|
カテゴリ:顎関節症 &咬合不安定
噛み合わせ治療の 最後の防波堤
1. 噛み合わせの治療 第二段階 接着性スプリント治療 (プラスチックを接着剤で,噛み合わせの低い歯に貼り付ける治療,第二段階の治療) < ダイレクト・スプリント治療 > 噛み合わせのバランスをとるために,アゴの安定のために,パパパパと弱く小さく噛んで検査し,高い歯を削るのではなく,接触の弱い低い歯にプラスチックを接着剤で貼り付る治療をすすめます.接着剤を用いて歯の上に小さなプラスチックを貼り付けるため,ほとんど歯を削らずにする事も,ここ10年から20年近く前から,簡便にできるようになってきました.(個人差がありますが,歯ぎしりやくいしばりの多い方は,早期に摩耗や破折することもあります) 以前は,第一段階のマウスピースのようなプラスチックのスプリントを合わせて,外して,その直後に,強く当たる高い歯を,削って 何とかバランスを取るように試みました(歯を削る咬合調整の治療) 削る治療は,一部の方には,効果がありましたが,時になかなかうまくいか無いこともあります.削って水がしみるようになり,痛みがでたり,高くぶつかる歯が,わかりにくく,かなり限界があります. また,歯の当たりが低く弱いときは,時に歯を削って歯の形を取って,銀歯にして 高く作る.歯を削るのも,銀歯にするのも,いやなものです. そのため,歯を動かす歯列矯正を勧められることもあります. 1削るか? 2銀歯にするか? 3歯を動かすか? 4足すか? 5.スプリントを時々入れるだけの治療もあります. あなたは,どんな治療を選択しますか? 2.保険適応について むし歯の治療では「むし歯」という病名(C,pulL,per)で,プラスチックを貼り付ける治療は,一初診に一回だけ保険で治療できます. しかし,「咬み合わせ不安定症,低位咬合,顎関節症」という病名では,噛み合っていない低位の歯に,プラスチックを歯に貼り付けて,何度も,低い歯に,プラスチックを追加して,足したり調整と修正,補正する治療は,今は,残念ながら保険適応していません. この接着性スプリント治療(プラスチックを接着剤で,噛み合わせの低い歯に貼り付ける治療)は,正式には,病名 「低位咬合,顎関節症」であり,噛み合わせの検査も歯にプラスチックを足す治療も保険適応は,未だ なっていません.残念です. (昭和62年厚労省の高度先進医療に指定.「顎関節症の補綴学的治療」として,補助金が 一部の大学病院に出ています.東北大学病院は,まだ 採用されていません) また, 噛み合わせの検査(EMGバイオフィ-ドバック誘導検査,咬合光透過検査など)もありません.以前は,一部の患者さんのみにボランティアとしてサービスで行っていました. 時に,他の歯科医師からは,そんなにその治療が必要なのか.かなりの精度のバランスの良い噛み合わせが,そんなに大切なのかと疑問視されることもあります.患者さんが,選択することです.噛み合わせ専門医は,必要だと考えています. 3. 保険改正 2006年の悲劇 最後の防波堤 2000年から保険の改正ごとに,医療費削の減政策で,かなり治療費が削減されました.噛み合わせの治療は,一部の患者さんに,保険にないのですが,ボランティアとして,診療所で自腹を切って勉強だと,修行だと思って 若い医師は,がんばってきていました.それは,第一段階のマウスピースのタイプのスプリントの調整料が毎回 認められていたためです.ここが,何とか踏ん張る最後の防波堤でした. しかし,2006年より,スプリントの調整が月一回となり,かなり削減されました.このとき,歯科の専門医の一部は,「噛み合わせ治療の,最後の防波堤が壊れた.保険では,完全に無視された,切り捨てられた」と.全身的な脳・心臓の疾患のリハビリの治療制限は,マスコミでも取り上げられましたが,歯科医師会でも患者さんの間でも,ほとんど取り上げられませんでした.歯科医師の中でも,治療への考え方がまとまっていないため,またこの治療(接着性スプリント)する専門医が少ないため,必要性が少ないと思われ,少数意見は,取り上げられ無いのかと思われます.専門学会でも 強い反対意見が出たのですが,マスコミや社会を動かすまでにならなかったのです. 4.「噛み合わせの治療」と「歯列矯正の治療」の違い 歯列矯正は,上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口)などで「噛み合わせの水平的(二次元)な治療」です. 1ミリ単位の治療です.歯列矯正は,数年かかり,数十万円かかります. 噛み合わせの治療は,「垂直的(三次元)の治療」で,1ミリ単位の精度のバランスではなく,100分の1ミリ単位の精度の治療です.咬合紙という赤や青い紙の厚さ,紙一枚を感じる方が多く,敏感なものです. 患者さんによっては,姿勢で噛み合わせが変化し,寝たときと,起きたときでも噛み合わせが違ったり,あくびをしたら,また違う方もいます.時間をおくと 変化し,かなり敏感に気になる方もいます.そのため時間がかかり,かなりの根気がいる患者さんの方もいます.ときに修行だと思うような時間のかかる方は,難しいです.関節が変形して収まりが悪くなっているのです.時間を入れますと,3次元だけでなく四次元的なバランスを診ていきます. 5.噛み合わせ専門医は,少なすぎる!! 何よりも低い歯にプラスチックを接着して治療をしてくれる,「噛み合わせ専門医」は,歯科医師の中で,本当に不足しています.手間がかかり,面倒で,費用が算定できないためと思います.治療してくれる専門医が本当に少ないために,歯髄炎の痛みのような強い痛みが出る病気で無いため,直接的に死に関係しないため,なかなか,保険適応にならないのかもしれません.歯列矯正も一部を除き,保険適応になっていません.保険診療のみをご希望の方は,大変申し訳ありませんが,厚生労働省の補助金のある大学病院か国立病院・医療センターなどでの診察をお願いします.「歯列矯正の専門医」よりも「噛み合わせ専門医」の歯科医師は,本当にかなり少ないです.ご理解していただき,ご希望なさる 患者さんのみ 診察と治療します.あなたは,どんな治療を選択しますか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年02月28日 14時39分04秒
コメント(0) | コメントを書く
[顎関節症 &咬合不安定] カテゴリの最新記事
|