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カテゴリ:本・読書
『ブラバン(津原泰水)バジリコ』は、意外な拾い物。よく出来た小説。
まさに、青春グラフィティの傑作。 約30人の人物が出てくる。高校のブラスバンドの物語。そのメンバーが実に生き生きと描かれている。これほどの書き手はそうは居まい。 さて、物語は、語り手である当時のベース(弦バス)担当が、25年振りにバンドを再び結成することになり、それぞれのメンバーのエピソードや、バンドの状況などを振り返り、時間は過去と現在を飛び交う展開。 p104のホルンについての話。 p124の漫画についての会話に出てくる『実験人形ダミー・オスカー』や雑誌「GORO」。 p130の『エーゲ海に捧ぐ』にまつわるエピソード。 p148のヨー・ヨー・マやp149の森茉莉。 p280のジャンゴ・ラインハルト、ルイ・マルの『ルシアンの青春』。 そして、『蛍の光』に歌詞が四番まであり、作詞が稲垣千頴(いながきちかい)でということを初めて知った。 因みにその四番の歌詞は 「千島のおくも おきなわも やしまのうちの まもりなり いたらんくにに いさおしく つとめよ わがせ つつがなく」 明治14年の曲である。 そのように、この『ブラバン』は、音楽についてかなり詳しく、本格的な記述が鏤(ちりば)めてある。私は門外漢だから知らないが、ロックのことも多くかかれてある。 音楽好きには是非手にとって欲しい一冊。 グレン・ミラーも頻繁に出てくる。グレン・ミラーは、私がJazzを聞くきっかけになった音楽でもある。また、グレン・ミラーが聴きたくなった。 不覚にも涙が出た所もあった。主人公がエレキ・ベースを買う所である。その父親の姿につい涙した。 ブラバン 津原泰水 バジリコ 2006年10月1日 初版第一刷発行 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.02.27 21:57:51
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