[中之島] ブログ村キーワード
今から、約2ヶ月前
「猫の部屋」に辿り着いた猫たちがいます
まだ公園は半分以上が閉まり
工事途中のごった返した風景が広がっていた頃
捕獲器の中で、疲れ切ったような瞳を向けていた猫たち…
昨年末「猫の部屋」にやってきたねーちゃんたちと同じ
彼らは、周辺の工事に追われ
行き場を失った彷徨える猫たちの仲間でした
大々的な再整備工事のため
2007年11月から、中之島公園は段階的に閉鎖されました
その時、命の危険に晒されたのは
公園内に置き去りにされた私や仲間たち…
私たちの暮らしていた公園は、かなり特殊な立地で
川に浮かぶ島のような形状をしています
もし仮に、公園から逃げようとしても
道路に繋がる橋までやって来なければ
地上に出ることはできません
それは、体の小さな私や仲間たちにとって
かなりの移動距離でした
ましてや、私や仲間たちには
他の場所に移動するという概念はありませんでした
なぜなら、そこは車も通らない安全な公園だったから…
たくさんの人たちに可愛がられ
ずっと暮らしていた公園だったから…
今、自分たちの身に
何が起こっているのかなど、わかるはずもなく
ただ、私や仲間たちはずっと待っていたのです
いつか必ず誰かがやって来ることを…
以前のような時間が戻ってくることを…
「猫の部屋」は、そんな私や仲間たちのために
たくさんの人たちの協力があり、誕生しました
そして、約70匹の命が救われました
その頃から、中之島周辺では
あちらこちらで大がかりな工事が行われていました
中之島は、新たな大阪のランドマーク
”水の都”象徴の地として
街中が生まれ変わろうとする時期にありました
見るたび変化していく街並み
その片隅で身を潜めるようにして生きてきた猫たちには
いったいどんな風に映っていたのでしょう
日々、広がる工事に追い立てられるように
彼らは命がけの移動を始めました
行き交う車を避け、掘り起こされた道を渡り
少しでも静かな方へ、少しでも安全な方へ
やっとの思いで辿り着いた場所
それが私や仲間たちが全員保護された後の
閉鎖された公園だったのでしょう
「工事エリアに猫がいた…」
パトロールの警備員さんたちから、そんな話を聞くようになったのは
昨年の秋口くらいだったでしょうか
真夜中の静かな工事エリアに何匹もの猫の影
目撃された数が多かったため
すぐにピンときました
「安全な場所を求めて、移動している猫たちがいる…」
公園周辺は、京阪中之島線の開通が目前に迫り
どこもかも急ピッチで工事を行っていました
しかし、公園再整備工事の進捗は緩やかで
まだ閑散とした風景が所々に残っていました
それが彼らには静かな場所に思えたのでしょうか
華やかに変わりゆく街並みの陰で
行き場を失い、命の危険に晒されながら
それでも生きることを諦めず
必死になって、小さな体で移動を続ける猫たち
いったい人間は、何度同じことを繰り返すのだろう…
いったい彼らは、どれだけ彷徨えば救われるのだろう…
思い返すたびに悲しくなるほどの
強く、激しい気持ちを抱きました
工事エリア内にやって来た猫たちの調査を続け
徹夜での捕獲作業を行ったのは
昨年12月に入ってすぐのこと
その時、ねーちゃんたち11匹が無事に保護されました
けれど…
まだ、その後も真夜中の工事エリアに
何匹かの猫の姿は目撃されました
動きの取れない工事エリアの中
残された彼らが途方に暮れる姿…
ねーちゃんたちから遅れて
司令塔Aさんがリリーを捕まえた後
しばらくは、その周辺での目撃情報を集めました
最初に聞いた内容から考えて、残っているのはキジ猫と黒猫
しかし、すでに黒猫は姿を消したようで
それ以降の情報は途絶えました
キジ猫だけは、どこにも行き場がなかったのか
やはり頻繁に目撃されているようでした
運び屋Tさんが偶然見かけたのは
背中にうずまきのような模様があるキジ猫
体つきや毛並みから、かなり若いのではないかと思われました
そして、秘書たちやたくさんの人たちが見かけたのは
ふっくらした丸顔のキジ猫で
いつもお腹を減らしているようでした
ご飯をあげようとしても、近寄ると逃げてしまう
人を怖がっていることが、ビクビクした表情からも伝わってきました
5月のバラ園開園に向けて
日々、工事は進むだろうと予測された時期でもあったので
とにかく、このキジ猫2匹にターゲットを絞り
また捕獲する日々が始まったのです
しかし…
キジ猫たちの捕獲は
なかなか今までのように上手くはいきませんでした
お腹が減っているはずなのに
警戒しているのか、なかなか捕獲器に入ってくれず
何度もセットし直しては、祈るような気持ちで待ちました
それでも失敗ばかりが続き…
季節は春を迎えていました
恋の季節を迎えた男の子たちは
普段よりも遠くまで、女の子を求めて出かけて行きます
工事エリアの一角を住処にしていたキジ猫たちも
姿を見ない日が何日か続きました
ただ、どこかへ行くにしても
すでに周囲は広い範囲で工事が進み
猫たちにとって安全な場所などありません
気持ちは焦るばかりでしたが…
ご飯がある限りは同じ場所に戻ってくるはず
そう信じて、待ち続ける日々が続きました
そして…
そろそろ”水都大阪2009”の準備のため
工事も最終段階に入るだろうと予測していた7月初め
彼らはやっと「猫の部屋」に辿り着きました
ワンルームの中から少し怯えた様子で
オドオドしていた彼らの表情を
秘書たちは忘れられないと言います
最初にねーちゃんたちがやって来てから
すでに7ヶ月が経っていました
「中之島公園の猫たち」nekomat@nifmail.jp
ご報告が遅れ、大変申し訳ありません。
新たな仲間たちが「猫の部屋」へ辿り着きました
また大切な命を預かり、大きな責任が増えました…
彼らの歩んできた長い道のりを考えると、今も胸が痛みます。
中之島周辺は、今日の写真のように
本当に美しく生まれ変わりました。
しかし、一方ではじき出されてしまった大切なものが
今、私たちの目の前にあります。
彼らの命の輝きが、水辺に映る光よりもキラキラ輝いていることを
引き続き、お伝えしたいと思います
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