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猫のおきて

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2006.08.01
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カテゴリ:町蔵日記
 さて、7月25日、先週の火曜日、保護された子猫のその後のこと。

 子猫にフードを与え、キャリーバスケットに入れて部屋の中央に据え、戸締りして家を出、急ぎ打ち合わせに向かいながら私は、とりあえず呼び名は付けなければな、と思っていた。
「とりあえず」というのは、緊急避難的に保護はしたものの、永続的に飼うつもりはないからだった。やっぱ無理でしょう、っていうか、子猫がかわいそうでしょう。時間が不規則なフリーランスの独り者、しかも今年は地方出張も多い。通いの「ヘディ猫」のように、当家以外にも複数のパトロンを抱える、やり手の自立した大人猫ならともかく、できるだけ構ってやったほうがいい子猫の場合は。
 無論、保護したときから子猫の行く末に責任を持つ決意はあったので、私より素敵な飼い主さんをちゃんと探し、身の立つようにしてやろうと思っていた。

 で、始終子猫のことを気にしつつ、身の入らないままに打合せに臨む。一応は滞りなく済ませ、次なる打ち合わせは東京水上倶楽部で(ここはお濠の畔のテラスで、猫がボート券を売っているのがウリである)。
 打ち合わせの相手は、猫たわけのお仲間、イラストレーターのO高さん。仕事の話もそこそこに、「実は」と子猫を保護したことをお話する。「じゃあ、うちに帰ると子猫がいるんですね! いいなあ」と目がハートマークになっているO高さん。
「名前はとりあえず『町蔵』でいいですかね?」と聞いてみる。出典は、パンクロッカーで芥川賞作家の町田康こと町田町蔵から。ちょうど先般の「猫のおきて」で、「猫にかまけているとうだつがあがらない」という冷厳なテーゼを取り上げたが、それを提唱したのが町田町蔵であり、子猫保護の顛末はまさしく、その説をなぞるような事象だからである。
 他家の猫の名前について「いいですか」などと了解を求められても困ると思うが、O高さんは鷹揚に承認して下さったので、とりあえず、「町蔵(仮)」と命名した。

 O高さんと別れ、家に戻る道すがら、帰ったらみゃーみゃー鳴きまくってたら困るなと思ったが、玄関を開けても室内はひっそりしている。大丈夫か? と荷物を投げ出してキャリーを覗き込むと、こっちを見ている大きな目があった。ああとりあえずは別状ないと安心し、キャリーから町蔵を取り出す。一掴みしかない片手サイズなのが頼りない。
「朝晩に」と獣医さんから指令されていた投薬を行なってからフードを与えると、バクバクと食べ、夢中のあまり皿をかじったりする勢い。食欲があるのは結構なことだが、こんな小さな歯が欠けないかと心配しつつ「それはやる気の方向性が違う」と、町蔵の口元を指先で押して指導する。
 ひとしきり食べると落ち着いたらしいので、キャリーの中に戻してそばを離れると「みゅー」などと鳴く、ということが繰り返され、自分の用事ができない。ようやく落ち着いて眠ったのを見届けて机に向かったら、町蔵を保護する前に送りかけだったメールが、そのままになっているのに気付いた。
 今日の日中の仕事の予定は、町蔵の登場で吹っ飛んだ。今後、こういうことが増えるかもしれないなと先が思いやられながら、私は中途だったメールの続きを打った。

 その晩の就寝時は、まだ自分が目を離せないうちはその辺を歩かせられないと思い、町蔵をキャリーに入れ、ベッドの枕元に置いた。枕に頭を乗せてキャリーの中が覗き込める位置である。
 キャリーの中から、町蔵は私のほうを見ている。「大丈夫、こわくない、こわくないよ」と小声で繰り返し言い聞かせるうちに、町蔵は大きく見開いていた目を次第に閉じ、やがてことりと眠った。
 それを見届けて私もいつの間にか眠りに落ち、町蔵保護初日はこうして過ぎて行ったのだった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 で、これが本日の町蔵。上記の保護した当日よりだいぶ大きくなった。
 昼寝から覚めて、満足げ。私にも昼寝させてくれよ!





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Last updated  2006.08.01 15:53:52



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