|
カテゴリ:小説の書き方
さて、DM小説について語る最初のコラムです。第一回のテーマはデュエル・マスターズのマンガがDM小説に与えた影響について。アニメの方はあまり知らないので、その部分は全く考えないで書いていこうと思います。
◆マンガの『デュエル・マスターズ』◆ 個人的な感想ですが、マンガのデュエル・マスターズのストーリーはよくできていると思っています。旬のカードを“魅せる”という制約(我々素人クリエイターには存在しない制約です)を始めとするいくつかの制約がありながら、カードの効果を格好よく見せる方法だけでなく、ドラマとDMカードの噛み合いなど、DM小説家にとって学ぶ事がたくさん見付かります。ホビーマンガの魅せ方に関して、小学館には長年のノウハウが存在するでしょう。ここから、そのノウハウの一部でも盗み取れれば作品は格段とよくなる事でしょう。 ◆マンガが我々書き手に与えた影響◆ 本題となるマンガ『デュエル・マスターズ』が私達に与えた影響について考えていきましょう。 多分、マンガの『デュエル・マスターズ』を読まずにDM小説を書いた人は一人もいないと思います(確認を取ったわけではないので断言はできません)。 私は、DM小説を書いている人の中で、マンガの影響を受けなかった人など存在しないと思っています。いい意味でも悪い意味でも、我々はマンガの影響を受けている事を自覚するべきです。すでに道が拓かれているからこそ、DM小説が誕生したのかもしれません。 ◆手を光らせるな◆ いつだったか、ある場所で見たDM小説で登場人物の手が光るという描写を見かけた事がありました。マンガの『デュエル・マスターズ』でも同様の描写が存在します。ここで私が言いたい事はいくつかありますが、その中でも二点だけ重要な事を言いましょう。 そのまま、マンガの描写を持ってくるのは盗用、つまりパクリでしかないという事。そして、同じ事をDM小説でやってもおもしろくならないという事です。 ここで、「手を光らせる」という描写を盛り込む事で、その人物の特異性を読み手に伝えたかったのかもしれませんが、他にいくつもの方法があるでしょう。マンガ『デュエル・マスターズ』において「手が光る」という描写に何が隠されているのかという深い部分を全く考えずに、描写だけを真似るだけではおもしろい作品が書けるとは思えません。 「手が光る」のは、手が光った登場人物の特異性だけでなく、次に引けるカードへの期待、真のデュエリストである事の証など、作中での決まりごとだけでなく色々なものが隠されています。「手が光る」という描写に自分なりの何かを盛り込む事が重要であり、マンガで「手が光る」のと同じものを表現したいのであれば、「手が光る」以外の描写が必要になってきます。 手を光らせる以外の描写がそれぞれの『オリジナリティ』であり、書き手としての能力の差なのです。 ◆競技としてのデュエル、戦闘としてのデュエル◆ DM小説は大抵、競技としてのデュエル・マスターズを描くものと善と悪との戦闘を描くものに分けられると思います(今回、クリーチャー世界について描いたものは省略します)。 マンガ『デュエル・マスターズ』では、競技としてのデュエルと戦闘としてのデュエルを両方描いています。どちらのシナリオも読み応えがあっておもしろいものです。 競技としてのデュエルでも戦闘としてのデュエルでも、特に描写に違いはないのですが、その周りにあるドラマに大きな違いがある事がよく判ると思います。 ◆キャラクターとカード◆ マンガ『デュエル・マスターズ』においてキャラクターとカードの関係は深いです。メインの登場人物が使う切り札が大抵決っている事からも、この事が充分理解していただけると思います。 キャラクターがカードを、もしくはカードがキャラクターの魅力を引き出すというのも物語における重要なポイントです。切り札はキャラクターを作るパーツの一部になり、作品を盛り上げます。 キャラクターとカードには密接な関係がある。これも頭の中に入れておいて損はないでしょう。 ◆真似したい表現◆ マンガ『デュエル・マスターズ』で最も私がうまく真似したいと思うのが、カードの効果の描写です。カードの効果を視覚的に表現する事で、そのカードでどんなすごい事ができるのか一瞬で把握する事ができますし、ストーリーを読み進めて期待に胸を躍らせる事もあるでしょう。 こちらが扱うのは絵ではなく、文章なので文章としてイメージしやすいような改変が必要ですが、効果の視覚的表現は演出として取り込んでおきたい技法の一つです。 ◆最後に◆ じっくり探せばもっと色々なところでマンガの影響を見つける事ができたでしょう。私が把握できたのはこれが限界でした。 マンガの影響というのは一種の呪縛です。しかし、影響を受けている事を知りさえすれば、逆にそれを活かす事ができるでしょう。 喜んで影響を受けましょう。そして、表面的な事を真似るのではなく、デュエル・マスターズを扱う物語として重要な事を真似られるようになれば、書き手として間違いなくステップアップできるはずです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Jul 25, 2008 02:12:17 AM
[小説の書き方] カテゴリの最新記事
|