の発表会を思い出します。たぶん、ご本人もそう言った気持ちで弾かれたのでしょう。滝廉太郎の地元として、「怨」をこういう形で取り上げてもらえて嬉しかった。ショパンのノクターンはもっとまったりとした演奏が好きだけれど。でも、でも。このCDの中で何が一番心に残ったかというと、演奏の間に挟まれている朗読「感覚指数」でした。知的障害者の兄との日常生活を述べていて、その筆致の通り、おだやかだったろうと思われるのですが、そのお兄さんの行動とそれを見つめる作者の、身内でありながら視線はとても客観的で感情に流されることなく、淡々とした朗読と相まって印象的です。「施設でクリスマス劇のあとに配られる三角のイチゴショート、兄は自分の分をいつもわたしにとっておいてくれた」「長い夏休みが終わり、家から施設へ戻る時、兄は必ず私と握手をした。」という文だけでもう涙してしまうのでした。ヒトを計る物差しに「知能指数」があるのなら、「感覚指数」という計りもあっていいはず、という主張に納得し、「知能指数」という物差しの無意味さも同時に感じました。朗読が終わって流れてくるどびっしーに心が洗われます。Tさん、素敵なCDをどうもありがとうございましたm(_ _)m