カテゴリ:美術 / Art
2022年3月19日、国立新美術館で「メトロポリタン美術館展」の絵を見ました。
ポスターには、ラ・トゥールの「女占い師」の絵が印刷され、とても目を引きました。 私がラ・トゥールの絵の事を知ったのは、「世界名画の旅1 フランス編1 朝日新聞日曜版/朝日文庫」に紹介があったからです。 私は1991年にオランダへ赴任しました。アムステルダムの店に、日本から輸入された本が置いてあり、そこで購入しました。本の裏表紙を見ると、「23.50(ギルダー)」の金額シールが貼ってあります。 当時の通貨は、現在のユーロではなく、オランダ・ギルダーでした。 p57~67に「ラ・トゥール 『夜とぎのマドレーヌ』、巨匠鮮やかに復活」として、ラ・トゥールの事が紹介されています。 ラ・トゥールは1593年にフランス・ロレーヌ地方に生まれ、1652年に没しました。宗教上の人物を闇の中に描き、神秘的な感動を生み出しました。 p57では、ラ・トゥールの「夜とぎのマドレーヌ」の絵について書かれています。 「マドレーヌは、聖書伝説の中の悔い改めた娼婦である。キリストの死後フランスに渡り、荒野に隠れ住んだ。夜を徹して思いにふける姿が、ただひとつの光の中に浮かんでいる。 『夜とぎのマドレーヌ』という題名のほかにもうひとつ『テルフのマドレーヌ』という題名がつけられている。ルーブル美術館に入る前に絵を所蔵していたカミーユ・テルフという夫人にちなむ異名である。 テルフ夫人は1914年ごろ、絵をパリで手に入れた。そのときの値段が350フラン。現在の邦貨に換算すると28万円だった。27年後売りに出すと、元の300倍の値がつく。 なぜこのようなことになったのか。 実は、テルフ夫人が所有していた間に、絵の作者に関して、フランス美術史を書き改めなくてはならないほどの事件が起きたのである。 1915年、ドイツの美術史家ヘルマン・フォッスが一編の論文を発表した。フランスの二つの地方美術館にあった作者のはっきりしない3点の絵を、一人の画家に結びつけて「17世紀フランスにジョルジュ・ド・ラ・トゥールという画家がいたのだ」というのだった。 以後、歴史の底に埋もれていた画家ラ・トゥールが急速に掘り起こされたことになる。 まず、ラ・トゥールの作品探しが始まった。田舎の修道院の物置でほこりをかぶっていた絵があった。パリのセーヌ河岸の骨董屋で、古タンスの上にほうってあった絵もある。オランダでも、スイスでも、イギリスでも見つかる。 テルフ夫人の「マドレーヌ」もそのひとつだった。この絵にはラ・トゥールの著名があった。しかし夫人が買った年には、まだだれもラ・トゥールという画家さえ知らない、作者不明の扱いだったのだ」 p66では、今回メトロポリタン美術館展のポスターにある、ラ・トゥールの「女占い師」の事が紹介されています。 「戦後、フランスの小さな城で見つかった『女占い師』の場合、1960年に突然ニューヨークのメトロポリタン美術館の手に渡り、大騒ぎになった。ルーブル美術館が欲しがっていた絵だった。それがどうして流出したのか、当時のアンドレ・マルロー文化相が議会で尋問されたが、真相はわからなかった」 メトロポリタン美術館展で、ラ・トゥールの「女占い師」を見ることができます。 この絵の面白さは、男性が女占い師に占ってもらい、金を払っていますが、周囲の女性達がこっそりと男性の持ち物を盗もうとしている所です。 絵の右側の女性は、男性の鎖をニッパーのようなもので切ろうとしていますし、左側の女性は、男性のズボンのポケット辺りから、小物を盗もうとしています。 盗みをする女性たちの表情を見ると、笑ってしまいます。 ーーーーーーーーーーーーーー 「世界名画の旅1 フランス編1 朝日新聞日曜版/朝日文庫」 ↓p59 夜とぎのマドレーヌ 1640年ごろ 油絵 128x94cm パリ ルーブル美術館。 ↓p57。 ↓p57 ラ・トゥール ↓ p63 女占い師 1630年頃 油彩 102x123cm ニューヨーク メトロポリタン美術館 ↓「世界名画の旅1 フランス編1 朝日新聞日曜版/朝日文庫」の裏表紙。 1991年にオランダへ赴任したとき、アムステルダムの店で購入した。「23.50(ギルダー)」。 ーーーーーーーーーーーーーー 2022年3月19日、国立新美術館 「メトロポリタン美術館展」 ↓ ラ・トゥールの「女占い師」 ↓ 占ってもらった男性。 ↓ 占った男性から、お金を受け取る女占い師。 ↓ 女占い師と、怪しい若い女性。 ↓ 若い女性が、男性の鎖を工具で切ろうとしている。 ↓ 男性に気づかれないように、男性を注意深く見ている。 ↓ 手元では、男性の鎖を切ろうとしている。 ↓ 鎖を切る所。 ↓ 画面左の女性も、男性のズボンのポケットに手を伸ばす。 ↓ 左側の女性2人。 ↓ 男性の小物を盗もうとしている。 女占い師と盗みをする女性は、つるんでいるかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.04.06 06:03:59
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