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おぢさんの覚え書き

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2015.02.22
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カテゴリ:歴史/考古学/毛人

前回は弥生時代の墨書土器を取り上げて、その当時の文字は祭祀目的の記号の域から出ないと考察した。今回はそれ以後の古墳時代の状況を確認していきたい。 

古墳時代の文字といえば、まず外せないのが以前にも取り上げた隅田八幡人物画像鏡である。48文字が記され。内容的にも漢字を万葉仮名的に使用している部分があるなど、漢字使用の確実な証拠となる資料である。

しかし、鏡は一方で漢字使用が一般的ではなかったことを示す強力な証拠でもある。倣製鏡にしばしばみられる擬銘帯は漢字を理解しなかった日本人が中国鏡の銘帯をまねしたものである。これは鏡の工人だけでなく、鏡の製作を依頼した権力者も文字を理解していなかったことを示す証拠といえるだろう。この擬銘帯は珍しいものではない。『古鏡集成』には109面の鏡の図版が掲載されているが、7面の鏡に擬銘帯がある。

千足古墳出土(84)変形五獣鏡.jpg 

岡山県岡山市新庄下 千足古墳出土 変形五獣鏡

 

奈良県奈良市山陵町字御陵前 狭木之寺間陵出土の直弧文帯縁内行花文鏡は3重の擬銘帯が巡っている。 

佐紀御陵山古墳出土(69)直弧文帯縁内行花文鏡.jpg 

奈良県奈良市山陵町字御陵前 狭木之寺間陵出土 直弧文帯縁内行花文鏡

倣製鏡には、他にも漢鏡であれば文字が入る方格(方形格)のなかに文字が無かったり、方格規矩鏡にあるべき十二支の文字が無かったり間違っていたりする場合など倭人の漢字知識の乏しさがはっきりと現れている。

このように古墳時代の倣製鏡は倭人社会に文字が普及していなかったことを示し、一方で隅田八幡人物画像鏡や稲荷山古墳出鉄剣に代表される金石文は少ないながらも列島での漢字使用を物語っている。
漢字使用が普及していなかった証拠と漢字使用の実例が並存する。この相反するように見える資料がむしろ当時の状況を良く表しているのだろう。つまり、漢字は権力者も含めて全くといってよいほど普及していなかったが、ごく一部の人間が漢字を理解していたということだ。
そして、当時漢字を理解していたのは、江田船山古墳の鉄刀の「書者張安也」の銘が示すように渡来系の豪族を含む渡来人と北九州沿岸で交易を行う者、そして外交を行う主体の中央政府またはその出先機関に仕える渡来人のみだったと推測する。つづく

追記
有名な三角縁神獣鏡には擬銘帯はないのか少し興味がわいたので三角縁神獣鏡綜鑑で倣製鏡とされている鏡群約100面を確認してみたところ、1種5面に銘帯があるが擬銘帯は無かった。 






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Last updated  2015.07.12 06:37:33
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おぢさん@ Re[3]:無(03/15) なんだかねさんへ (続き)昔ある人がお…
おぢさん@ Re[3]:無(03/15) なんだかねさんへ お久しぶりです。永ら…
おぢさん@ Re[1]:土器-編年(02/14) 上毛野形名さんへ 長いこと返信もせず失…
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